chapitre.7
夢小説設定
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「セイ、ファイがやられてすごく怒ってて、星史郎と戦ったけどやられそうになって、でもそのあとセイのこと連れて行くって言って…。星史郎が知りたがってること、セイが知ってそうだったの…。」
「セイさん…。」
小狼は、右手持っている緋炎をギュッと握りしめた。
「あのね、小狼に伝えてほしいって。「小狼を待ってる、桜の下で。」」
「…黒鋼さん、サクラ姫をお願いします。」
「……勝てる相手なのか。」
「いえ、おれでは星史郎さんには勝てないでしょう。でも……行きます。」
いつにもまして、その揺るぎない小狼の瞳を見た黒鋼は小さく息をついた。
「…日が変わって、お前が帰らなかったら、後は俺の勝手だ。」
それは彼なりの優しさで、結局は待っていてくれるのだ。
「…有り難う御座います。」
「小狼!」
小狼は店を出て行った。先日、星史郎と会った、桜の木へ向かって。
サクラが少しだけ、苦しげに表情をゆがめると同時にモコナも何かを感じ取った。
「サクラの羽根の力感じる!強くなってる!でも、何か変な感じがする!!」
黒鋼は空を見上げた。
もうずっと満月が続いているような気がする。
一方で、星史郎に連れて来られたセイはいまだ意識が戻らず。鬼児にその身をゆだねたまま。
そこへ伝言を聞いた小狼が星史郎のもとへやって来る。
「やっぱり一人で来たね。」
「ファイさんを鬼児に襲わせたのは貴方ですか。」
「そうだよ。」
「ファイさんはどうなったんですか。」
「死んだ。」
淡々と答える星史郎の答えに小狼は眉をひそめ、刀をぎゅっと握りしめた。
「セイさんに、何かしたんですか。」
彼女の強さを知っている小狼は、今の状況が可笑しいとすぐに気付いた。
彼女なら、周りにいる鬼児くらい簡単に倒せるはずなのに。それが先ほどから鬼児に身体を預けたまま、ぴくりとも動く気配がない。
動けない理由があるとすれば、今目の前にいる星史郎しかない。
「魔法を、少しね。」
「どうして、」
「彼女には、聞きたいことがあるんだ。」
「放してください。」
「それは無理な相談だね。彼女の持つ情報によっては、一緒に来てもらいたいから。」
彼はこういう人だった。
こうと決めたら決して曲げない人。
幼いながらも、戦い方を乞い、過ごした少ない時間のなかでもそれは理解できるほど強い思い。
小狼はぐっと奥歯を嚙みしめる。
「…おれは、旅をしているんです、探しているものがあって。セイさんもファイさんも一緒に旅しているんです。ファイさんはまだ知り合って間がないけど、おれはあの人に何度も助けてもらいました。セイさんにもお世話になっていて、旅の中でも、たくさん協力してくれました。」
風が強く吹いた。
同じように、小狼も強く星史郎を睨んだ。
淡い希望は呆気なく散った。目の前にいる知人は自分の仲間を消した。そして、もう一人の仲間を手中に捕えている。
その事実に小狼は視線を鋭くした。
「だから…貴方をこのまま行かせることは出来ません。」
「本当に変わらないね、小狼。」
星史郎はただ変わらない笑みを浮かべるだけ。
「でも、そう簡単に負けてはあげられないんだ。それに、鬼児は闘争本能を基本に作られているから、なかなか制御が難しい。襲う必要がないものを襲ったりね。」
彼が言葉を発する間、桜の落ちる地面からゆっくりと鬼児が姿を現した。一匹ではない。何匹も。そして形態が出来上がると、鎌になっている手を小狼に向けて振り下ろした。
「セイさん!起きてください!」
「僕は“イの一”の鬼児に会いたいんだ。最強の鬼児には《永遠の命を与える》という特殊能力があるらしい。吸血鬼のようにね。僕の探している二人かもしれない。」
どうにかセイに近づこうと伺いながら、鬼児たちの攻撃を躱していた小狼。
不意に右後ろから迫る気配に気づき足を振り上げた。それは背後の鬼児に命中。
「強くなったね、小狼。まだ完全とは言えないけれど、右からの攻撃にも反応できている。けれど最強の鬼児に会うために、それを倒す可能性のある強い者には消えてもらう。君にも…」
次々と襲い掛かる鬼児の攻撃を交わす小狼。それを見ていた星史郎は肩にとまっていた一つ目のカラスの形態を変え漆黒の剣になった。それを躊躇することなく、小狼へと突き刺した。
「死んでもらわないとね。」
突然のことに反応できなかった小狼は、星史郎の攻撃をその身に受け止めるしかなく。胸に剣が突き刺さった。
何が起こったのか、理解できなかった。
「じゃあ、また。小狼。」
星史郎が言葉を発した時には既に、小狼は居なかった。胸を貫かれたはずの彼はそのまま、跡形もなく消えてしまった…。
それは鬼児を倒した時のように…――。
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