chapitre.7
夢小説設定
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「どうやら、あの魔術師よりもあなたの方が厄介なようですね。」
『…っ!はあ!!』
「…っ!」
振り下ろされる長棍をひらりと交わすと、星史郎は腕を一振り。放たれた魔力が##NAME1##の動きを鈍らせる。
『ぐっ…!』
うごけない…。魔法…!?
「あまり力を使わずにいたかったのですが。」
『あっ!』
##NAME1##の動きが鈍ったすきを星史郎は逃さない。がっと彼女の首を掴み持ち上げた。この細い身体のどこにこんな力があるのかと思ってしまう。
『う…。』
「ちょうどいいのであなたにも消えてもらいましょう。危うく邪魔をされるところでしたから。」
カラン、と手から長棍が滑り落ちる。
締め付けられる首にだんだんと意識が朦朧としてくる。離れた場所でモコナが必死に叫んでいる声がぼんやりと聞こえた。
朦朧とする意識の中、先ほどの彼の言葉が不意に過った。
僕が捜している二人、双子の吸血鬼に会うため
双子…、
吸血鬼…、
伝説の生き物…、
探している…、
追われているんだ…――。
『神威と…、昴…、』
「――!」
ドサッ。
『けほっ、けほ…っ。』
なぜか解放された。
だが身体に力が残っておらず、重力に逆らえず床に崩れ落ちた。
「どうやらあなたには聞かせてもらうことがあるようですね。…一緒に来てもらいましょう。」
『だれが…っ。』
と抵抗したくても消耗が激しく、体力は残されておらず。
次の瞬間##NAME1##の視界が揺らぎ、倒れた。それを星史郎は受け止めると軽々と意識のない彼女を抱きかかえ、ドアへと歩き出した。
いつだって自分を抱えてくれるのは黒鋼だった。だが今はまったく知らない相手にそれをされているのだと思うと虫唾が走った。不愉快でしかないのに、身体は動いてくれない。
そのまま星史郎の魔法で##NAME1##は意識を手放してしまうのだった。
「##NAME1##!!…ファイ!小狼!黒鋼!」
モコナがみんなの名を叫ぶ。
「小狼に伝えておいてください。「小狼を待ってる、桜の下で。」と。」
そう言い残し、鬼児を従え##NAME1##を連れ去り店から姿を消したのだった――。
* * *
市役所に向かった小狼と黒鋼は教えてもらった場所へ情報を求めて“小人の塔”なる場所へ行っていた。
そこで知らせを聞いた二人は全速力で家へ戻った。シンと物音ひとつしない店内。
本来ならこの時間はまだ営業中のはずである一階の喫茶店には、ぽつぽつ明かりがついているだけであった。
明らかに様子がおかしい。
「小狼!黒鋼!」
大きな音を立てて店の中へ入ると、そこには今朝見た喫茶店の姿は無く、倒されたテーブルやバラバラになった椅子が無残にも倒れてて争った形跡が残されていた。
ドアのすぐ横にあるソファだけは無事で、そこには眠るサクラとモコナがいた。
二人に気づいたモコナが飛び着く。
「何があったんだモコナ!」
「ファイが鬼児にやられたの!」
モコナの言葉に、二人は息をのんだ。
やはり“小人の塔”で聞かされた鬼児が一般人を襲ったというのはファイのことだった。
モコナを落ち着かせるように黒鋼が冷静に問いただす。
「やられてどうなった。」
「分からないの。ファイが、サクラから離れちゃダメって言って!##NAME1##がファイのかわりに戦ってたけど、鬼児が二人を取り囲んで音がして、その後、ファイだけいなくて!」
カウンターの近くの床に、ファイが身に着けていた蝶ネクタイが原形を留めない状態で落ちていた。
「……喰われたのか、鬼児に。」
低く、何か深く暗い感情を含み、そう問う黒鋼。
ふつふつとなにかが込み上げてくるのがわかる。
「分からない…。お客さんだと思ったの。マントみたいなの被った男の人で、その人が鬼児を連れて来たみたいで…。」
「…どんな男だ。」
「ファイがね、「星史郎さんですか?」って。」
その名前に、小狼は目を見開いた。よく知ってる人物が、自分の仲間を襲っただなんて、考えたくもなかった。
信じられない…。
「右眼がね、白かったの。探してる人がいるって言ってた。二人。」
「…ちょっと待て。あいつは…皇女はどうした。戦ったんだろそいつと。」
「モコナ、##NAME1##さんは…!」
「##NAME1##も、連れていかれちゃった。」
「!」
「連れて行かれた?」
黒鋼は眉間にしわを寄せる。
ファイは“やられて、いなくなった”のに対し##NAME1##は“連れて行かれた”というのは一体どういうことだろうか。
邪魔なら二人とも同じように鬼に襲わせればいいものを、彼女だけ連れて行ったのは理由は?
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