〜白薔薇の君〜
拍手連載
テイルズ・オブ・グレイセス
「白薔薇の君」
第9話
『ねぇ、その子が誰か、なんて今はどうでもいいじゃない』
「どうでも、って!」
アレックスの冷たい言葉にシェリアが反抗する。
『私達には先にやるべき事が他にあるでしょう?その子が誰であるかは後でもいいんじゃないですか?』
その言葉はシェリアもアスベルもはっ、と気づいた。
そうなのだ。
今のラントの状況と、ソフィ似の少女の事とはまた別の話。
するとアスベルは少女を振り返る。
「なぁ、これからどうするんだ?よかったら一緒に来ないか?」
アスベルが優しい声でそういうと少女は素直に黙って頷いた。
拍子にツインテールの髪が揺れる。
その仕草が愛らしくて私は思わず妹達を思い出し、小さく笑った。
アスベルもまた満足そうに微笑み、少女の頭を優しく撫でてやる。
するとそれに初めてだったのか、はたまた違和感を感じたのか。
少女は撫でられた所を両手で抑え、不思議そうに首を傾げる。
その仕草もまた可愛い。
「そうした方がいいわ。ここにいると危ないし」
「よし。急いで街へ戻ろう。あれから皆がどうなったかも心配だ。」
『えぇ』
今度はシェリアに促されて歩く少女。その時も撫でられた頭を少女はずっと抑えていた。
その様子にアレックスはくすっ、と笑って隣のアスベルを見た。
『アスベルに頭を撫でられた事、きっと心のどこかで“心地いい”って感じたのかも知れないね。』
それに今度はアスベルが首を傾げる番だった。
「そう、か…?」
『そう、だよ。』
始終ニコニコなアレックス。
すると、コツンと何かを蹴ってしまったのに気づく。
しゃがみ、蹴ってしまったものを拾ってみるとそれは手のひらサイズの黒い塊で。
『なにこれ』
「花の種だな」
アレックスの呟きにアスベルがひょこっと顔を覗かせて見る。
『種?』
「これは、クロソフィの花の種だ」
『へぇ、よく知ってるね』
とアレックスの関心した態度にアスベルは「昔シェリアに教えてもらった」と言った。
「昔、自分の名前も覚えてなかったソフィの名をその花からもらったんだ」
『そう。素敵だね。』
ソフィという少女のことを教えてくれたアスベルの顔はとても優しそうで。不覚にも私は少しときめいてしまった。
それを誤魔化すように笑って、種をアスベルに差し出した。
「?」
『あげる。私、花興味ないし。アスベル、自分の家の花壇に植えるといいよ』
「いや、おれも花は興味ないんだが…」
と、言いつつちゃっかり受け取るアスベル。
お互い小さく笑い合って、先を行くシェリア達のあとを追いかけたのだった。
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テイルズ・オブ・グレイセス
「白薔薇の君」
第9話
『ねぇ、その子が誰か、なんて今はどうでもいいじゃない』
「どうでも、って!」
アレックスの冷たい言葉にシェリアが反抗する。
『私達には先にやるべき事が他にあるでしょう?その子が誰であるかは後でもいいんじゃないですか?』
その言葉はシェリアもアスベルもはっ、と気づいた。
そうなのだ。
今のラントの状況と、ソフィ似の少女の事とはまた別の話。
するとアスベルは少女を振り返る。
「なぁ、これからどうするんだ?よかったら一緒に来ないか?」
アスベルが優しい声でそういうと少女は素直に黙って頷いた。
拍子にツインテールの髪が揺れる。
その仕草が愛らしくて私は思わず妹達を思い出し、小さく笑った。
アスベルもまた満足そうに微笑み、少女の頭を優しく撫でてやる。
するとそれに初めてだったのか、はたまた違和感を感じたのか。
少女は撫でられた所を両手で抑え、不思議そうに首を傾げる。
その仕草もまた可愛い。
「そうした方がいいわ。ここにいると危ないし」
「よし。急いで街へ戻ろう。あれから皆がどうなったかも心配だ。」
『えぇ』
今度はシェリアに促されて歩く少女。その時も撫でられた頭を少女はずっと抑えていた。
その様子にアレックスはくすっ、と笑って隣のアスベルを見た。
『アスベルに頭を撫でられた事、きっと心のどこかで“心地いい”って感じたのかも知れないね。』
それに今度はアスベルが首を傾げる番だった。
「そう、か…?」
『そう、だよ。』
始終ニコニコなアレックス。
すると、コツンと何かを蹴ってしまったのに気づく。
しゃがみ、蹴ってしまったものを拾ってみるとそれは手のひらサイズの黒い塊で。
『なにこれ』
「花の種だな」
アレックスの呟きにアスベルがひょこっと顔を覗かせて見る。
『種?』
「これは、クロソフィの花の種だ」
『へぇ、よく知ってるね』
とアレックスの関心した態度にアスベルは「昔シェリアに教えてもらった」と言った。
「昔、自分の名前も覚えてなかったソフィの名をその花からもらったんだ」
『そう。素敵だね。』
ソフィという少女のことを教えてくれたアスベルの顔はとても優しそうで。不覚にも私は少しときめいてしまった。
それを誤魔化すように笑って、種をアスベルに差し出した。
「?」
『あげる。私、花興味ないし。アスベル、自分の家の花壇に植えるといいよ』
「いや、おれも花は興味ないんだが…」
と、言いつつちゃっかり受け取るアスベル。
お互い小さく笑い合って、先を行くシェリア達のあとを追いかけたのだった。
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