第16章
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「ばかばかしい事態になった。」
『ナルサス様?』
グジャラート城に滞在すること数日。
その間にいろいろと状況が動き出す。
軍議の間に呼び出されたエレンはナルサス、ダリューンと三角になるよう座する。
そしてナルサスが一番に口を開いた言葉がこれだ。
国都ウライユールから出撃したガーデーヴィ軍、その対面に位置するパルス軍。そしてウライユールとガーデーヴィの間に進撃したのが分散合撃を提案したラジェンドラ軍だった。
『アホなのかしら。あの王子は…。』
「言葉もないな。」
ダリューンも呆れた顔だ。
あのアホ王子のことだ。してやったりと意気揚々・鼻高々に笑う彼の顔が浮かんで余計に三人を苛つかせる。
「対立する二つの陣営が兵を二分させて孤立してしまっている。各々味方と距離が離れすぎているのでこれでは連携が取れない。」
『ガーデーヴィ陣営にしても、ラジェンドラ陣営にしても国都と我らパルス兵と。連携が不可能な状況ですね。』
だからナルサスはばかばかしい事態だと罵ったのだ。
キシュワード様、私にシンドゥラの王子達に不敬な態度は控えよ、と仰ったがそれはナルサス様にも言って差し上げてほしかったな。
私よりも遥かに不敬な態度な気がする。…ラジェンドラと呼び捨ててるし。
「私としては、ガーデーヴィがラジェンドラとウライユールの北方街道でばったり出会ってそのまま決戦になだれこむことを期待したのだが…、」
『予想を遥かに超える御方ですね。虫がよすぎました。』
「まったくだ。…だがすぐよい虫に変わるだろう。もともと彼ら戦うために兵を動かしている。そうだな…、」
ガーデーヴィが決戦を覚悟するまで長くとも三日といったところか――。
* * *
「ペシャワールから物資が届いたぞ!」
夜も更けた異国の空の下。
静まり返っていたグジャラート城は支援物資の到着に一気に活気が湧く。
「間に合ったぁ!」
「夜中になる前に着いてよかったな」
「急げ―!」
『ご苦労さま。その荷は向こうへ運んでくださる?』
「エレオノール様!」
現れたのは支援物資の手筈を最初から任されていたエレン。
糧食と軍備品、医療品などをてきぱきと指示を出し移動させる。
「ずいぶん手際が良いな、エレン。」
『殿下!まだお休みになられてなかったのですか?』
ダリューンをお供にその場に現れたアルスラーン殿下にエレンだけでなく兵士達も驚く。
『エクバターナでは戦以外では地方へ赴き、似たようなことばかりしておりましたので。』
「そうか。助かるよ。しかしこうして改めて見ると戦には大量の兵糧がいるとわかるな。」
「殿下っ、このような場所にいらしては誇りだらけになってしまいます。」
気さくに話かけてくれるパルスの兵士。
アンドラゴラス陛下ではありえない事だ。
そもそも陛下はこのような場所にはいらっしゃらない。
アルスラーン殿下のお人柄ゆえ、というのがこういうところをみるといつも思う。
「気にせず仕事をしてくれ。お主たちの仕事ぶりを見ていると私もしっかりせねばと気が引き締まる。寒い中、遠路行軍で体が冷えただろう。エラム、彼らに温かい食事と酒を用意できるかな?」
「手配して参ります。」
二つ返事で返すエラム。このあと物資を運んでくれた兵士達に酒と食事が与えられそれを大層嬉しそうに平らげるのだった。
頂いた食事と酒にアルスラーン殿下に感謝の言葉を述べる兵士。
『(結局、あぁいうところが陛下とは違う。陛下には陛下の。殿下には殿下なりの仕えたいという理由が私達にあるということ。)』
アルスラーン殿下と兵士達のやり取りを見ていると、なぜだろう。
嬉しくなる。
「何を笑っている?」
『―!ダリューン様。いえ、殿下が誰とでも分け隔てなく接している姿をみると何だか嬉しくて…。これが私達の知るアルスラーン殿下なのだと。…そうは思いませんか?』
「そうだな。それが殿下の良いところの一つだな。」
『ふふ。ダリューン様には殿下への想いがたくさんお有りなのですね。』
「当たり前だ。」
心外だと言わんばかりに自慢げに言うダリューン。
殿下の良いところはまだまだたくさんある、と話が長くなりそうだったところへ、「ダリューン様。」と後ろから兵士が何かを持ってやってきた。
「ダリューン殿へキシュワード殿より預かって参りました。」
「キシュワード殿から?」
えらく長い布に包まれたそれ。
受け取った彼がその荷を解くと、姿を表したのは【戟】という異国の武器であった。
それにしてもかなりの長さ。
大柄なダリューンさえゆうに超える長い獲物にエラムも釘付けだ。
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