chapitre.7
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翌朝。
相変わらず一番に起きたセイ。
だいたい次に降りてくるのがファイだ。そのあと小狼と黒鋼がだいたい同じタイミングで下に降りてきて最後にサクラが慌てて降りてくる。寝ぐせがついたままで。
これが最近のルーティンになりつつある。
ファイが起きてきたら一番に昨日のことを話したい。なのでセイは彼が降りてくるのを今か今かと待っていた。
案の定、キィと開いた二階への階段の扉の向こうから現れたのはファイだ。ぎこちなく足を引きずっているようで、まだ痛めた足が治りきっていないなのだろう。モコナが以前ジェイド国で使用した杖を使っている。
それでもおはよーと笑顔を見せた。
『おはようございます。ファイさん』
「準備ありがとうねー、今日の朝ごはんは何にしようかなー?」
『あの、ファイさんっ』
「んー?」
早く話したくて話したくて。
つい彼の話を遮ってしまった。
気持ちが前に出すぎてしまう。それでも彼はちゃんと話を聞く顔をして見せた。
早く話した過ぎてうずうずしている自分を我ながら子供っぽいと恥ずかしく思いながらも、実は…、と話の続きを彼にした。
「言えたんだ、黒ぽんに。」
『はい…。ファイさんのおかげです。ファイさんの言葉が無かったら私、たぶんきっと言えないままでしたから。』
カチャカチャとお盆に食器を並べ、朝食の準備に手を動かしつつ昨日の事を話す。
「おれは何もしてないよ。セイちゃんが頑張って言ったんだから。でもよかったねー。」
『それでもやっぱりファイさんのおかげです。だからありがとうございます。』
「…。」
セイが笑って見せた。
その顔を見てファイはすこしだけ目を開かせる。
それは初めの頃に見せた笑顔と少し違ったから。まるで曇っていた空が晴れるような。そんな笑顔だった。
「(…変わったなぁー…。)」
『ファイさん?』
優しい顔で彼がじっと見るものだからセイはつい首を傾げた。
だが彼は笑ってなんでもないよー、と話を逸らす。
「それで黒ぽんは稽古つけてくれるって?」
『いえ。その前に体力を付けろと言われましたので。稽古はそれからだ、と。』
「なるほどねー。じゃあそのために頑張らないとね。」
『はい!』
頑張ります、と両手を握りしめて気合を入れる仕草をしていると、パンケーキ焦げるよー、とファイに注意されたので慌ててフライパンの取っ手を持つセイだった。
今日の朝ごはんはパンケーキだ。
なまくりーむ、というのと果物を使ったそーす?をつけて食べるのだという。
とても色鮮やかな食べ物である。
ちょうど盛り付けが完成したタイミングで小狼と黒鋼が一階へ降りてくる。
「おはようございます。」
「おはよー、ちょうど朝ごはん出来たところだよー」
『おはよう、小狼、黒鋼さんっ』
「おう。」
カウンターの向かいの席に付く二人に盛り付けが完成したお盆を出す。
小狼に出された朝食に黒鋼は眉間にしわを寄せて見ていた。また甘そうな…とか思ってるのだろう。そして同じものを出されるのか、と。
だが予想に反して自分に出されたのは…、
『黒鋼さんのはこっちです。』
「…。」
差し出されたお盆をまじまじと見つめる彼。
てっきり小狼と同じパンケーキとやらが出てくると思っていた、という顔である。
黒鋼の朝食はいわば和食だ。
彼の食の好みはわからないが以前に行った阪神共和国で用意された食事は文句なく食べていたのでそういう感じなら食べられるのではないかと思ったセイが用意したのだ。
シン国の食事とはまた違うし、そもそも同じ食材を見つけることも出来なかったのだが阪神共和国で食べたものに使われたのと似たような食材ならわかったのでファイに相談して調達したのだ。
これなら朝から甘ぇ、なんて文句を言いながら不機嫌に出かけていくこと事もなくなるであろうことを願って。
「セイちゃんが黒様にわざわざ用意したんだよー。優しいよねー」
「なにが言いたい。」
「あとでちゃんとお礼言おうねーってことだよ。」
「てめぇが甘ぇもんばっか作るからだろうが。」
むすん、と顔を反らしながらも箸に手を伸ばす黒鋼にファイは始終にやにや。作った本人、小狼と会話中である。
『今日も稽古?』
「はい。」
『頑張ってね。サクラとファイさんと一緒に美味しいご飯作って待ってるから。』
「はいっ。」
最後の返事は本当に嬉しそうな顔を見せた小狼だったのでセイも思わずつられて笑う。
擦り傷だらけなのにそれでもへこたれた様子を微塵も見せない彼にセイも頑張ろうと思うのだった。
ワンココンビが朝食を済ませ出かけた後、サクラが降りてきたのでセイとファイも一緒に朝食を取ることに。今日は買い出しに行こうと決めていたので午前中は店はお休みだ。
三人ともいつもの服とは違いお出かけ用の服に着替えると街へ出かけた。
街に出て、複合施設のような何件も店が立ち並ぶ場所で買い物をする三人とモコナ。
『これで買う物は全部かな?』
「たくさん買ったねー。」
「ファイさん足、痛くないですか?」
「うん。この杖もあるしねー」
洋服を身に纏い、杖を付くファイさんの姿はまるでジェントルマンだ。様になっている。
足を痛めている彼の代わりにサクラとセイが荷物持ち担当である。
といっても二人で分け合って持っているので微々たる重さだ。
「二人とも荷物重くない?」
『ぜんぜん平気ですよこれくらい。』
「私もまだまだ持てます!」
「サクラとセイ、はりきってるー」
気合の入った二人にモコナがぱちぱちと小さい手で拍手を送った。
「号外ー!号外ー!」
『?なんだろう…。』
青年がチラシのような紙切れをばらまきながら走っていく。ひらひらと舞うそれをモコナがキャッチするがそれはびしっと並ぶ異国語の文字。
「貰ったけど読めないねー」
『んー、これは…鬼児、?って書いてるのかな?被害…えーっと、ぜんぜん読めない。』
読める単語もあるがやはり文章では読めない。しかしそれを読めないファイ達の代わりに街の人達が読み口々に話し始めたのだ。
「鬼児が人襲ったですって!?」
『――っ!』
「一体どいうことなんだ!?」
「市役所は何をしているんだ!」
「なーるほどー。強い鬼児は鬼児狩りの人達しか倒せないしみたいだし気を付けた方がいいねぇ。」
鬼児はよほどのことがなければ一般人を襲わないはずだ。なのに人を襲った。
なにか異常事態が起きたということだろうか。
それゆえ号外などとチラシを配って人々に注意を促しているようにも見える。
聞き耳を立てれば、他にも夜に襲われたとか。
昨日の夜、といえばセイが異様な雰囲気を感じた時。あの時の気配は街で人が襲われた時の鬼児の気配だったということか。
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