第13章
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彼女は己の無力を許さない。
父と兄を殺され、城を逃れこの世界で生きていく為に。
一人では何も出来ない自分を恥じて。
何をすべきがをもがきながら、探しているのだ。
そして、見つけた。
ダリューンはエレンの決心に、にやける顔が出てしまいそうになる。
見ていたい、と思った。
人間らしく足掻くその姿を。
国の為にと、誰かに頼まれたわけでもなくただ民の為に。
剣を取り、泥にまみれ、ぼろぼろになっても歩く足を止めない。そんな姿を見ていたい思うのは何故だろう。
彼女の覚悟を受け止めた先輩万騎長は不敵な笑みを浮かべた。承知した、と意味を込めて。
「男と女ではやはり違う。決して楽な道ではないぞ。それでも良いか?」
真剣な表情のキシュワードにエレンは『もちろん。』と首を縦に振った。
『望むところです。どんなことだろうと乗り越えてみせます。知識が足りぬなら学びます。力が無いのならつけてみせます。アルスラーン殿下やキシュワード様、ダリューン様、ナルサス様の隣に堂々と並べるように。』
「お主…、」
ダリューンは小さく目を開いた。
わかっていた。
ダリューン様やキシュワード様が自分と話すのは万騎長サームの娘であるからだと。それをなくせば私などその辺の娘と何も変わらない事を。
侍女として王宮や城に勤めをしていても不思議ではない。
その後、ナルサスから頼まれ事があるからとその場を立ち去ったエレン。その後ろ姿は以前よりも堂々とした立ち振舞がにじみ出ていた。「大変な事を頼まれてしまったな」とキシュワードはダリューンに向けて肩をすくめるもその顔はどこか楽しそうでもあった。それはダリューンも同じようで。
「望むところです。」
「ははっ。お手柔らかに頼むぞダリューン。」
ダリューンを師と仰ぐアルスラーンもその大変さは身にしみて知っている。苦労しそうなエレンを想像して苦笑いしたアルスラーンにダリューンも「はい。」と少し困ったような表情を返したのだった。
第13章・完 2022/12/10