第15章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
城に残った侍女や兵士達が一箇所に集められ沙汰を待っていた。
慣れた城の中に敵国の兵であるパルス兵がいることが彼女達に不安感を与えているようで。
「私たち、どうなってしまうのかしら…。」
「殺されたりしないわよね…?」
「やぁやぁ。麗しの女神たちよ!」
「―!」
聞き覚えのある陽気な声。
声の方を見るとそこに現れたのは。
「ギーヴ様!」
見知った顔だとわかると一斉に駆け寄る侍女たち。
「ひどいわ!なぜこんなことを!」
「なぜって…、“また明日会えるのを楽しみにしてる”といっただろう?」
「…。」
確かに言ったけども…。と静かなる怒りが顔に出ていることをギーヴは気づかない。
そんなことも気にせず、
「心配せずともよい。アルスラーン殿下は慈悲深い御方ゆえ、そなたたちを手に掛けることはない。
いや、万が一殿下がそなたたちをどうにかしようとした時はこのギーヴが君命に逆らってでも…、」
こんな時にも女性を口説くギーヴ。探されているとも知らずに。
「ギーヴを見かけなんだかエレン。殿下がお呼びじゃ。」
『“女神たち”の不安を取り除いてくると。』
「なるほど。」
ようわかった。といって麗しの女神官殿は目星がつくのかエレンの短い言葉の中にギーヴの居場所を把握し、「お主も殿下の下へ行くのじゃ」と伝言を残すと、颯爽とその場を立ち去っていった。
「とにかく私は、ずっとここにいるから安心するが良い!「殿下がお呼びじゃぞ」今すぐ参ります!」
先程の言葉はどこへやら。
今しがた吐いた甘い言葉とは一変、呼びに来たのが愛しのファランギースだとわかるとなんとも嬉しそうに後をついていくギーヴという男。
「早うせい。」と急かされながらもそんなこと気にしない。
呼ばれた先は城の正門広場だ。
そこでは縄で縛られたジャスワントとその前にはアルスラーン殿下、そばで控えるダリューンとナルサス。
エレンはその後ろから事の様子を見守っていた。
「命乞いはせぬ。速やかに俺の生命を断つがよかろう。俺はシンドゥラ人だ。パルス人に俺の国を売ることは出来ぬ。パルスを裏切ったのではなく、シンドゥラに忠誠を尽くしただけのこと。」
真っ直ぐに迷いのない瞳で王太子殿下を見るジャスワントにアルスラーンも心が揺らぐ。
「さぁ、やれ。」と首を差し出すジャスワント。
その後ろでギーヴが剣を首筋にあてがう。
「では望み通りに。貴様の首を刎ねた後はせいぜい悲壮美たっぷりの四行詩(ルバイヤード)でも捧げてやるさ。あの世でシンドゥラの神々に自慢するんだな。」
あてがった剣先を空高く掲げる。
ギーヴがそれを振り下ろそうとした瞬間――。
「――待ってくれギーヴ!」
「―!」
「斬るな。」
まるでその言葉を待っていたかのように彼は口角を上げた。
そう。ギーヴの知る彼ならば必ず止めるだろう、と予想してたからだ。
「そうおっしゃると思いましたよ。」
「ギーヴ…。」
「殿下の仰せとあらば、剣を引きます。――がどうか後日、後悔なさらぬよう願います。」
「あぁ…。縄を解け。ジャスワントを解放する。」
その言葉に広場にどよめきが走った。
本来ならば打首にあうのが当然。アンドラゴラス陛下なら必ずそうした。それを知っているからこそパルス兵達には衝撃だった。
アルスラーン殿下がそうしなかったことを。
それは打首にされて当然のジャスワントでさえ信じられないといった表情を見せる程に。
「よいな、ナルサス。」
問われたナルサス。
平然と答えるあたり、彼も殿下がこの選択をすること見抜いておられたようで。
さしずめギーヴにもそう伝えてあったのかもしれない。
殿下はジャスワントを死なせない、と。
「殿下のお心のままに。」
縄を解かれたジャスワント。
解放された彼はアルスラーン殿下に目もくれず、颯爽とグジャラート城をあとにする。
それを遠くで見ていたパルス兵は不思議に思っただろう。
「あれ?あやつ解放されたぞ」
「返していいのか?」
「ナルサス卿の策かな?」
そう口々に話すがさして深刻そうな雰囲気ではなく。
これもナルサス卿の策の一つだろう、と。
少し心配になったアルフリードが代表して軍師に訪ねた。
「ナルサスの指示なの?」
「いや。私は何も言っていない。」
殿下のご意思であると。
.