第17章
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刹那、ダリューンが立ち上がる。
戦場で見る気迫に満ちた表情でバハードゥルを睨みつける。
立ち上がったパルスの騎士に会場はさらに沸き起こった。
「何をしているバハードゥル!さっさと片付けろ!」
ガーデーヴィの命令を聞いたのか聞いてないのかわからないが、立ち上がったダリューンに斧を振り回す。彼もここまで戦い続けた人は初めてかもしれない。
ドン、ドン、と交わされた斧が地面を破壊しながらダリューンを武舞台の端へと追い詰める。
追い詰められた、と誰もが落胆の色を見せた。
逃げ場が無くなったダリューン。武器もなく、盾も失い。
残すは身に付けているマントだけ。
それを振りかざすと終わりだと言わんばかりにバハードゥルが突っ込んでくる。
すると振り回したマントに火が付き、ダリューンはそれをバハードゥルの顔めがけて投げつけた。突然失われる視界と火だるまにされた顔にパニックに陥る。
もがいてもがいて、ようやく顔に張り付くマントを引き剥がせた時にはもうすでに遅かった。
視界が開けた先にダリューンの姿はなく、ひやりと首筋に刃が当たる。それが短剣だと気付いたときには自分の首が半分以上斬り込まれ、大量の血飛沫を上げた。それでもなおダリューンを殺そうと手を伸ばすがその手が届くことはなかった。
どぉん…と巨体が武舞台に倒れ伏す。
その瞬間が何秒もかかったように思えた。
ダリューンが怪物・バハードゥルを倒したのだ。
これには代理人に立てたガーデーヴィはおろか、ダリューンを代理人に立てたラジェンドラも驚き口が閉まらない。
戦い終えた本人は主に向かって軽く頭を下げる。
そこでようやくアルスラーンは彼が勝ったと、無事生還したことを実感し何度も彼の名を呼び喜びをあらわにする。
『はぁ…、』
こんなこと何度もあっては心臓が持たない。
不安は消え失せたが、握りしめていた手が震えを訴えた。
沸き起こる会場。
まさかパルス人が勝利するなど、誰も予想しなかった。
「ダリューンの勝ち。すなわちラジェンドラの勝利じゃ。神々よ、ご照覧あれ!次のシンドゥラの国王はラジェンドラに定まった!」
「ラジェンドラ!我らが主!」
「新しきシンドゥラ国王!」
この結果に納得する者、致し方ないと諦める者。
そして誰よりもこの結果を受け入れがたい者。
「認めぬぞおおおお!!」
自分が王になれると信じて疑わなかった者・ガーデーヴィだ。
素直に受け入れるとナルサスらは思っていなかったが。
それでも神々の審判ならば受け入れる可能性も少しはあったのでは、と心のどこかで期待していた。
「こんな不当な裁きに誰が従うものか!!俺は認めぬぞ!」
「殿下…」
「不信心者め!神々の裁きに対して異を唱えるのか!?」
ラジェンドラの言葉は彼に火に油を注ぐようなのも。
収まるどころか、さらに興奮する。
「神々が間違っている!」
「神前決闘の結果に異議を唱えることはあってはならぬことですぞ、殿下…。ましてやこれは勅命によるもので…」
「黙れ!」
ついには進言し常に支えてくれていた宰相・マヘーンドラに向かって疑いをかける。自分を裏切ったと。
「もはや貴様など、頼りにせぬ。シンドゥラの王位は俺のものだ…!父上…、私に王位をお譲りください…っ。」
この剣に懸けて、とその手に剣を抜いた。
実の父に向かって。
自ら謀反人に成り下がろうとしている様を見ながらナルサスはエラムに逃げる支度を指示する。
このままこの場にいては巻き添えを食らうだけだ。
結局は国王陛下の前でガーデーヴィとラジェンドラは剣を取り合う始末に。お互いがお互いを討てと戦いが起こる。
戦禍に巻き込まれぬよう、アルスラーン殿下一行はその場を離れる。
しかし無関係だというのにシンドゥラの兵士はこちらにも向かって来る。それを切り開こうとファランギースとギーヴが前に出た。
『後ろは私が!』
前後に挟まれ、追ってくる兵をエレンが次々と斬り倒していく。
倒しても押し寄せてくる兵士のど真ん中に先程まで武舞台に立っていたダリューンが突然飛び込んでくる。
つい先程バハードゥルという怪物を倒したばかりのこの男。
彼の登場に恐怖し、思わず後ずさる。
ガーデーヴィが腰の引けた兵士に戦えと命じるが誰も彼に立ち向かう者はいない。
その姿を味方で良かったと心底思うラジェンドラが彼のことをこう例えた。
群れで戦うことを必要としない
たった一人で狩り場に飛び込んでくるその様は
まるで“虎”のようだ、と。
「異国の猛き虎…、」
「猛虎将軍(ショラ・セーナニー)…!」
シンドゥラではダリューンのことをそう語り継がれていく…。
誰も立ち向かう者がいない。一人また一人と降参していき次第にガーデーヴィの前には誰も立つものはいなくなった。
自ら戦おうと剣に手を伸ばすが、それをマヘーンドラが思いとどまらせようとする。
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