〜白薔薇の君〜
拍手連載
テイルズ・オブ・グレイセス
「白薔薇の君」
第10話
ラントの街に到着したアレックス達を民兵のバリーさんが出迎えてくれた。
…泣きじゃくる小さな男の子を連れて。
「皆は無事逃げられたか?」
「はい。おかげさまで全員無事に帰還出来ました。負傷者は何人が出ましたが…」
「お父さんが…っ僕のお父さんが…」
その負傷者の一人がこの男の子の父親らしい。
悲しい泣き声に胸が締め付けられる。
そんな男の子にシェリアがそっと頭を撫でる。
「大丈夫、安心して。お父さんのことはお姉ちゃんが治してあげるから。負傷者はどこに?」
「広場にいる」
「私は怪我をした人達のところへ行きます」
アスベルに対し相変わらずな態度でシェリアは一礼すると男の子と一緒に去っていこうとした。
『あの!』
「!、はい?」
『私もあとで手伝いに行きます。治療術、少しなら使えるから…』
「!、ありがとうございます」
思いもよらぬアレックスの申し出に少し驚くもシェリアは微笑み返したのだった。
その後ろ姿にバリーは苦笑い。
「彼女は本当によくやってくれています」
まるで天使のような存在です、と少し大袈裟にも聞こえるがそれほど彼ら民兵にとってシェリアの笑顔と治療術は精神的な支えなのだと。
バリーは申し訳なさそうに言った。
そのあとバリーと二、三言交わしたアスベルは少女を連れて屋敷へと向かった。
「アレックスも一緒に来るか?」
『あ、うん。』
*
「お帰りなさいませ、アスベル様」
「アスベル!!」
前者は先ほど会った執事のフレデリック。
後者は、
「ただいまもどりました…母さん。」
アスベルの母親、ケリーである。
七年ぶりの息子の帰還にケリーは涙を流した。
まさか家出たっきり七年も帰らなかったなんて…。
アレックスには信じられない話である。
「そちらの方は?」
ふと話をふられたアレックスはアスベルの隣に立ち、跪いた。
『お久しゅうございますケリー様。フェルディナンド家のアレックスにございます』
「まぁ!?アレックス!?」
「え?アレックスの事、ご存知なのですか?母さん」
まさかの展開だったであろう。自分の母親が隣に立つ騎士学校の同期生と知り合いだったのだから。
「えぇもちろんですとも。お父様と王都へ行った際、フェルディナンド家の屋敷でお世話になったものですから」
とケリーはとても懐かしそうに話した。
そうでしたか、と納得のアスベル。そういえば自分を残して二人が王都へ行っていた事もあったっけ、と思い出す。
「しばらく見ない間に綺麗になって…」
立ち上がったアレックスを上から下まで見るケリーに少し頬が赤くなる。
しかし、それもすぐにキリッと表情を引き締める。
『この度の悲劇、心からお見舞い申し上げます。ケリー様も状況はともあれ、大事なく安堵いたしました。』
「ありがとう。もう心配はいらないわ。アスベルが戻って来てくれたのだもの」
嬉し涙を流すケリーに反してアスベルはとても気まずそうに俯いた。
「すいません母さん。おれがここへ戻って来たのは状況を詳しく知るためで…」
「なんですって!?アスベル!ラントがこんな状況だというのにまた王都へ戻るというの!?もうあなただけが頼りなのよ!?」
ケリーの嬉し涙は悲しみの涙に変わり、それでもいい返事をしないアスベルは静かにケリーとすれ違い屋敷へと入っていく。
「アスベル!!」
「…すいません。少し時間を下さい。…考える時間を。フレデリック、アレックスを客室へ案内してくれ」
「はい、かしこまりました」
それを最後にアスベルとその背中を追った少女は扉の向こう側へ消えてしまったのだった。
テイルズ・オブ・グレイセス
「白薔薇の君」
第10話
ラントの街に到着したアレックス達を民兵のバリーさんが出迎えてくれた。
…泣きじゃくる小さな男の子を連れて。
「皆は無事逃げられたか?」
「はい。おかげさまで全員無事に帰還出来ました。負傷者は何人が出ましたが…」
「お父さんが…っ僕のお父さんが…」
その負傷者の一人がこの男の子の父親らしい。
悲しい泣き声に胸が締め付けられる。
そんな男の子にシェリアがそっと頭を撫でる。
「大丈夫、安心して。お父さんのことはお姉ちゃんが治してあげるから。負傷者はどこに?」
「広場にいる」
「私は怪我をした人達のところへ行きます」
アスベルに対し相変わらずな態度でシェリアは一礼すると男の子と一緒に去っていこうとした。
『あの!』
「!、はい?」
『私もあとで手伝いに行きます。治療術、少しなら使えるから…』
「!、ありがとうございます」
思いもよらぬアレックスの申し出に少し驚くもシェリアは微笑み返したのだった。
その後ろ姿にバリーは苦笑い。
「彼女は本当によくやってくれています」
まるで天使のような存在です、と少し大袈裟にも聞こえるがそれほど彼ら民兵にとってシェリアの笑顔と治療術は精神的な支えなのだと。
バリーは申し訳なさそうに言った。
そのあとバリーと二、三言交わしたアスベルは少女を連れて屋敷へと向かった。
「アレックスも一緒に来るか?」
『あ、うん。』
*
「お帰りなさいませ、アスベル様」
「アスベル!!」
前者は先ほど会った執事のフレデリック。
後者は、
「ただいまもどりました…母さん。」
アスベルの母親、ケリーである。
七年ぶりの息子の帰還にケリーは涙を流した。
まさか家出たっきり七年も帰らなかったなんて…。
アレックスには信じられない話である。
「そちらの方は?」
ふと話をふられたアレックスはアスベルの隣に立ち、跪いた。
『お久しゅうございますケリー様。フェルディナンド家のアレックスにございます』
「まぁ!?アレックス!?」
「え?アレックスの事、ご存知なのですか?母さん」
まさかの展開だったであろう。自分の母親が隣に立つ騎士学校の同期生と知り合いだったのだから。
「えぇもちろんですとも。お父様と王都へ行った際、フェルディナンド家の屋敷でお世話になったものですから」
とケリーはとても懐かしそうに話した。
そうでしたか、と納得のアスベル。そういえば自分を残して二人が王都へ行っていた事もあったっけ、と思い出す。
「しばらく見ない間に綺麗になって…」
立ち上がったアレックスを上から下まで見るケリーに少し頬が赤くなる。
しかし、それもすぐにキリッと表情を引き締める。
『この度の悲劇、心からお見舞い申し上げます。ケリー様も状況はともあれ、大事なく安堵いたしました。』
「ありがとう。もう心配はいらないわ。アスベルが戻って来てくれたのだもの」
嬉し涙を流すケリーに反してアスベルはとても気まずそうに俯いた。
「すいません母さん。おれがここへ戻って来たのは状況を詳しく知るためで…」
「なんですって!?アスベル!ラントがこんな状況だというのにまた王都へ戻るというの!?もうあなただけが頼りなのよ!?」
ケリーの嬉し涙は悲しみの涙に変わり、それでもいい返事をしないアスベルは静かにケリーとすれ違い屋敷へと入っていく。
「アスベル!!」
「…すいません。少し時間を下さい。…考える時間を。フレデリック、アレックスを客室へ案内してくれ」
「はい、かしこまりました」
それを最後にアスベルとその背中を追った少女は扉の向こう側へ消えてしまったのだった。