第17章
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「な…何が猛虎将軍だ!この俺がこの手で…」
「なりませぬガーデーヴィ殿下!あのパルスの騎士に勝てると思うのですか!?死んではなりませぬ!生きてこそです殿下!国王陛下の勅命に逆らい、神々の裁きにも背き、今や殿下は罪人となられた!今、ここで討たれてもおかしくはないのですぞ!」
その言葉に自分がしでかしたことの重大さがじわじわと実感してきたのか、ガーデーヴィの顔が次第に青ざめていく。
落ち着きを取り戻したガーデーヴィに剣を収めるよう説得するマヘーンドラ。
「今ここで剣を収めれば国王陛下も神々もお赦しになるでしょう。赦されずとも寺院に入り、罪を償う道もございましょう。このマヘーンドラ、殿下にどこまでもお供いたします。どうか剣をお収めくだされ…。」
どうか…。とすがるように説き伏せるマヘーンドラ。
失意のどん底に突き落とされたガーデーヴィは剣を持つ手を静かに下ろす。
「パルスの騎士殿もどうか剣を収めていただきたい!もうガーデーヴィ殿下に逆らう意思はござらん!この通りだ!」
ガーデーヴィの前に立ち、ダリューンに許しを請うマヘーンドラ。
それでも主を危険な目に合わせたことにダリューンの怒りは静まろうとしない。しかしマヘーンドラだけでなくなんとシンドゥラ国王陛下も許しを請うような言葉を紡いだ。
これにはラジェンドラも面白くはない。
出来ることならこの場でガーデーヴィが討たれることを彼は望んでいたから。
「パルスに尻尾を振るのか…」
「え?」
「やはり貴様は裏切り者だ。」
振り返ったマヘーンドラの腹部に突きつけたれた刃。
その刃は彼の体を貫いていた。
「パルスのたかだか一騎士に頭を垂れろとだと?罪を償え?坊主になれ?誰に物を言っているマヘーンドラ!」
貫かれた体は力を無くし、地に伏せる。
少し離れた場所で見ていたジャスワントは無我夢中で養父のもとへと駆け寄った。
「俺は王だ!俺が王だ!神々が間違っているのだ!」
ついに正気を失ったのか、自分が王だと。それ以外認めぬと騒ぎ立てるガーデーヴィ。マヘーンドラを斬りつけた剣で自分が王だと振りかざすと、その右腕に矢が刺さる。
放ったのは遠く離れたファランギースだ。
その矢で我に返ったのか逃走を図るガーデーヴィ。何人かは味方しよとしたがラジェンドラが奴に従う者は大逆罪になる!と脅すと誰も彼に付いて行く者はいなくなった。
武器を放棄して法と正義に従えとラジェンドラが命令する。
その言葉にラジェンドラ派の兵はおろかガーデーヴィ派の兵も国王陛下と次期国王であるラジェンドラの前で膝をつき、頭を垂れたのだ。
「マヘーンドラ様!」
倒れ伏した養父・マヘーンドラを抱き起こすジャスワント。
拾い育ててくれた養父に生涯を懸けて尽くすことを己の使命と自負していたジャスワントにとって今目の前に起きていることに心が追いつかず、ただ涙が流れるばかり。
『…。』
「マヘーンドラ様!マヘーンドラ様!」
バフマン様!
なぜ今…、あの時の光景が重なるのだろう。
泣き崩れるジャスワントとマヘーンドラ。
ペシャワールでのエレンとバフマン。
どちらも凶刃に倒れその命が消えようとしている。
「…すまぬなジャスワント。おぬしには何も報いてやれなかった…。」
「そんなことは…!」
そんなことはない、と。
自分は十分幸せだと言いたいのにそれを言ってしまうと今にもマヘーンドラが息を引き取ってしまいそうで。
「悲しむなジャスワント。仕える君主を誤り、婿選びも間違った…。愚かなわしに相応しい最後ではないか…。だがわしは幸せ者だ…。こうして息…子…、」
「マヘーンドラ様!」
言葉の続きが聞けるとこはなかった。
養父を抱きしめ泣き崩れるジャスワント。
その辛さを胸が痛いくらい身に沁みてわかった。
気づけば、体が動きジャスワントのもとへ。
パスル兵を押しのけ、シンドゥラ兵を押しのけ。
さらに先頭に立つダリューンを横切り、ジャスワントが顔上げるとそこに立っていたのはパルスの女騎士だった。
『その人を…救いたい…?』
「え…、」
『生きていて欲しい?』
「は、はいっ」
唐突な問いに頷くことが精一杯だ。
しかしその返答だけで、エレンは少しだけ笑ってみせた。
抱きしめるマヘーンドラの出血場所に両手を傷口を押さえるように乗せる。
その姿を周りの人は何が起こるのかわからずただ黙って見届けるばかり。
ダリューンもその一人。エレンが一体何をしようとしているのか。
「あの…、一体何を…」
『黙って。』
「…っ。」
傷の深い場所を治癒しなきゃならないのに…
溢れた血が全身を伝いどこが傷なのかさえわからない。
これ以上出血し続ければ私の“祝福”の力でも、太刀打ちできなくなる。
真剣な表情のエレンの顔をじっと凝視しているとマヘーンドラの傷口を押さえていた彼女の手が柔らかい光を放ち今度はそっちを凝視する。その優しい光に次第に養父の顔色に赤みが指し始める。
『(これくらいなんてことはない。そう…、大丈夫よエレン。しっかりしなさい。)』
嫌だと、思った。
泣き崩れるジャスワントがあの日ペシャワールで殿下をかばい亡くなったバフマンの死に嘆いた私。
この先一生この後悔を抱えて行くていくしかないと悟ったばかりなのに、涙を流すジャスワントと救えた筈の彼の養父。
きっとこのときのことも一生記憶に刻まれて行くのだと思うとそれがすごく嫌になった。
『どうして…、血が止まらない…。』
力が湧いてこない…。
血に塗れた両手を見つめる。いつもなら湧いてくる力がわずかしか感じられないのだ。
『お願い…、神よ…、お願い…、お願いだから…――。』
この人を…、助けて…、
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