〜白薔薇の君〜

拍手連載
テイルズ・オブ・グレイセス





   「白薔薇の君」
     第12話







『到着~』


トンと木製の桟橋へ降り立つアレックス。

道中何の問題も無く無事、ここバロニアに帰って来られたのである。


…が、帰って来られたのはいいのだが、王都の雰囲気が出発前と違って感じる…気がする。空曇ってるし。




『何かあったのかなぁ』



どんよりした雰囲気は曇り空のせいか、それとも何か事件でも起きたのか。


とりあえず騎士学校へ戻ろう、とアレックスは港を出たのだった。









──…、




『あ、マユ!』



「?」



騎士学校の校門前で見知った顔に出会えた。親友のマユ・バルメインだ。

たった1日会っていなかったのに、とても懐かしく感じるのは何故だろう。思わず笑顔になるアレックス。


駆け寄ってくる親友にマユは数回瞬いた。



「アレックス!!?」

『マユ!』

「うそ!あなた一体どこへ行っていたのよ!!昨日の午後の講習も出ないで、それっきり…」

『ごめん。心配かけちゃったね。アスベルと一緒にラントへ実地任務へ出ていたの』

「アスベル・ラントと?何があったの?」

『話すと長くなるから、とりあえずマリク教官の教官室へ行こう?』



中へ促すアレックスにマユもえぇ、とぎこちなく頷き、彼女の後に続く。






「えぇ!!?ラントがフェンデルに攻められてる!!?」

『しーっ!!!』



廊下に響きわたったマユの声。焦って「静かに」とジェスチャーをする。



「ご、ごめん。でも…!!」

『うん。私もホントに驚いた。知らない間に王都の外で紛争が起こっているんだもの』

「ホントね…。で、一緒に行ったアスベル・ラントは?」

『彼、騎士学校を止めたわ。』



二度目の悲鳴(?)が廊下に響きわたる。



「うそ!やめたってっ…、彼結構長いんじゃないの!?学校」

『七年だって。卒業内定も貰ってたそうよ。』

「勿体無い!じゃぁもう騎士団に入れたんじゃない!なんで!?」

『…彼、実はラント領主の息子なの。お父様のあとを継いで領主になったのよ』

「そんなぁ…。残念」



あからさまにがっくりと肩を落としたマユ。何がそんなに残念なのか…。



「彼のこと、狙ってたのになぁ」

『……。』


…だそうだ。

何故かアレックスは、

(危ない、危ない)

と、思ってしまうのだった。





コンコンコン、と三回ノック。

目的の教官室に着き、ノックをしてみるが、何故が返事が来ない。


先程、マユに聞いたのだが、騎士学校は今休校中なんだとか。理由は不明で、生徒達は皆自宅待機か学校また寮で待機命令が下されていたのだ。


なら教官室に誰か居てもおかしくない…はずなのだが…。




『いないのかな』

「きっと騎士団に召集がかかったんじゃない?さっきヴィクトリア教官も慌てて城へ向かっていたもの」



危うく慌てるヴィクトリア教官に槍で突かれる所だった、とマユは語る。


『うーん。なら待っていてもしょうがないか。またあらためて来た方がよさそう』

「なら、アレックスはこれからどうするの?」


他のみんなは食堂に集まってるけど、と指で食堂がある方角を指す。




『私は一度家に帰るわ。お父様にお会いして、聞きたいこともあるし』



…会えるかどうか分からないけど。




「でも今学校を出るのは危険よ?待機命令だって出てるし…」

『平気。行って会えなかったらすぐここへ戻ってくるわ。提出物のレポート完成させないとね』

「ふふ、わかった。気をつけて」



校門まで送ってくれたマユに手を振り、アレックスは再び学校を出る。




行き先は、3ヶ月振りの我が家だ。





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