第28話
夢小説設定
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「やれやれ。」
『どうされますか?まだ続けられますか?』
してやったり。長年の鬱憤を晴らせたことがよほど嬉しいらしくニコニコとクバードを見下ろすエレンに魔が差したのか、もうやめたと身体を起こす。
「興が冷めた。俺は部屋に戻ってもう一度寝る。」
いつもは投げ飛ばす側だったのが、まさか投げ飛ばされる側になってしまい、触れ腐れる彼はまるで子供ようだ。
すっかりやる気をなくしたクバードはエレンとキシュワードの制止も耳に届かず、さっさとその場から立ち去ってしまう。
呆気ない退場についぽかんとするエレンは、はっとキシュワードを振り返った。
『ナルサス様から用事を頼まれていたのでした!キシュワード様!今日も稽古にお付き合いいただきありがとうございました!では―、』
「エレンっ。」
慌てて広場を立ち去ろとしたエレンをキシュワードは引き止める。
振り返った彼女にキシュワードは今日の夕食を一緒に食べないか、と誘ったのだ。
「先約があるのなら気にしないでくれ。」
『キシュワード様⋯。ずいぶん積極的なのですね⋯。』
「―っ!す、すまん。」
『あ、いえ。私の方こそ、』
申し訳ございません。と小さく溢れた謝罪。
無礼なことを言ってしまったと反省する。
クバードが急に立ち去ったことでまたエレンに緊張感が呼び戻された。食事を一緒に、と誘うキシュワードについ積極的だと感じ溢れた本音に自分でもどうかしてる、と思う。
けれど断る理由もないし、ましてや先約もない。
「許してくれ⋯。おぬしに長年言えなかったことを言えたことでどうも歯止めがなくなってしまったらしい。」
『らしいって⋯。』
自分のことなのに、どこか他人事のような言い方についくすくす、と笑みが溢れた。目の前で笑ってくれたエレンにキシュワードもほっと胸を撫で下ろす。
『わかりました。ではまた夕食時にお伺いしますね。』
「あぁ。おぬしも病み上がりゆえ、無茶せぬようにな。」
『はい。キシュワード様もお仕事頑張ってください。』
それでは、と小さく手を振って駆け足で立ち去ったエレン。
ととと、と走るその小さな足音でさえ、可愛らしく。片手で顔を覆うキシュワードだった。
「(お仕事頑張ってください、か。⋯良いな。)」
顔を覆った手で、そのまま髭を撫で下ろした⋯――。
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