chapitre.6
夢小説設定
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翌朝。
##NAME1##の朝は早い。
女同士ということもあってサクラと##NAME1##は同室になっている。
向かいのベッドで眠る彼女はまだ起きる気配はない。昨日の事もあったから少し心配しつつも##NAME1##は部屋を出た。
この家は一階がカフェスペースになっていて、二階が居住区になっている。とても便利だ。
一足先に一階に降りた##NAME1##。
カウンターに入りお湯を沸かす。
ぐっと身体を伸ばすと店内の清掃を始めた。
朝ごはんの準備をしようと思ったがファイが仕入れた食材はどれも##NAME1##の知らぬものばかり。
『こればっかりはわからないからファイさんにおねがいしようーと。』
昨日作った看板を玄関の外に立てる。
黒猫が描かれたかわいい看板だ。
さて、お客さんはくるかな?
しばらくして階段から降りてくる足音。小さな音を立てて、ドアが開いた。
『おはようファイさん。』
「おはよー##NAME1##ちゃん。相変わらず朝早いねー」
『私の体内時計は正確ですから。』
あははーと笑う。
店のカーテンを開けるとすでに日は昇っており、朝日が室内に差し込んだ。
ファイが朝食の準備を始めたので##NAME1##も覚束ない手で手伝う。
『ファイさん、これは?』
「それはねー」
二人で朝食を作り始めて数分。出来上がる頃に、黒鋼と小狼が一階へ降りてきた。
『おはよう小狼、黒鋼さん』
「おはようございます。」
「…おう。」
「おっはよー小狼君、黒わん。」
黒鋼は低血圧なのかファイのわんこ呼びも朝は反応しないようだ。
二人の前に出された朝食。
小狼は嬉しそうにファイお手製の朝食を食べたが、黒鋼は眉間にしわ寄せて食べていた。どうやら彼はこの甘いタイプのご飯は苦手のようだ。
『(食材があれば作ってあげよう。)』
そう思う##NAME1##だった。
朝食を済ませた小狼と黒鋼が市役所に出かけた後、ぱたぱたと慌てたような足音が降りてくる。
「おはようございます!」
『おはようサクラー』
「おはよー」
最後に起きてきたサクラだ。
急いで支度をしたのか寝癖が付いたまま、部屋から走って来たようだ。
「ごめんなさいっ。寝坊しちゃってっ」
「いいんだよー。お店開ける時間はまだ決めてないし」
『それにまだ本調子じゃないでしょう?』
「明日はちゃんと起きられるように頑張ります!」
「応援してるよー」
『頑張ってー』
気合を入れるサクラ。ふと静かな店内にいない人に気づく。
「モコナと小狼君と黒鋼さんは?」
『三人なら市役所に行ったよ。』
「昨夜また鬼が出て、それやっつけたから報奨金貰いにね。」
「昨夜ですか!?」
昨夜はたしか小狼の部屋に行ったはずだ。
なのに全然そんな様子に気づかなかった。
朝起きたら自分の部屋で寝ていたのだ。
『サクラ、よく寝てたからねー』
「また怪我したのかな…っ。」
「心配?」
ファイの方を見て、はい…。と答える。
「小狼君、わたしの記憶を探す為に頑張ってくれてるのに、わたし何も出来ないから。
それに、小狼君、時々凄く…独りに見えて…」
心配そうに話すサクラにファイはさすがだな、と感心する。
そんな彼女に##NAME1##はそっと頭を撫でた。
「何も出来ないなんて事ないよ。
笑ってあげてよ。サクラちゃんの笑顔が小狼君のごちそうだから。」
「――…。」
で、サクラちゃんのごちそうはこっちー。とファイは朝食を乗せたお盆をサクラの前に出す。
ファイお手製の焼きたてパンだ。
サクラはあまりの美味しさに目を輝かせる。
「おいしいっ!」
「よかったー」
「ファイさんすごいです!絵も上手だし、お料理も上手なんですね」
『私も見たことないものばかりだったからすごく興味深いの。』
「絵は魔法陣の要領だしー、料理は薬とか魔術具の調合と同じだしねー」
軽く言うがそううまくいくほど簡単ではない。
ファイはきっとこういうのがもとから得意な性格なのだろう。
だからこそ、料理などが上手に作れるのだった。
「小狼君もモコナも喜んでくれたんだけどー、“おっきいワンコ”がねぇー」
『嫌がってたねー。せっかくファイさんが作った朝食を…』
「そうなんですか?」
美味しく食べる小狼やモコナと違い、黒鋼はとっても嫌な顔をしていたのだ。
あまり想像できないのだろう。首を傾げるさくらに##NAME1##は苦笑するだけだった。
『甘い物があまり好きじゃないみたいね。』
そんな噂話をされている頃、黒鋼は盛大なくしゃみをしていたなど##NAME1##達には知る由もなく。
オープン初日なのでお客さんはまだまばらだ。
空いた時間に##NAME1##とサクラはファイから直伝のパンの作り方を教わっていた。
生地をこねる作業はシン国にある料理・肉まんの生地作りとよく似ていたので楽しかった。
すると店の扉がカラン…と開く。
ずかずかと入ってくる足音がこの店の住人だとすぐにわかった。
「ただいまー」
とモコナ。
ファイもおかえりー、と返す。
市役所に行っていた三人が戻って来たが、黒鋼は相変わらず不機嫌なまま。
「黒ワンコ、まだ怒ってるのー?」
朝ごはんの事をいまだに怒っているのかと思っていたファイだったが、どうやら違うようだ。
「そのワンコってのヤメろ!」
『黒鋼さんはいったいどうしたの?』
##NAME1##から黒鋼が不機嫌な理由を尋ねられた小狼は何があったのか説明し始める。
「あの…、帰る前にもう一回市役所へ行ったんです」
『市役所に?』
「はい、情報屋へ行った後なんですけど。
それで黒鋼さんが『すぐやる課』で登録名を変更しようとしたんですけど…」
「出来ません。名前を変更したいなら、再度入国して下さい。その場合、現在お持ちの園は全て無効となります」
「――…!」
「あはははは!」
決めた本人大笑い。
そんな彼を黒鋼は睨む。
「笑いごとじゃねぇ!情報屋の女まで知ってやがったぞ!!」
「なんでー、かわいいよー」
だから店内で刀振り回すなっての。
これで何度目か。鬼ごっこを始める自由な大人達であった。
「「『………』」」
きっとこの先もこの光景をよく目にするんだろうな…、と##NAME1##は白けた顔で見守るのだった。
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