〜白薔薇の君〜
拍手連載
テイルズ オブ グレイセス
「白薔薇の君」
第15話
『なら善は急げだ。すぐに向かおう』
「“向かおう”…って、まさかアレックスも来る気か?」
元気よく立ち上がったアレックスをアスベルは瞠目して見上げる。その顔はさっき見せた疲れたようなものではなく、とても生き生きしたようにアスベルには見えた。
『兵士が大勢徘徊している街中を一体どうやって見つからずに聖堂へ行くつもり?』
「そ、それは…」
実はアスベル、七年も王都で過ごしていた割には街のことを全く知らなかった。知っているのはメイン通りくらいだ。それだけ騎士になるという事以外無頓着だったということなのだが…。
こう見えて王都は迷路のような路地がたくさんある。
『私に任せて。』
「…わかった。よろしく頼む」
先ほど豪語したように(してないが)、「王都は自分の庭」と言ったアレックスはもちろん聖堂への裏道など把握済みだ。
こうして新たにアレックスが加わり彼らは一時聖堂へと向かう。
*
『……。』
ひょこっと顔だけを物陰から覗かせる。よし、誰もいないみたいだ。
右へ左へと路地を曲がり、時には人の家(空き家)を通ってようやくたどり着いた聖堂。
顔だけを覗かせるアレックスの上で同じようにアスベルも顔を出し様子を伺い、それらを真似してソフィもアレックスの下で顔を覗かせる。はたから見ればおかしな三人組である。
「いない…みたいだな」
「……。」
『行こう、アスベル、ソフィ』
そう言って縦に3つ並んでいた頭の内、真ん中にいたアレックスが先に聖堂の前へと躍り出る。
それにアスベル、ソフィの順に続き、三人は聖堂を見上げた。
『聖堂って立ち入り禁止だよね。どこから入るの?』
「七年前の時はそこの脇にある小さな隙間から入ったんだが…」
さすがにそれはもう無理だろう。子供サイズの隙間を今の自分たちが通れる訳がない。
んー…、と知恵を絞らせているといきなりドスーン!!という破壊音が二人の耳を驚かせた。
『う、うそ…』
「…またやったのか…」
前者は驚きに、後者は呆れて言葉を失った。原因は両開きの聖堂の扉の片方をソフィが突き飛ばして壊してしまったのだ。
まぁ一応“開いた”ことは“開いた”のだが…。
『また、ってどういう意味!?』
「あ、いや、…実は前にも同じことをしたんだ。」
『それってまさかアスベルが…』
「そんな訳ないだろ!俺は教えてないっ、本当だ!」
何をそんなに必死なのかはわからないがアレックスが半目でアスベルを睨めば彼は大慌て。
ソフィも一体どこでそんな扉の開け方を学んだのやら…。
アスベルは決して自分じゃない、と言い張るが、じゃあアスベル以外に誰がいるんだという話である。
「また…?」
扉を破壊した本人は理解出来ておらず、ただ首を傾げるだけであった──。
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テイルズ オブ グレイセス
「白薔薇の君」
第15話
『なら善は急げだ。すぐに向かおう』
「“向かおう”…って、まさかアレックスも来る気か?」
元気よく立ち上がったアレックスをアスベルは瞠目して見上げる。その顔はさっき見せた疲れたようなものではなく、とても生き生きしたようにアスベルには見えた。
『兵士が大勢徘徊している街中を一体どうやって見つからずに聖堂へ行くつもり?』
「そ、それは…」
実はアスベル、七年も王都で過ごしていた割には街のことを全く知らなかった。知っているのはメイン通りくらいだ。それだけ騎士になるという事以外無頓着だったということなのだが…。
こう見えて王都は迷路のような路地がたくさんある。
『私に任せて。』
「…わかった。よろしく頼む」
先ほど豪語したように(してないが)、「王都は自分の庭」と言ったアレックスはもちろん聖堂への裏道など把握済みだ。
こうして新たにアレックスが加わり彼らは一時聖堂へと向かう。
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『……。』
ひょこっと顔だけを物陰から覗かせる。よし、誰もいないみたいだ。
右へ左へと路地を曲がり、時には人の家(空き家)を通ってようやくたどり着いた聖堂。
顔だけを覗かせるアレックスの上で同じようにアスベルも顔を出し様子を伺い、それらを真似してソフィもアレックスの下で顔を覗かせる。はたから見ればおかしな三人組である。
「いない…みたいだな」
「……。」
『行こう、アスベル、ソフィ』
そう言って縦に3つ並んでいた頭の内、真ん中にいたアレックスが先に聖堂の前へと躍り出る。
それにアスベル、ソフィの順に続き、三人は聖堂を見上げた。
『聖堂って立ち入り禁止だよね。どこから入るの?』
「七年前の時はそこの脇にある小さな隙間から入ったんだが…」
さすがにそれはもう無理だろう。子供サイズの隙間を今の自分たちが通れる訳がない。
んー…、と知恵を絞らせているといきなりドスーン!!という破壊音が二人の耳を驚かせた。
『う、うそ…』
「…またやったのか…」
前者は驚きに、後者は呆れて言葉を失った。原因は両開きの聖堂の扉の片方をソフィが突き飛ばして壊してしまったのだ。
まぁ一応“開いた”ことは“開いた”のだが…。
『また、ってどういう意味!?』
「あ、いや、…実は前にも同じことをしたんだ。」
『それってまさかアスベルが…』
「そんな訳ないだろ!俺は教えてないっ、本当だ!」
何をそんなに必死なのかはわからないがアレックスが半目でアスベルを睨めば彼は大慌て。
ソフィも一体どこでそんな扉の開け方を学んだのやら…。
アスベルは決して自分じゃない、と言い張るが、じゃあアスベル以外に誰がいるんだという話である。
「また…?」
扉を破壊した本人は理解出来ておらず、ただ首を傾げるだけであった──。
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