第7章
夢小説設定
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『乗って!』
「え――、」
『早く!』
「わ、わかった…っ」
さっきとは別人かのように人が変わった目の前の女騎士。
『あなた名前は?』
「あ、あたしはアルフリード!」
『そう。アルフリード、私はエレオノール。エレンって呼んで。』
「エレン…、」
『アルフリード、しっかり掴まっててね。そろそろ時間だわ。』
「時間って?―っわ!」
後ろから覗き込むようにしてエレンを見ようとしたのだが彼女が急に激しい手綱さばきをしてみせたことで馬が急に走り出し、銀仮面卿が並走するそうに追ってくるのが見えた。
ガキン!!
「その“荷物”、さっさと捨てれば良いものを。そのせいで己の命を危険にさらすなどバカバカしいことだ。」
“荷物”と呼んだのはエレンの馬に乗るアルフリードのことだ。
『くっ!それじゃ助けに来た意味が無いでしょう!ご心配なく!あなたに勝つつもりはさらさら無いのよ!』
「貴様…っ、」
「勝つんじゃないの!?」
てっきり倒すつもりで来たのだとばかりアルフリードは思っていた。
なのにエレンは勝てませんとはっきり言うではないか。じゃあ一体何をしに来たというのだろう、この人は。
銀仮面卿を振り切るように馬を走らせる。
すると前方から見慣れた馬と人を視界に捉えた。
ナルサス様だ。
『!…ナルサス様!』
「エレン、時間稼ぎご苦労だった。“王子様”のフリをするのも大変だな。」
『聞いてたんですか…。』
目の前のナルサスはなんともいじわるそうにくっくと笑みを浮かべた。
「この人は?」
『この方はナルサス様。味方よ。』
「ふ〜ん。なかなか良い男ね。」
『…。』
アルフリードの感想にエレンは苦笑い。
「久しいなヘボ画家。王都で食うに困ってこんな辺境の地まで流れて来たか。」
「お主に付き合っているとだんだん人外境へ近づいていくようで困ったものだ。」
「貴様はかつてアンドラゴラスの忌避を買って宮廷を追放されたそうだな。」
「…よくご存知で。」
「アンドラゴラスの小せがれはどこにいる?」
「そうだな…。お主が死んだら教えて差し上げてもいいが。」
「――出来るか?」
「まぁ努力してみるとしようか。」
銀仮面卿とナルサスの一騎打ちが始まる…かと思った。だがそのナルサスがちらりとエレンに目配せをしたのを彼女は見逃しはしなかった。
同じタイミングで剣を振り上げたかと思えば、突然地鳴りのような音がこちらに向かってくる。
それは広範囲に渡って転がり落ちる岩だった。
ナルサスはあれを一人であんな短時間で仕込んだというのだろうか。恐ろしい人である。
ルシタニア兵はゾット族の伏兵がいるのかと勘違いしてしまい混乱するばかり。
その隙にとナルサス、エレンとアルフリードはこの場を退散する。さすがの銀仮面卿も迫りくる岩を避けるので精一杯だったらしく、後ろでナルサスー!と叫ぶ声が遠くから聞こえるだけだった。
「何!?なんだったの!?」
「おぬしらと銀仮面がやりあっている間に仕掛けを作っておいたのさ。そのためにエレンにお主を助けて時間を稼いでもらっていた。」
「あ、だからさっき時間がどうとか言ってたんだね。」
『えぇ。』
「石と木片と革紐を使って作っておいた“てこ”が時間をかけて動き出し、連鎖的に岩石を落としたってわけだ。」
「へぇー、あんた頭いいんだねぇ」
かりにも年上であるナルサスを“あんた”呼ばわりするのはどうかと思うが。いかにも盗賊の娘って感じがする礼儀のなさのアルフリードをエレンは黙っておくことにした。
『出来れば銀仮面も仕留めれればよかったのですが…、あの様子だとそうもいかないでしょうね。』
「あ!あの男!今度会ったら必ずこの手で殺してやる!あんた次は邪魔しないでよ!あとさっさと剣を貸すこと!」
『はいはい。あと“あんた”じゃなくてエレンね。わかってるわ…、お父様の仇だものね…。』
「…。」
エクバターナに一人残してきた父親を思い出してるのだろうか、とナルサスは声のトーンを落としたエレンをちらりと見る。
父・サームは負傷し王宮にて監禁されている、と以前彼女は言っていた。そして自分もそうだったと。きっと父親のことが気がかりなのだろう。
気丈に振る舞ってはいるが、本当は心配でたまらないはずだ。
「そうさ…。心臓を一突きにしてやるんだ…。今日はあんた達に助けてもらったね。何かお礼しなきゃ…そうだ!あいつを倒したらあの気色悪い銀の仮面をあんた達にあげるよ!」
「仮面を?」
『……、』
あれか…、エレンは趣味の悪そうな銀仮面を思い出す。
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