第7章
夢小説設定
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「それで殿下、これからいずれの方角へ向かいますか?」
「そうだな…。南へ行けばギランの港町。東はペシャワール…、」
翌朝、一行はエラムが用意してくれた朝食を食べながらこれからの行き先を相談していた。
ちょうど自分たちはパルス国のほぼ中心に位置する場所にいる。アトロパテネでは惨敗したが、兵力は各地に分散して残っているのだ。だがその兵力ひとつひとつではとても微力で。
一箇所に集めることが出来たのならそれは大きな戦力になるのは間違いないのだが。
『西なら、西方国境を守る歩兵中心の部隊もおります。』
「うん。…一晩考えたが、ここはやはり現時点で最大の兵力があり、信用できる人物のいるところ。すこし遠いが東へ。――万騎長キシュワードのいるペシャワール城を目指す。」
パルス国、東の国境の要・ペシャワール城。
その守りを固めるは万騎長キシュワード。そして同じく万騎長バフマンである。
アトロパテネ会戦時、隣国が攻めてきた際に手薄にしてはならないと兵力をほぼ残してある唯一の場所である。
* * *
日が落ちた夜。
アルスラーン一行はホディールの部下に追われていた。
カシャーン城塞からはかなり離れたはずなのだがすいぶん執念深く追いかけて来るものである。
「ホディールの兵だ。」
「敵討ちか。忠義の厚いことだな。」
のんきに会話をするギーヴとナルサス。
しかし状況は芳しくない。
『ダリューン様!』
「エレンか。どうだった?」
抜け道を探して単独で馬を走らせたが行く道行く道にホディールの兵やら、ルシタニア兵やら。
本当にこの戦場をくぐって無事ペシャワールにたどり着けるのだろうかと不安になる。
『だめですっ。ルシタニア兵でこの先はどの道も待ち伏せされております。』
敵もそう簡単にはペシャワールに入らせてはくれないようだ。
アルスラーン一行はカシャーン城塞を出て、敵を避け長い山道を走り続けてきた。
人馬ともに疲労感は隠せなくなってきている。
すると風にのって妙な匂いがここまで流れてきた。
この鼻をつんと刺すような匂いは…、
「ホディールの兵が山に火を放ったようです!」
『――っ!!』
“火”と聞いてエレンの身体が無意識に反応する。
「まずいな。この風ではすぐに火がまわるぞ!」
「おい、来たぞ。ルシタニア兵だ。」
ギーヴが指差す先。
前方から勢いに乗ったルシタニア兵のお出ましである。
後ろからは山火事による煙が迫る。
「ここは俺に任せろ。先に行け!」
『ダリューン様!でしたら私も…っ!』
「かまうな!行け!」
『――っ、』
「エレン行くぞ!」
伸ばしかけた剣の柄。
ナルサスに促されるまま、ルシタニア兵に突っ込んでいったダリューンを見えなくなるまで見ていたエレン。
「ペシャワールで会おう!」
ダリューンと分かれたエレン達はそのまま山道を駆ける。だが風向きも相まって視界は煙で覆われる。山に放たれた火の手こそまだ見えないが自分はこの煙の匂いもどうやら駄目らしい。
『(情けない…、火の手はないのにこの匂いですら反応してしまうの…?)』
煙のせいで目も鼻もやれてしまう。
頼れるのはこの風向きを感じれる触感のみ。
だが山の地形ともなれば読むのも一段と難しい。
無我夢中で馬を走らせるその先は生い茂った木々と待ち構える無数の明かり…ルシタニア兵がもつ松明の明かりである。
これ以上は戦闘は避けられぬと悟ったエレンは真っ先に剣を抜いてルシタニア兵に突っ込んでいった。
『はぁぁ!』
ザン!
「ぐはぁ!」
一太刀。
ルシタニア兵を沈める。その感触に自分はまだ戦えると認識した。
大丈夫、私は戦える。
決心がついたのかエレンは次々に敵を葬り去る。
生い茂る森の中にいつのまにか入ってしまい煙のせいで視界も見えず、聞こえてくる雑踏と悲鳴。そして剣を交わす音に矢を放つ弦の音。
なにがどうなっているのやら。
もはや敵味方の区別もつかなくなってしまった。
殿下は、みんなは無事だろうか
『――!風の流れが…っ、』
煙から抜ける!
そう思って馬を走らせた。
次の瞬間、
『あ、れ…、』
ポツン…。
はぐ、れた…?
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