chapitre.2
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阪神共和国。
ここは周りを海に囲まれた島国。
時折台風が来るが地震は殆どない。
海の向こうの他国とも交流は盛んで、
貿易も空汰さん風に言うと「ぶいぶいや!」だそう。
『(…ぶいぶいってどういう意味なのかな、)』
「四季がちゃんとあって、今は秋。ごはんがおいしい季節やな!」
ちなみに、
春は花見で一杯、
夏はびーるがおいしい、(びーるて何?)
秋はごはんがおいしくて、
冬はお鍋がおいしい季節だそうだ。
なんか全部食べ物に関することばかりだなぁ、とセイは思った。
空汰さんの阪神共和国に関する講座は続く。
「主食は小麦粉、あとはソースが名産や!法律は阪神共和国憲法がある。他国との戦争はやってない。移動手段は車・自転車・バイク・電車・船・飛行機、あとはー、乳母車も一応移動手段かな?ハニー、」
「……。」
空汰さんに振られるがまったくのスルーをする妻・嵐。そのクールなところがまた空汰さんが嵐さんを愛するところなのだとか。
「島の形が虎っぽいんで通称《虎の国》とも呼ばれてるんや。そやから阪神共和国には虎にちなんだモンが多い。通貨も虎(ココ)やしな。一虎、とか十万虎とかや。ちなみに国旗も虎マーク。」
野球チームのマークも虎や!この野球チームがまたえぇ味出しとってなぁ、むちゃくちゃ勇敢なんやで!ま、強いかっちゅうと微妙なんやけど、うんぬんかん…。
止まらない空汰さんのマシンガントークにみんなが少し引きはじめてきた時、ようやく彼の会話を遮ってくれた者がいた。
ファイだ。
はーい。と挙手をする。
「質問いいですかー?」
「はい。ファイ君っ。」
「この国の人たちは、みんな空汰さんみたいなしゃべり方なんですかー?」
「水くさいなぁ、空ちゃんでええで!わいのこのしゃべり方は特別。これは古語やからなっ。」
“古語”という単語に一番反応を見せたのは小狼だった。
「この国で過去、使われていた言葉なんですか?」
「そうや。もう殆ど使われてへん言葉なんやけどな。わい、歴史の教師やから古いもんがこのままなくなってしまうんも、なんや忍びないなぁおもて。」
「歴史の先生なんですか!?」
「なんや小狼は歴史、興味あるんか?」
「はい。前いた国で発掘作業に携わっていたんで。」
「そりゃ話が合うかもしれんなー!」
『はいはい!じゃあ、今度私のいた国に行くことがあったらクセルクセス遺跡を案内してあげるね!』
小狼が歴史が好きだと知ってセイはずいっと小狼の方へ寄る。
「なんや?その、くせ…なんとかって、」
『クセルクセス遺跡!です。』
「それはどういう場所なんですか?」
と小狼。遺跡という言葉に興味がそそられるのだろう。
歴史が好きという彼の言葉にうずうずしてきたセイ。
つい二人の会話に割って入ってしまうがそんなのお構いなしだ。
なにせ彼女も筋金入りの歴史マニア。錬丹術も歴史探求の一環にすぎないのだ。
歴史が好きだという小狼とは一晩歴史で語れそうな気がした。
『錬金術が生まれた場所と言われてるの!大都市だったんだけど、たった一夜で滅びたという伝説もあるわ。とにかくすごい場所なの!』
「錬金術てなんや?まぁその話はまた明日にでもしたらええわ。」
「あ、はい。すみませんっ。」
『はーい。じゃまた“明日”だねっ。』
「はいっ。」
セイの言葉に小狼は嬉しそうに笑った。
空汰さんの阪神共和国講座はまだまだ続き、
ファイからここはどこだという質問には、
「ここは、わいとハニーでやってる下宿屋の空き部屋や。」
ええやろ~、美人な管理人さんでその上料理も上手なんやで~、ええやろ~、(2回目)
と、また空汰さんの惚気が炸裂する。
「そこ寝るなー!」
─パコンっ!
「なにぃ!?」
「『─っ!!』」
怪我をするほどのものではないが、突然の衝撃に居眠りをしていた黒鋼は立ち上がって周りを見渡した。
ファイとセイも咄嗟に身構え、小狼はサクラを庇うように守る。
しかしその衝撃以外になにもなく、気配も感じられなかった。
それが余計に黒鋼たちを混乱させた。
「なんの気配もなかったぞっ。てめぇなんか投げやがったのか!?」
「投げたんならあの角度からは当たらないでしょー、」
『衝撃は黒鋼さんの真上から、でしたね。』
警戒する一行に対し、空汰さんはケロッとした表情をしていた。黒鋼たちの警戒っぷりが理解出来ないみたいだ。
「何って…“くだん”使こたに決まってるやろ。」
くだん──?
四人揃って首を傾げた。
「知らんのか!?そっかー、おまえさんら異世界から来たから分からんねなー。この世界のもんには必ず“くだん”が憑くんや。漢字はこう書く。」
巧断
という文字を後ろのホワイトボードに書く空汰さん。
しかしその文字に対する反応はさまざまで。
『へぇ~初めて聞きます。』
「あーなるほど。」
「全然わからないー。」
「モコナ読める~!」
すごいねぇ、とファイに褒められたモコナ
は小狼にもたずねた。
「小狼は?」
「うん、なんとか。」
「セイと黒鋼と小狼の世界は漢字圏やったんかな?んでファイは違うと。けど聞いたりしゃべったり、言葉は通じてるから不思議やな。」
今度は巧断についての説明がはじまる。
「巧断ってのはどういう代物なんだ?“憑く”っつったよな、さっき。」
『じゃあ私たちも例外じゃない?』
ここから説明は妻の嵐さんにバトンタッチされる。
「はい、その通りです。例え異世界の者だとしてもこの世界に来たのなら必ず巧断は憑きます。…さくらさんとお呼びしてもよろしいですか?」
「…はい。」
「さくらさんの記憶のカケラが何処にあるのかは分かりませんが、もし、誰かの手に渡っているとしたら…、争いになるかもしれません。」
「──!」
嵐の言葉に小狼の顔が強ばった。
ただ羽根を探すだけではなかったのだ。
時には誰かがそれを拾い、己の物にしようとする者もきっといる。嵐はそのことを伝えようとしていた。
そして嵐は黒鋼とファイの二人を見る。
「今、貴方たちは戦う力を失っていますね。」
その言葉に二人は身体を固くする。
「……。」
「どうしてそうだと?」
ファイの問いに答えたのは空汰さんだった。
「うちのハニーは元・巫女さんからな。霊力っつうんが備わってる。」
『巫女…、』
「ま。今はわいと結婚したから引退したけどな。」
巫女さん姿はそりゃ神々しかったで~!とまたまた空汰さんの惚気が炸裂。無視を決める嵐さんだが、そろそろ手が出てしまいそうな雰囲気を感じたセイだった。
とにかく。
巫女である嵐に隠し通せる事ではないので、ファイと黒鋼は白状する。
「実はー、次元の魔女さんに魔力の元を渡しちゃいましてー」
「俺の刀を…あのアマーっ!」
ファイと黒鋼を見ていた嵐が小狼とセイの方を見る。
「おれがあの人に渡したものは力じゃありません。魔力や武器は最初からおれにはないから。」
『私も小狼と同じものを渡したので、戦う力はあります。』
嵐は優しく笑った。
「やっぱり貴方がたは幸運なのかもしれませんね。」
「え?」
「この世界には巧断がいる。もし争いになっても巧断がその手立てになる。」
『巧断って戦う為のものなのですか?』
「何に使うか、どう使うかはそいつ次第や。百聞は一見にしかず。巧断がどんなもんなんかは自分の目で、身で、確かめたらええ。」
さすが教師をしているだけのことはある。
空汰さんの言葉は理解しやすく、前向きにさせてくれる言葉を使ってくれる。
…時々惚気をとばしてくるが。授業とらやでもこんな感じになのだろうか?
「さて、この国のだいたいの説明は終わったな。」
「あれでかよ。」
『はは…、分かったような分からないような…』
半分が嵐さんの惚気話だったような、違ったような。
呆れた様子の黒鋼さんに思わずセイも同意してしまう。
「で、どうや?この世界にさくらちゃんの羽根はありそうか?」
「……ある。まだずっと遠いけど、この国にある。」
さっきの羽根と同じ力。
モコナはあると言ってくれた。
その言葉に小狼は決意を改める。
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