〜白薔薇の君〜
拍手連載
テイルズ オブ グレイセス
「白薔薇の君」
第16話
思わぬタイミングで聞かされたアレックスの過去。そういえば今更ではあるがアスベルはアレックスの事、騎士学校の同期生としかわかっていないことに気づく。
「……。」
『覚えてるのは本当に少しだけ。断片的なもので…、どこにいたのかもまったく分からなくて…』
そのほんの少しの記憶を思い出すかのようにアレックスは目を閉じた。
『覚えてるのは…、
灰色の厚い雲に覆われた空…
身を刻むような冷たい風…
目の前を通り過ぎる人々の足元と汚れた土気色の雪…』
…それくらいかな、とアレックスは目を開いた。
それ以降はフェルディナンド家の…今の父に拾われ暮らして来たとアレックスは語る。
「アレックスの記憶、早く戻るといいね」
『うん。ソフィのもね』
先ほどのシリアスな雰囲気は一転し、彼女はいつものアレックスに戻る。
ほんの少し触れたアレックスの過去。きっと彼女も自分と同じくらい…否、それ以上の辛い過去を抱えているのかもしれないとアスベルは思った。
そして、その抱えている辛いことを少しでも楽にしてやれたらな、と思う自分がいた。
*
『ねぇ、道はここであってるの?』
「あぁ、確かこっちだったはず…」
なんとなく先行するアスベルの後をついて行くアレックスであったが、何故か急に不安になった。こんな暗い所に数十分も居たくない私だからそう思うのかもしれないが…
「大丈夫だって。……、!?」
『?、アスベル?』
言おうとした言葉を飲み込み、アスベルは前方に意識を向けて警戒しだした。
その先に気配を感じたからだ。足を止め、少しずつ前方を確かめる。
「──…誰だ!!」
向こうがそう叫んだ。「もう追っ手が…」と呟いていたが私達を誰かと間違えてるのだろうか。
「お前は──…、」
次第に慣れた視界の中でうずくまる姿を見つけた。その者はブロンドの長い髪と黒い貴族のマントといった格好をしている。
その姿に私の胸は一気に熱くなった。
トクン──…、
『ぁ…、』
言葉に出来ない私の替わりをするかのようにアスベルがこう言った。
「まさか…、…そこにいるのは…
“リチャード”
…なのか…?」
.
テイルズ オブ グレイセス
「白薔薇の君」
第16話
思わぬタイミングで聞かされたアレックスの過去。そういえば今更ではあるがアスベルはアレックスの事、騎士学校の同期生としかわかっていないことに気づく。
「……。」
『覚えてるのは本当に少しだけ。断片的なもので…、どこにいたのかもまったく分からなくて…』
そのほんの少しの記憶を思い出すかのようにアレックスは目を閉じた。
『覚えてるのは…、
灰色の厚い雲に覆われた空…
身を刻むような冷たい風…
目の前を通り過ぎる人々の足元と汚れた土気色の雪…』
…それくらいかな、とアレックスは目を開いた。
それ以降はフェルディナンド家の…今の父に拾われ暮らして来たとアレックスは語る。
「アレックスの記憶、早く戻るといいね」
『うん。ソフィのもね』
先ほどのシリアスな雰囲気は一転し、彼女はいつものアレックスに戻る。
ほんの少し触れたアレックスの過去。きっと彼女も自分と同じくらい…否、それ以上の辛い過去を抱えているのかもしれないとアスベルは思った。
そして、その抱えている辛いことを少しでも楽にしてやれたらな、と思う自分がいた。
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『ねぇ、道はここであってるの?』
「あぁ、確かこっちだったはず…」
なんとなく先行するアスベルの後をついて行くアレックスであったが、何故か急に不安になった。こんな暗い所に数十分も居たくない私だからそう思うのかもしれないが…
「大丈夫だって。……、!?」
『?、アスベル?』
言おうとした言葉を飲み込み、アスベルは前方に意識を向けて警戒しだした。
その先に気配を感じたからだ。足を止め、少しずつ前方を確かめる。
「──…誰だ!!」
向こうがそう叫んだ。「もう追っ手が…」と呟いていたが私達を誰かと間違えてるのだろうか。
「お前は──…、」
次第に慣れた視界の中でうずくまる姿を見つけた。その者はブロンドの長い髪と黒い貴族のマントといった格好をしている。
その姿に私の胸は一気に熱くなった。
トクン──…、
『ぁ…、』
言葉に出来ない私の替わりをするかのようにアスベルがこう言った。
「まさか…、…そこにいるのは…
“リチャード”
…なのか…?」
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