chapitre.6
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「でも、確かに急いだほうがいいかもしれないね。織葉さんが言ってたでしょー。“桜都国の鬼児は鬼児狩りが誤って一般市民を傷つけてしまわないようにみな異形”だって。」
今さらだがファイは昨日のバーでの話を聞かせてくれた。
情報屋から紹介された“新種の鬼児”を見たという人の話だ。
今の言い方だとまるで鬼児というのは自然に現れる存在とは異なるモノという解釈になる。
『それって…、』
「そう。つまり“鬼児は意図的に作り出されたものだ”ってことだよねぇ。この国の鬼児って管理された「狩りの標的」みたいなものじゃないかなぁ。それなら、市役所が動向をを把握しているのも分かるしー」
『けれどそれなのに最近、鬼児の動向がおかしい、と…。』
「うん。それと、」
「新種の鬼児、か。」
『サクラの羽根が関わっているかもしれませんね…。』
はたしてそれが常なのか。
それとも異常事態なのか、##NAME1##達にはわかるすべもなく。
だが、自分達もいつまでもこうして生活をしているわけにはいかないのだ。ここがどういう世界なのかいまいち把握出来てはいないのだがサクラの羽根がある以上一刻も早く探さなくては。
しかしモコナもはっきりと場所までは特定できていない。小狼からも不老不死の法について有力な情報はまだ得られていない、と申し訳なさそうに言われた。
『(そもそもこの世界自体、おかしすぎる…。)』
龍脈のない世界。
倒せば消える気配のない鬼児。
まるで…――。
作り物の世界、のような…。
『(まさか、ね…。)』
そんなことあるはずがない。
ありもしないことを想像してしまい、そんなはずないと首を振る。
すると夕食を終えた黒鋼が席を立ち二階への階段へと向かう。
##NAME1##はあ、となってつい引き留める仕草をしたが黒鋼は気づかず二階へ上がってしまう。
「言えばいいのに。」
『何をです?』
微笑むファイにわからないふりして返す。
それでも彼にはお見通し、なのだ。
「黒様に自分も小狼君と一緒に稽古、つけてほしいって。」
『ファイさん…。』
まさか気づかれてなんて。
気まずそうにする##NAME1##のファイは尚も微笑みを崩さず。
「だって##NAME1##ちゃん、黒様のことよく見てるから。」
『う…。そんなに見てました?私…。』
「うん。たぶん黒様もね。」
気付いてるんじゃないかなー?とちらり。二階へ上がっていった人を思い浮かべる。
わからないふりしてもやはりごまかしきれなくて。優しく話すファイの言葉に##NAME1##は両手を重ねて握る。
『言えません…。』
「どうして?」
『…。私が“女”で“子供”だからです。いままでそういって誰もまともに相手してくれませんでしたから…。』
「……。」
私が女で、
子供で、
皇女だから。
『…だから私は自分で強くなるしかないんです。自分で錬丹術を学ぶしか…ないんです。』
細めていたファイの目が少しだけ開いた。
悲しそうに笑う彼女の気持ちが少しだけ
分かった気がしたから。
誰かを師匠にたてて学ぶのももちろん大変だ。だが、誰からも教わらず自分で習得するのはさらに大変なことなのだ。
だが自分で戦い方を習得しても所詮は自己流。
何が正解なのかさえわからない。
限界を感じていた矢先、黒鋼の戦い方を目の当たりにした。
いままで感じたことのない高揚感。
この人の戦い方を見ていればなにか学べるかも、と気づかれない範囲で見ていた##NAME1##。…その視線を黒鋼に気づかれているなど本人は知る由もなく。
桜都国・前編 Fin。To Be Continued.
2022/05/02