第21章
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不満を唱えた官吏達を完膚なきまでにとっちめたエレンは清々しい顔で軍議の間を出た。その先ではアルスラーン殿下やナルサス、ダリューン、キシュワードが彼女を待っていた。
「エレン、先程は見事だったぞ。」
『ありがとうございます、殿下。口裏を合わせていただき感謝いたします。』
嬉しそうに笑うアルスラーン。その隣でナルサスも満足のいく結果になったことを非常に喜んでいた。
「あの短期間でここまで調べ上げるとはな。」
『不満を持つものはたいてい後ろめたい事をやっているものだ、と父が言っておりました。』
「だが、不正を行った官吏らに正直に話せば処罰を軽くする、などと気安く言って良かったのだろうか。」
心配するダリューンにエレンはなんのことかわからないととぼけた。
『あら、ダリューン様。私、処罰を軽くするなど一言も言ってませんよ?』
「なに?」
顔をしかめた彼に、エレンはしてやったりという顔をする。
『正直に話せば何か良い事が起こるかもしれない、と申し上げたのです。勝手に勘違いしたのはあの方々でございます。』
しれっと言ってのける彼女にどこか恐ろしさを感じた。
まるでナルサスを見ているような感覚になる。
彼女の罠にまんまとひっかかった官吏らとナルサス達。
一番嬉しそうにしていたのはやはりこの人。
「ふっふっふ⋯っ。見たかダリューン!エレンのこの溢れる才能を!やはり俺の目に狂いはなかった!いやはやもっと早くおぬしと出会いたかったものだ!なかなかにどうして⋯、」
「喜んでる場合かっ。ますますお前に似ていくではないか!」
言い争いをしているダリューンとナルサスを他所にエレンはアルスラーン殿下とキシュワードに別れを告げる。
『それでは殿下。私はこれで失礼させていただきます。』
「もう行くのか?」
『恐れながら殿下。忠実なる臣下には果たすべき務めが山積みでして。』
少々芝居がかったエレンのセリフにアルスラーンは笑う。
「ははっ。そうか。後でエラムに差し入れを届けさせよう。忙しくてもちゃんと食事は取るのだぞ。」
『お心遣い感謝しますアルスラーン殿下。キシュワード様、後のことはお任せしてもよろしいでしょうか?』
「あぁ。きっちりと調べて厳重な処罰を下そう。任せておけ。」
その言葉に安心したように笑うと殿下にもう一度胸に手を添え、軽く頭を下げたあとその場を離れたのだった。
* * *
軍議が行われた数日後、ナルサス卿のアルスラーン殿下による布令の仕上げも追い込みとなってきた今日。私に手伝えることも無く、いきなり午後から休みを言い渡されたのでずっと気になっていたカーヴェリー河の西岸の入植の様子を見に行きたいと申し出たところ、二つ返事で了承してくれたので、ありがとうございます!行ってきます!と勢いよく出ていくエレンに護衛の一人でも連れていけと言おうとしたのだが、すでに遅く。一瞬の間にいなくなった弟子についため息が溢れたのだった。
意外とせっかちなのだな、と弟子の新たな部分を知ったナルサスだった。
ずいぶん久しぶりの自由時間にうきうきとするエレンは厩の者に愛馬・ヴァナディールを出してもらうようお願いをする。そして連れて来られた愛馬に久しぶり、と鼻とたてがみを撫でた。
「エレン?」
『?、ダリューン様!』
振り返ると一人城内を歩いていたダリューン。
名を呼んだ相手が彼だと知ると一気に心臓がトクンと音を立てた。
ダリューンは遠くからエレンが馬を連れている姿を見つけ声を掛ける。
「出掛けるのか?」
『はい。ナルサス様から午後は休んで良いと仰ってくださったので、気になっていたカーヴェリー河の西岸へヴァナディールを連れ出すついでに視察に行こうかと。ずっと厩舎の中では窮屈でしょうから。たまには外に連れ出して上げないと私の言う事をまったく聞いてくれなくなってしまうのです。』
ほら、このように。と言ってヴァナディールは早く連れ出せと言わんばかりにエレンの髪をもっちゃもっちゃと食べ始める。いつものことなのか特に気にする素振りも無く受け入れるエレンにダリューンは少しばかり苦笑い。
「そういうことなら俺もシャブラングと共について行ってもよいか?どうせならシャブラングも外に出してやりたい。」
『でも、お忙しいのでは?アルスラーン殿下の護衛とか稽古があるのでは⋯。』
「稽古はもう済ませた。今殿下はファランギース殿から弓術を学んでおられる。護衛にはジャスワントもいるから心配ない。なによりおぬしを一人にさせるほうがよっぽど心配だ。」
噂の影に襲われた件もそうだが、目を離せば何をしでかすかわからないこの娘を一人にさせるのは危うすぎると判断したダリューンは自分の馬も出すよう厩番に頼み、廊下を巡回していた兵士にエレンの付き添いでカーヴェリー河に行くと伝えてくれと頼んだ。
ついて行くと言い出した彼の行動は早かった。
少し待っててくれと言われ、言われた通り待っているとシャブラングを連れたダリューンがエレンの元へ戻って来る。
「さぁ、行こうか。」
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