第17章
夢小説設定
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「落ち着け。」
『――…っ。』
ダリューン様…。
耳元で感じた吐息と声。
エレンの両手の上に右手を重ね、左手で彼女の肩を支えた。
もう一度落ち着け、と静かに言う。
エレンが何をしようとしているのか理解したのか、小さく震えるその肩にダリューンは冷静になるよう言い聞かせる。
『は、い…。』
お願い
お願い
助けたい
助けたい…っ
『(助けられなければ…、こんな恐ろしい瞬間を一生思い出しながら生きていくの…?)』
私は…、どうやって生きていくの?
毎日こんなことに苛まれて生きていくの…?
ふわっと吹き返すように戻ったエレンの祝福の力。
なぜその時戻ったのかはわからなかったが、
ダリューンの手と重なり合ってる手に温かさを感じた――。
『お願い…、お願い、一度だけ…、』
助けたいと願う反面、こんな恐怖と一生付き合っていかなければいけないという恐ろしさ。
肝心な時に役に立たない己の不甲斐なさに涙が溢れた。
―泣くことは許されぬぞ―…。
『――…っ、』
その言葉に覚えがある。
自分の後ろでいないはずの人の声が聞こえた。
そんなはずはない。あの人は今、エクバターナにいる、はず…。
『(父上…、)』
やると決めたからには最後までやり通すのだ。それが騎士というもの。
『(わかっています…。でも…、出来ないのです)』
その程度の覚悟なら騎士を辞めるんだ。それがお前のためだ。
蘇る父との記憶のやり取り。
騎士になると決めた娘にサームはその持てる知識・技術すべてをもって彼女を鍛え上げた。
時には辛さのあまり、投げ出しそうになると今のように厳しい言葉を突きつけてきた。
その瞬間、頭の中で何かが砕け散った感覚がした――。
パァアと息を吹き返すように光る手。
そして目もくらむような眩い光。
彼女が泣いた。大粒の涙を流しながら大声で泣いた。
やっぱり私は誰も救えない。
王女であろうとそうでなかろうと。
結局救いたいのは自分の心なんだと。
眩い光が柱のように上空まで伸びていき、会場を包み込むほどの光はこの日国都ウライユールの各地からでも見ることが出来たという――。
第17章・完 2025/09/20