〜白薔薇の君〜

拍手連載
テイルズ・オブ・グレイセス





   「白薔薇の君」
      第7話







『地形を…?』

「あぁ。例えば崖から落とすとか」



悪くない案ではある。

勝てないのなら、直接ではなく間接的に相手をするのが一番いい、とアレックスも教官から教わった覚えがあった。




『でも近くに崖なんてあるの?遠ければこちらが追い込まれてしまうわ』

「裏山の花畑が崖になっている。そこならここからそう遠くない。」

『そんな所があるのね。わかった』

「よし。俺が敵の目を引きつける。その間にみんなは安全な所へ」


思いもよらぬ発言にバリーがどうするのか、と問えば彼の返答は自信な満ちたものであった。



「─こうするのさ!」



不敵に笑うアスベル。
何をするのかと思えば、突然フェンデル軍に向かって大きな声で自分は元ラント領主アストン・ラントの息子だと名乗ったのである。

その大胆な行動に驚くアレックス。するとフェンデル軍の兵器はアスベルに標的をしぼったのか、めがけて前進してくるではないか。



『え…えぇ!!?』


驚きすぎて最早まともな言葉も出ない。



「よし。こっちに来たな。このままあいつを花畑に誘導して…」


冷静でいるアスベルに対し、アレックスは驚きと戸惑いで動けずにいた。そんな彼女に敵に視線を向けたままアスベルが言葉を放つ。



「アレックス。シェリアと共に街へ戻るんだ。ここは俺一人でなんとかする」

『え…』

「私は大丈夫」

「シェリア…」


まさかの返答だった。
シェリアも残ると言い出したのだ。これにはアスベルも敵から視線を外してしまう。




私はどうしたらいい?
このままアスベルの言うとおり、街へ戻るべきたろうか…。




だが…







『私も、一緒に残る』



自分だけ安全な所にいるなんて、もうしないと……今度は自分が守ると決めたのだから──…。




「アレックス…わかった」



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