第15章
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『(密偵、の可能性がある、か…。)』
ジャスワントという男に気づかれぬよう密かに観察するエレン。
すこしでも怪しい動きがあれば文句もいえるのだが。
はたして彼がそんな下手な行動をするかどうか。
しかしこうしてずっと監視しているわけにもいかない。
行軍が再開するにあたって、エレンはアルスラーン殿下と別れ隊列に戻らなければならないのだ。
『案内人のことは頼みます。私は隊列に戻りますのでなにか用があれば申し付けください。行こう、セト。』
離れたところで控えていたエレンの専属護衛のセトという男。
はっ、と小さく返事をする彼をダリューンは誰かと訪ねた。
「聞きそびれていたが、その者は?」
『お伝えしてませんでしたね。セトといいます。キシュワード様より此度の遠征に参加する条件として彼を私の専属の護衛としてつれていく約束なんです。』
「専属の…、そうだったのか。エレンを頼んだぞセト。」
「最大限務めさせていただきます。」
軽く頭を下げる。
彼女のそばにセトがいる。そのことがダリューン心のどこかで引っかかった。
遠く離れていくエレンをじっと見つめるダリューンをファランギースは小さく笑みをこぼすのだった。
行軍すること数日、パルス軍はシンドゥラ国主要城塞・グジャラート城塞にぶち当たっていた。
グジャラート城塞
シンドゥラの北方山岳地帯から国都ウライユールへと伸びる街道を押さえる要衝の一つである
城司ゴーヴィン将軍の下に二人の副城司がいる
ターラ将軍とプラケーシン将軍である。
一月の末
グジャラート城の西 一ファルサングを隔てた街道でパルス軍はプラケーシン率いる四千五百の軍と衝突した
どちらも引かぬ戦いの中で、プラケーシン将軍が次々にパルス兵を打ち取って行く。
「道を開けよ!雑兵共!俺が欲しいのはアルスラーンの首のみだ!」
威勢のいいプラケーシン将軍の前へお相手とばかりにダリューンが対峙する。
「邪魔だどけぇ!!」
「――…っ!」
プラケーシンの剣がダリューンに届く前より早く彼の剣がプラケーシンの喉を切り裂き、一瞬で倒してしまう。
プラケーシン将軍が敗れたことで動揺し、敵の一気に士気が下がる。
すると誰かがカーヴェリー河でプラダーラタ将軍を倒したのが黒衣黒馬の男だったと情報を思い出し、それがダリューンだとわかると敵は一目散に城へと引き返していった。
『落としきれなかったか…。あの城を落とすのは骨が折れるわね…。』
「なぜそう思うのですか。」
落城は不可能と判断したエレンにセトが問う。
『城をよく見て。城壁は高く、周りの濠は深い。それに城壁には投石機も備えてる。城攻めが出来る軍備を今のパルス軍は持ち合わせていない。正面から突破するのはほぼ不可能よ。あの城の中を把握出来ていれば攻略する方法も思いつくかもだけど…。』
「その通り。」
『―!ナルサス様。』
後ろを振り返るとアルスラーン殿下とともにナルサスがエレンのもとに来る。
「やつら、立て籠もって国都からの援軍を待つ戦法に切り替えた。…にしてもさすがサーム殿の令嬢だな。城の攻防について詳しいときた。」
「そうなのか?」
えぇ。とアルスラーンに返事をするナルサス。
エレンの養父・サームは城の攻防に対する知略が抜きん出ていたため、王都エクバターナの守備もよく任されたいたのだ。
その知識をまさか娘にも教授していたとはナルサスには予想外だった。
『剣以外に他に教えられるものがない、といって私にパルスの各領地にある城の構造や攻守の方法など。城攻めのあらゆることを叩き込んでくださいました。』
「それは頼もしい。…では今のこの状況、お主ならどう対処する?」
わかっていながらナルサスはエレンに質問する。
エレンは顎に手を添え考える素振りを見せ、数秒して、方法はいくつかありますが…、と話し出す。
『あまり悠長に時間をかけている場合ではありませんので。』
「そうだな。」
『ここは使者を立て、無血開城を進める方法が良いかと。』
その返答にナルサスは嬉しそうに口角上げた。
目は笑っていなかったが。
で、なぜかこうなった…。
『(なんで私が使者に…。)』
言い出しっぺってやつ?
まぁ護衛にギーヴと案内人のジャスワントをつけてくれるというが。
『服を着替える必要があるの?』
「ナルサスが言うんだから仕方ないじゃない?」
ナルサスから「身だしなみを整えろ」と言われ彼から頼まれてアルフリードはどこか楽しそうに着替えを手伝う。そして身だしなみを整えるのにファランギースと二人がかりで着せ替え人形のように着替えさせられるエレン。
「使者ならば第一印象が何より大事じゃからのう。」
『使者を立てようなんて言わなきゃよかった…。』
ナルサス様なら絶対そう考えていたはずだ。なのにあえて私に発言させた。私に行かせようとしたからか。
「ナルサス卿はお主にやってもらいたかったのじゃろう。…髪はどうする?」
『あ、前髪はサイドに分けてくれる?やるならとことんやってやるわ。』
わかった。といいファランギースは言われた通りの髪型にしてくれた。
「わぁ、印象がずいぶん変わるね!よく似合ってる!」
『ありがとう、アルフリード。ファランギースも』
白をベースにしたローブのような足首まで隠れるドレスの衣装に差し色のうぐいす色の生地が映える。髪型も前髪を左右に分けたことでおでこが見え、より彼女の碧い瞳が際立って見えた。