第16章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シンドゥラの国王陛下は長い間眠りに付いたまま。
それがここにきて意識を回復なされた、との知らせを聞きガーデーヴィ、ラジェンドラ両名の王子が城へと帰還した。
その間パルス軍は国都ウライユールにほど近い場所で陣を張り、事の沙汰を待った。
そしてラジェンドラが城より持ち帰った話が…、
神前決闘――。
『ナルサス様、ご存知ですか?』
「【神前決闘】。神々の名において正義を決めるこの国独特の裁判だ。相争う二名が武器を取り、決闘し勝った方が正義となる。カリカーラ王はこれで正式な後継者を決めるらしい。」
「シンドゥラの王様はよっぽど責任を取るのがお嫌いらしいな。偉そうなことを言って結局は神々に判断を押し付けておいでになる。」
ギーヴの嫌いそうなことだ。
「シンドゥラの神々がどちらの野心家を贔屓するのか、敗れた方が素直に神々の意思に従うか…。いずれにしても観物じゃな。」
アルスラーンはこの裁決方に納得が行かない様子だった。
「強い方が勝ち、勝った方が正しい。ということになるのか?それは本当の正義に結びつくのだろうか?」
「仰る通り。ですがこの決闘には立派な長所があります。このまま両軍が衝突すればどちらが勝つにしても死者が多数出るでしょう。ですが神前決闘であれば死ぬのは敗者のみ。」
『たとえ相打ちになっても死者は二人で済む。それ以上の争いはないと言うことですね。』
「カリカーラ王としては苦肉の決断でしょう。」
「そうか…、そうだな。」
アルスラーン殿下はナルサスの解説に不満はあるが納得はした様子。
神々に判決を委ねるなど、パルス国からしたら異様なことだが、ナルサスから言わせると最善の策ともいえるそうだ。
敵にせよ味方にせよ、これ以上死者が出ることがない。
「こればかりは私も予想しておりませんでしたが、戦いが長期化しないのは幸いと申しましょうか。」
『遠征が長引けばそれだけ兵糧も必要になります。ペシャワールの財政をこれ以上遠征で消費し続けるわけには行きません。それに本国を留守にし続けるにはいきませんものね。』
「なるべく早くペシャワール城に戻り、ルシタニアとの決戦に望みたいものだ。」
ナルサスの頭の中はもはやシンドゥラにない。
遥か遠く。西で待ち構える王都エクバターナ。ひいてはそこを居城とするルシタニアだ。
「神前決闘が行われるとして代理を立てても良いと言うが。ラジェンドラ王子は誰を戦いの代理に立てるのだろう?」
身内、あるいは部下でも良い。とカリカーラ王は仰られた。
ラジェンドラの知る限りの最強の勇者といえば、とその場にいた全員がすーっと視線を横にずらし、熱心に剣の手入れをする黒衣黒馬のパルス騎士・ダリューン。
彼にほかならないだろう。
すると言ったそばからラジェンドラが意気揚々とアルスラーンの天幕においでになる。
「俺はダリューン卿に全てを委ねることにした!快く引き受けてくれるとありがた「迷惑ですな。」…。」
ラジェンドラの言葉を最後まで聞くまでもなく断るダリューン。
まさか拒否されるなんで微塵も考えてなかったとでもいう顔だ。
「…。まさか、ダリューン卿は決闘に勝つ自信がないと言うのではあるまいな?」
「ご解釈はお好きなように。私はアルスラーン殿下の臣下でござる。殿下のご命令がない限り、どのような御用もお引き受け出来ぬ。」
その気迫にラジェンドラはふざけた雰囲気を押し込めた。
つまり、彼に決闘に出てもらうにはこの幼い盟友に頭を下げろということ。それが彼とかの国への最大限の礼儀とも言えよう。
腹をくくったのか、それともよほど切羽詰まっているのか。
ラジェンドラは潔くアルスラーン殿下に頭を下げた。
「アルスラーン殿!頼む!この通り!我が代理人としてダリューン卿に神前決闘に出てほしい!」
「…。ダリューン。」
その言葉に主の命が下ったも同然。
「御意!」と気合の入った返事が返ってくる。
こうして神前決闘に出るため、アルスラーン殿下一行と少数のパルス兵を引き連れてウライユールへと招待されたのだった。
第16章・完 2025/09/10.