第18話
夢小説設定
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先程ちょうどいい、と言ってやってきた理由をアルスラーンは訪ねた。
するとラジェンドラ陛下はん゛ん゛っと咳払いをし、視線をファランギースとアルフリードに向ける。あぁそういうことかと気づいた二人はアルスラーンに言われる前に外でお待ちしております、とだけ言って退室する。
『私も席を外したほうがよろしいですか?』
「あ、いや、実はそなたに話があってな。」
言いにくそうにほんそり頬を染め、言葉を選ぶようにラジェンドラ陛下は話し始めた。
「そなたの起こした奇跡の業はあの日、あの会場で多くの者が見た。今でもそなたを一目見ようと王宮の前に大勢の民達が押し寄せているほどだ。」
『はぁ。そうですか。』
「その、重臣たちの意見なのだが…。俺は王位を継いだがまだ王妃がいない。その候補もな。そこでエレオノール殿を妃に迎えてはどうか、と言われてな。奇跡を起こしシンドゥラの民衆の尊敬に的でもあるそなたなら認めるだろうと…。どうだろうか…?パルスとの国婚という形で俺はこれからもアルスラーン殿と親しくしていきたい、と思っているのだ。」
つまりエレンと結婚したい、と。
突然の求婚に現実味がわかないエレンはしばらくの間、固まってしまう。
そしでじわじわと沸き起こる怒りと嫌悪間。
神前決闘の代理人を決めるときもそうだった。この男はなにも学んでいないのだ。
『ラジェンドラ陛下。以前も申し上げたかと存じますが、私はアルスラーン殿下の臣下。私を妻にと望まれるのならば頼む相手が違います。』
「う…――っ、」
いつぞやもこの光景を見た気がしないでもない。
つまり彼女を妻にと望むのならば、またこの幼い同盟相手に頭を下げろということだ。
バツが悪いラジェンドラ。しかし国婚という名目のつもりならば、確かに頼み相手が違うのも頷ける。
ラジェンドラはもう一度アルスラーンに頭を下げ、どうだろうとか問うた。
ほんの数秒の間、彼からなんの返事もなく。
ようやくラジェンドラ殿、と口を開いた彼は真剣な表情を見せた。
「あなたの提案は悪くない選択の一つかと私も思います。」
「―!?ではっ!」
「ですが、これは今私の一存で決めることではないかと。本人の意思ももちろん大事ですが、なにより私があなたにエレンを差し出したくはありません。ですのでこの話は無かったことに。」
「―……。そ、そうか…。それは、残念だ…。」
『殿下…。』
はっきりと断ったアルスラーンに胸を打たれた。
そこまで私のことを大事にしてくださっていたなんて。
フラれたラジェンドラは訪問してきたときとは真逆の意気消沈した様子で部屋を退室していった。その様子を部下だけでなく出ていく姿を見ていたファランギースとアルフリードも一体何があったのかと気になるほど。
「殿下。ラジェンドラ陛下は一体何を話されたのでしょうか。」
「すいぶん落ち込んでたようだけど…、」
「あぁ、えっと…、」
果たして話して良いものかと考えあぐねていると、笑うエレンと目が合いコクンと頷いたので正直に話すことに。
「実はラジェンドラ殿がエレンを妻に迎えたいと申してきたのだ。」
「えぇー!?」
「なんと…、そのような。それで殿下はどのようにお返事を?」
「あなたにエレンを差し出したくはない、とはっきり断った。」
『格好良かったですよ、先程の殿下。』
ラジェンドラ陛下もまさか断られると思っていなかったのだろう。
頼めば何でも聞いてくれそうなアルスラーンと簡単に思っていたに違いない。
「そなたの意思を聞かず断ってしまったが、良かっただろうか?」
『もちろんです。私はまだ殿下のために働きたいですし、お仕えしとうございます。』
「そうか。なら良かった。私だけがエレンをラジェンドラ殿の下へ嫁がせるのを嫌だと思ってしまったかと。」
『とんでもない。嬉しかったです。そう思ってくださっていることも含めて。』
アルスラーンにとってエレンは姉のような人のような存在であった。
先王オスロエスの子だと聞いてからは従兄弟という間柄にも当てはまる彼女をどこか他人のようには思えず。
だからなるべく幸せな人生になるよう自分に出来ることがあるなら叶えてやりたいと。
「後悔していたのだ。安易な気持ちでダリューンに神前決闘の代理人を頼んだときのようによく考えもせず、ラジェンドラ殿や他の人の頼みで大事な部下を危険な目に合わせるのはもう嫌なんだ。」
『殿下…。嬉しく思います。私達のことをそのように想ってくださって。』
アルスラーンの手を取り、はにかむエレン。
ファランギースもアルフリードも嬉しそうに微笑みを主に向けていた。
だからあなたにお仕えしたいのだと…。
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