chapitre.7
夢小説設定
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星史郎と対峙している黒鋼は静かに口を開いた。
「“猫の目”にいた奴を殺したのは、おめぇか。」
「はい。」
「小僧はどうした。」
「殺しました。」
あっさりとそう答えた星史郎に、黒鋼は口をつぐんだ。そしてもう一度星史郎へと視線を上げた。静かな怒りのオーラを纏った黒鋼の目は、鋭く刃物のようであった。
初めて…みる表情だった。
「…分かった。…てめぇは俺が斬る。」
いつもよりも低く、そう言った。そんな彼とは対称に、星史郎は先ほどから変わらず僅かに口角を上げているだけ。
黒鋼は鬼児がその手に抱えているものに目を向ける。その中にいたセイを見て様子がおかしいことに更に眉間のしわを深くすると、もう一度口を開いた。
「それから、そいつを返せ。」
「それはできません。彼女には聞きたいことがあるので。」
にこりと星史郎が微笑む。そんな彼に、黒鋼は蒼氷を握る力を強めた。
次の瞬間、黒鋼は星史郎に向かって飛び上がり、蒼氷を抜いて斬りかかっていた。
彼は、怒っていた…。
とても。
自分達はただの旅の同行者、という間柄でしかないのに。
ファイを殺し、小狼を殺し、セイを連れ去り。
そのことが彼に何かしらの心境に変化を与えているということ。
彼の中でなにかが変わり始めてきている。
「小狼、剣を持っていましたね。教えているのは貴方ですか?」
「成り行きでな。」
戦いの合間、両者が着地しほんの少し息をつく。
「見えない右側からの攻撃にも反応できるようになっていました。良い先生なんですね。」
「あいつの戦い方の元をつくったのはそっちだろう。身のこなしが小僧とおまえ、同じだ。」
黒鋼はゆっくりと構えを解く。それからニヤリと口角を上げた。
「日本国にゃ、骨のある奴はもういなかった。こんな相手に会えるなら、異界へ飛ばされるのも無駄ばかりじゃなかったかもな。」
黒鋼と正面から向かい合って、星史郎は彼の何かに気付いた。
「…呪がかかっていますね。それも、かなり強力な。」
「誰かを殺る度に強さが減るらしい。」
それは、黒鋼が侑子の店に飛ばされるとき、彼の主である知世姫が黒鋼にかけたもの。少しだけ、真剣な目をした星史郎だったが、またすぐに元の表情へ戻す。
「…いいんですか?」
「てめぇを倒すにゃ半端じゃ無理だ。息の根を止めるつもりでいかねぇとな。」
「こっちも同じつもりでいかないといけないようですね。」
二人は同じタイミングで踏み出した。先ほどまでのが肩慣らしだったかのよう。本気で。相手を、殺すつもりで。剣を構え斬りかかった。
――刹那。
黒鋼と星史郎、二人の剣が交わる。その時だ。あと数瞬で交わるだろう時、二人の間に、何かが飛んできて、地面に突き刺さった。
「なんだ!?」
状況が理解出来ず黒鋼が狼狽えていると、それが飛んできた方向から聞きなれた声が聞こえた。
「わーモコナの口からなんか出たー」
「……。」
パチパチと呑気に手を叩くファイと頭上のモコナの行動に、驚愕して声すら出ない小狼。
桜都国で死んだと思った二人を見て、黒鋼は心底驚いて声を上げた。
瞬間黒鋼から闘気が消え失せた。
「おまえら…!」
「黒様ーやほー」
「ちゃんとこっちに戻ってきていたようですね、二人とも。」
「…どういうことだ。」
しかし黒鋼が理由を問いただす間もなく、突然、星史郎の胸元が光った。同時にモコナもめきょっと目を開く。
光りと共に出て来たのは、探していた朱色の模様の白い羽根。
「サクラ姫の羽根!?どうして星史郎さんが!?」
「この羽根は、僕も制御できないんです。勝負の決着はまた、いずれ。」
「ちっ!」
羽根が光を増すのと比例するように、桜都国がますます実体化していく。
「あれです。干渉者が手にしているあの物体。物凄い力値です。あれが、ゲーム世界桜都国を実体化させている元凶です。」
小狼は星史郎の元へ向かった。実体化が進む中、足場も悪く。それでも取り戻すものがある。緋炎を握りしめ、逆風の中踏み出した。
「星史郎さん!!セイさんと…!その羽根を…!!」
小狼が手を伸ばした。しかし、その手が届く前に、大きな音がして、巨大な何かが実体化された。土埃が舞う中、人影が見えた。
「“イの一”の鬼児が現れた。」
巨大な鬼児に乗って現れたのは、“イの一”の鬼児。人の姿をしたその鬼児に、彼らは目を見開いた。
「「「――!」」」
「見つかっちゃった。」
そう言ってウインクして見せたのは、カルディナがいた酒場“白詰草”で歌を歌っていた女性だった。
「“白詰草”の織葉さんだー」
「なんであの女が鬼児と一緒にいるんだ?」
「こんな方法で引っ張り出されるとは思ってなかったわ。」
「すみません。」
「でも、仕方ないかな。なかなか有望そうな鬼児狩りさん達が情報収集にやって来た時、貴方のことを言って、ちょっと目を逸らさせて貰ったし。」
「んん?ってコトはー、お店で教えて貰った情報はー」
「嘘ってことかよ。」
「全部が、じゃないわ。“鬼児を従えていた美しい男の子”と会ったのは本当。ただ、その男の子は、鬼児ではなかったけれどね。」
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