〜白薔薇の君〜
『不気味だなぁ…』
呟いた言葉は静まり返る商店街の通りに消えていった。
いつもならセールの声や客で賑わう商店街もこうまで静かだと恐ろしく不気味である。
だがこの不気味な雰囲気の原因を誰も知らなかった。
武器を持った兵達が慌ただしく駆ける様を民は隅で固まって不安そうに眺めるだけ。
ふと、足りない何かに気づいたアレックスは街に植えられたら木々を見渡した。
『…鳥達がいない。この時期のバロニアなら、夢のように美しいのに…』
美しい鳥達の歌声
古風な家の街並み
それらを見つめるようにそびえたつ大輝石。
すべてが遠いどこかへ行ってしまったようだ。
一体、本当に何があったのだろう…。
…そんな時だった。
「見つけたぞ!!」
『?』
静かな街中で一際大きな声にアレックスは足を止めて振り返った。
『え…』
「アレックス・フェルディナンドだな?」
『あ、はい…、あの、これは…』
これは一体何なのだろうか。突如アレックスは3人の兵に囲まれてしまったのだ。しかも武器まで向けられているではないか。
「とぼけるな。お前には逮捕、または撃破の命が出ているのだぞ」
『なっ…!!逮捕!?撃破!?なによそれ!!』
全く見に覚えのない話だ。生まれてこのかた、犯罪など犯した記憶などあるわけもなく。…、…騎士学校の規則はたまに破るが…。
「言い訳は無用。話を聞かせてもらうぞアレックス・フェルディナンド。」
「大人しくしろ」
『いや、あ、あの…!?私は何もっ』
とか言いつつ、後退する私。いや、別になんも悪いことしてないからね!
…もはや誰に言い訳をしているのかも分からないアレックス。
そんな彼女の態度に兵達は武器突きつけてくる。
『ちょ、ちょっと待ってってば!!私何もしてないって!』
「言い訳は聞かんと言ったはずだ!!」
すると一人の兵が剣を抜き、アレックスめがけ、振り下ろす。
『──…!!!』
ガンッ
条件反射。
アレックスはそれを容易く避ける。剣先が石畳の地面を刻んだ。その隙に、避けた反動でアレックスは兵を蹴り飛ばしてしまう。
ドゴッ
『!!、しまった!つい…』
一撃ノックアウト。
まさかの抵抗に残った二人はうろたえ、その隙に行動するが早いか。敵前逃亡をアレックスは選んだのだった。
『ご…、ごめんなさい!!』
…何故か謝罪の言を残して…。
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