第7章
夢小説設定
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『ナルサス様っ』
「どうした。」
『ここは敵に見張られていたようです。行きましょう。』
「待ち伏せていたか。隙のないやつらだ。」
二人は急いで馬に乗り、その場を離れる。
一方で崖上から見張りをしていたルシタニア兵はある人物の元へ報告しに行っていた。
「奴です!ナルサスです!」
その相手とは以前エクバターナで対峙した銀仮面卿であった。
ルシタニア兵を引き連れてアルスラーン殿下を捕らえに来ていたのだ。
「一人か?」
「いえ、もう一人いました!遠目だったのではっきりとは見分けは付きませんでしたが、背格好からしておそらく女かと…。」
「女…。」
「水場を張っていて正解でした!」
「アルスラーンではなかったのが惜しいが今ここでナルサスを――、」
* * *
『追って来ませんね。』
「あぁ。…いや、そうではないな…。」
『ナルサス様?』
ナルサスは耳を澄ませた。
かすかにだが剣がぶつかる音がしたのだ。
誰か戦っているのか。
「さっきの斥候がいた方角から音がする。…味方か…、あるいは…、」
『――。行ってみますか?』
味方でないのならやり過ごすが、もし味方に出会ったのなら行かぬ訳にはいかない。
進んでいた道を引き返すナルサスとエレン。
たどり着いた先では案の定、戦いが起きていた。
だがその相手は味方ではなかった。
朱色の模様を顔に塗り、毛皮や動物の牙の装飾品を身に着けた人達。
エレンは初めて見るたぐいの人であった。
隠れてその場を見守っていた二人。
『ナルサス様、あの人達は一体…、』
「ゾット族だ。」
『ゾット族?』
ゾット族。
よくいう盗賊と称される者達なのだが、金さえあれば傭兵にもなったりするのだとナルサスは言う。
その中でも一際勇ましい少女がある人物に向かって剣を振っていた。
『あれは銀仮面卿…、』
「ほう…。エクバターナで会って以来だな。よもやこんな辺境の地まで追いかけてこようとは…、」
それはともかくだ。
このまま放っておいてはきっとあの少女は銀仮面卿の手にかかるだろう。
ルシタニア兵に立ち向かっていったゾット族であったがみなやられてしまい、気づけば彼女一人に。これでは形勢逆転は不可能だ。
『ナルサス様、助けた方が…良いのでは?』
「ふむ。お主あの銀仮面の君を足止めしておくことは出来るか?」
『足止め、ですか?』
「あぁ。無理に勝とうとしなくて良い。その間に俺が策を講じよう。…出来るか?」
ナルサスの目は真剣だった。
本気で私があの銀仮面の男相手に時間稼ぎが出来ると考えているのだろう。
『…無論です。お望みとあらばいくらでも。』
「ふっ。まこと頼もしいことだな。だが無理はするなよ。危険と感じたらすぐにあの娘とともに引くのだ。あとは俺が相手する。」
『わかりました。』
策とやらを講じるためにナルサスはその場から静かに立ち去る。
エレンは眼下で果敢に銀仮面に立ち向かうゾット族の少女を助けるべく降りていった。
「たかが…、盗賊風情がっ!」
「――っ!!」
銀仮面卿が剣を少女に向けて振りかざす。
身動きの取れない少女は死を覚悟した。
その時だった。
ひゅん―!
「――っ!?」
一本の矢が銀仮面卿に向けて放たれる。
少女に向けて振りかざしていた剣でその矢を斬り伏せた。
「だ、誰…っ!?」
間一髪で命拾いした少女は矢を放った者を振り返る。
『こんなところまで追いかけてくるなんて。ルシタニアの軍師殿はずいぶんお暇なのかしら?』
「貴様こそ、こんな辺境の地まで逃げていようとはな。いっそこのパルスから逃げおおせればよいものを…。」
『あなたとルシタニアがこのパルスからいなくなったらぜひそうしようかしら。…そこのあなた、大丈夫?』
「余計なことを!こいつは親父の仇なんだ!あたしが倒すんだ!」
『えー。』
せっかく助けにきたのにまさかの全拒否?
殺されかけたくせにずいぶん強気なお嬢さんだ。
『せっかくピンチを助けに来た“王子様”になろうと思ったのに。』
「――。」
エレン#の発した“王子様”という言葉にピクリと反応してみせた銀仮面。
しかしそれに気づくものはおらず。ただ目の前で少女二人がくだらない言い合いを繰り広げるだけ。
「とにかくどこの誰だが知らないけど、あんたは下がってな!ついでにその剣をよこしなっ。」
『“王子様”から追い剥ぎしようっての。』
「ずいぶんケチな”王子様”だね!だいたいあんた誰よ!」
『通りすがりのパルスの騎士です。』
「あんたみないなのが…?」
意外ってかい。
あんたみたいなのが…、って発言も失礼極まりないが。
「貴様らの遊びに付き合ってるほど俺は暇でない。そこの女騎士共々消え失せろ。」
しびれを切らした銀仮面が再度ゾット族の少女に向かって剣を振った。
エレンはすかさず二人の間に割って入り、その一撃を受け止めた。
「――!あ、あんた…っ、」
銀仮面の振るった一撃をいとも簡単に受け止めたこの女騎士と名乗る娘にゾット族の少女ことアルフリードは驚きを隠せない。
自分はこの一撃を受けきれずあまりの衝撃に手がしびれ、剣を弾き飛ばされてしまうほどであったというのに。
通りすがりのパルス騎士というのもあながち嘘ではないということか。
ガキン!と受け止めた一撃を勢いそのままで振り払い銀仮面から距離を取る。
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