chapitre.6
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その夜。
情報屋から教えてもらったバーへ“新種の鬼”についての話を聞きに黒鋼と、未成年の小狼の代わりにファイが同行していった。
残された子供組+##NAME1##。
夜の来店の対応に気合を入れるところだった。
小狼の曲がったリボンを直してあげているサクラの二人の様子を少し離れた場所から見守る##NAME1##。
サクラの誠意が小狼に伝わるといいな、と願いながら…。
カラン…。と来店を告げる音がする。
「お。この店だな!」
「お邪魔します。」
小狼と同じ年くらいだろうか、一人の少年と女性の二人組が来店する。
覚束ない手先でサクラがお水を渡す。
「いらっしゃいませ。」
「ありがとうございます。」
礼を告げる女性に対し、少年はじぃーと小狼の事を見ていた。
「お前が“ちっこいわんこ”か!」
「う…、は、はい…。」
ここでは小狼の名前が“ちっこいわんこ”。いまだに慣れない名前に反応するのも一苦労だ。
「俺は龍王。」
「蘇摩と申します。」
少年と女性が名乗る。
すると龍王が布で包んであった大剣を手に取った。
一瞬でやばいと感じた##NAME1##。
龍王は小狼に向かって大剣を振りかざす。
後ろへ飛んで避けた小狼。だがテーブルが真っ二つだ。
「聞いた通りじゃねぇか。久しぶりに本気出せそうだぜっ。」
興奮しているのがわかる。今この瞬間が楽しくて仕方ないのだろう。次々と技を繰り出し、気づけば店はめちゃくちゃ。
さすがにこれ以上は、と思った##NAME1##は長棍を手にする。
「これは避けられねぇぞ!海龍…――っ」
『やめい!』
ゴン!!
「いっでー!」
鈍い音がした。
骨の髄まで響くような衝撃だった。
大技を放とうとする龍王に##NAME1##の長棍が脳天を直撃する。
あそこで彼の大技を止めるとはたいしたものである。
「人の店で何やってんだ。」
現れたのは昨日も来てくれた草薙と譲刃。
脳天を抑える彼に呆れた様子だった。
そんな彼らを肩に長棍を担ぐように呆れた様子を見せる。
『小狼』
「は、はい」
『その男の子と片付けよろしくね。』
これには小狼も苦笑い。
「申し訳御座いません。龍王をお止め出来なくて…、」
蘇摩という女性が申し訳なさそうに謝罪する。
小狼と龍王が店内の片づけに勤しんでいる間に、蘇摩と草薙、譲刃はカウンターへと座った。
「いや、俺のせいでもある。うまい店見つけたって龍王に教えた時に、強い奴らに会ったって言っちまったからな。」
「龍王、ほんっとうに強い人と手合わせするの好きだものねー」
「そういや、」
譲刃がうんうんと頷く隣で草薙がふに##NAME1##の方を向いた。
ちょうど紅茶を運んで来たに##NAME1##と視線がカチリと合う。
「龍王の技を直前で止めるなんてあんた、大したもんだな。鬼児狩り、向いてるんじゃないか?」
『私はそれでもよかったのだけれど今回はわんこコンビに譲ったんです。交換条件付きでね。』
“不老不死の法”を代わりに探す、という条件である。
ニコッと笑うその顔は小狼の方を向いていた。
『サクラ、これ運んでくれる?』
「うん!」
温まったスコーンにクリームとジャムを添え、人数分をプレートに乗せてサクラへと渡す。最初の頃に比べてずいぶんサクラは運ぶことに慣れてきたようで、スムーズにカウンターへと向かっていった。
「どうぞ」
「いただきます。」
ぱくりと一口。
口に入れた蘇摩は先ほどまで龍王の事でため息をついていたのに、一瞬にして表情を明るくした。
「本当に美味しいです!お二人で作られたんですか?」
「いえ、ファイさん・・あ、“おっきいニャンコ”さんと、“お姉さんわんこ”が…」
サクラはまだこの国での名前に慣れていないようだ。いや、慣れてしまうのもどうかと思うが。
「あーくそ!俺も食いたいー!!」
倒れたテーブルを直しながら、カウンターでお話をしながらおいしそうにスコーンやケーキを口にする鬼児狩りの仲間をみて羨ましそうに龍王が呟く。
「まだあるから大丈夫ですよ」
そんな彼に小狼が声をかける。すると龍王はケーキから小狼に興味が移った。
「おまえ強いな!けど、右側の反応がちょっと遅い。どっか悪いのか?」
小狼はそれを肯定するように苦笑をする。
「それであれだけ素早いのか。凄ぇよ」
「あのまま戦ってたら、おれが負けてたと思います。」
「勝負にもしもなんてねぇぞ。勝ちは勝ち。負けは負けだ。」
「…はい。」
「っと、その敬語やめろよ」
「はい?」
「年齢なんて、この国じゃ関係ねぇだろ。また手合わせ、してくれよな!」
「はい。いえ、うん」
差し出された龍王の手を小狼は嬉しそうに握った。
「よろしくな!“ちっこいわんこ”!」
「う゛…っ。」
やはりこの名前で呼ばれるのはイヤみたいだ。だが訂正もできず、握手をしたまま固まってしまう小狼だった。
.