chapitre.7
夢小説設定
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翌朝。
目覚めたファイは一階へ降りる。
いつものようにセイが先にいると思いドアを開ける…が。
「おっはよー…、あれ?セイちゃん?」
いなかった。
降りてきた気配もないのでまだ自室にいるのだろうか。
珍しい、と思いつつ朝食の支度を始める。
最近はいつも二人で進めていたので一人でするのは少し寂しいものだなと思った。
もうすぐ朝食が出来上がるところで、黒鋼とサクラ・モコナが降りて来た。
「おはようー」
「おはようございます。」
「おう。」
「おっはようー!」
「サクラちゃん、セイちゃんまだ寝てるー?」
「あ、はい。一応声はかけてみたんですけど…」
「…。」
サクラの言葉に黒鋼は昨晩の事を思い出す。
「珍しいよねー、セイいつも早起きなのに。」
サクラに抱えられたモコナが言った。
そうだねーとファイも相槌する。
「疲れが出たのかもしれないねー。もうちょっと寝かせてあげようか。」
そういったファイにサクラもコクコクと頷く。小狼もなかなか起きてこないので代表してサクラが起こしにいった。
しばらくして二人で降りてきて、ファイが作ってくれた朝食を食べる。セイがいないことに気づいた小狼にまだ寝てると告げると彼もまた意外そうな顔をして見せた。
「で、今日一日のワンココンビのスケジュールはー」
「市役所に行きたいんです。」
* * *
『ん…。』
ゆっくりとまぶたが開く。
ぼんやりと見覚えのある天井が見えてきた。
…、天井?
頭がまだ覚醒せず、数秒。
『あれ。なんで私部屋で寝てるの?あ…、』
ぱっと起き上がる。
すると一枚の羽織りがずり落ちた。
『これ…、黒鋼さんの…。』
黒鋼さんの羽織だ。
これがあるということは黒鋼さんが運んでくれた、ということだろうか?
『私、あのまま寝ちゃったんだ…。あ、いけない!もうこんな時間!』
ずいぶん朝寝坊してしまった。
羽織を脇に抱えて、慌てて一階へと降りて行った。
『おはようございます!ごめんなさいっ。寝坊しちゃってっ』
「おはよーセイちゃん。」
「おはようセイちゃん。」
「おっはよーセイ!」
セイが降りてきたのは小狼と黒鋼が出て行ってすぐの事だった。
「珍しいねって話してたとこなんだー。」
「ねー。」
『ごめんなさいっ。』
「全然大丈夫だよ。お腹好いたでしょう?朝ご飯どうぞ。」
申し訳なさそうになりながらも目の前のごちそうをいただく。
『小狼と黒鋼さんは?』
「市役所に出かけたよー。昨日の新種の鬼児について聞きたいって小狼君が言ってた。」
『そうですか…。』
羽織、返しそびれたな…。
残念、と思いながら焼きたてパンを頬張った。
焼きたての小麦の香りが食欲をそそる。
朝食を済ませ、すぐにお店を開けた。
数分でお客さんはやってきてあっという間に店内は大賑わい。パタパタと接客に追われるセイとサクラ。
こうして慌ただしく午前が過ぎ、お昼休憩の時間。溜まった食器をサクラが洗い、ファイとモコナが拭く。セイはテーブル周りやフロアを掃除する。
「ゆっくりで良いよーサクラちゃん。」
「はい、でももうちょっとだから」
洗いながらファイを振り返ったサクラを見て、セイが声をかける。
『よそ見してたら、割っちゃうよーサクラ。』
「わ、割らないよ!」
『どうかなぁー?』
「もうセイちゃん!」
『あははー。』
華やかな女子同士の会話にファイは頬を緩ませた。
「一緒に旅してるみんなに、わたし何も出来ないから。出来ること頑張りたいの。」
『サクラ…。』
まっすぐな彼女の想いにセイも口元を緩ませる。
いつだって一生懸命で、とても頑張りやな彼女。記憶をなくしてしまったけれどきっとこれが彼女なんだな、とセイは思う。
いつも明るくて、前向きで、一生懸命で、頑張りやで。それがサクラという少女なんだな、と。
不思議と胸が暖かくなった。
「いつか…少しでも、辛いことを分けてもらえるよう…に…、」
言葉の最後で、サクラは急に意識を飛ばしてしまった。力の抜けた体は後ろへ傾いていく。
『さ、サクラ!?』
「きゃー!サクラ危ない!」
セイもモコナもカウンターの反対側に居たため間に合わない。
セイが向かうよりも先に、近くにいたファイがサクラを受け止めた。既に眠りに落ちているサクラを抱きとめた彼はとても優しい目で彼女を見つめていた。
「…本当に良い子だね、サクラちゃん。他に構ってる暇なんてない筈のオレが、幸せを願ってしまうくらい。」
『ファイさん…。』
優しく微笑むファイだが、セイにはその瞳の奥に揺ら着く影が見えた。暗愁を帯びた影。
彼はサクラを見て、何を思っているのだろう…と。セイはファイの瞳を見ながら思った。
彼はいつも笑顔の中に暗くて悲しい感情を隠している。しかしそれを見せないように、そして他人を踏み入れないように、笑顔で線引きをして。
それがとてももどかしくて。
『(そんな瞳、して欲しくない…。)』
どうか、そんな顔をしないで…。
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