chapitre.6
夢小説設定
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『変なんです。この国…。』
何を言うかと思えば。
黒鋼はしかめっ面をする。
「変ってどいうことだ。」
『…黒鋼さん龍脈の話、覚えてますか?』
旅を始めたばかりの頃、##NAME1##が使う錬丹術の原理を説明するにあたってした力の話のことだ。
山の頂から噴出し、大地へと潜り土地を潤していく力の河、のようなもの。
ぼんやりとだが黒鋼はあぁ、と短く答える。
『その龍脈がこの国にないんです。こんなこと初めてで。それに昨日の化け物…全く気配がなくて気づくのに遅れたんです。』
「…それは俺もそうだ。あんな距離で全く気配に気づかなかった…。」
これにはお互い頭を悩ませた。
『それにいつも感じていた龍脈が無いという状況が初めてで、なんだか…すこし気分が悪いですね。』
「…辛ぇのか。」
##NAME1##は苦笑いする。
龍脈のない国、
気配がない化け物、
新たに訪れた国は奇妙な事だらけである。
それで神経を研ぎ澄ませて龍脈を感じ取ろうとしていたのだが、やるだけ無駄だった。
龍脈がない、ということは今##NAME1##は錬丹術が使えないということになる。
試しに錬成陣を描いて術を発動してみようと試みるが全く反応なし。
『やっぱり使えない…』
「錬丹術、か。」
『はい…。』
まるでこの世の終わりかのような顔をする##NAME1##。黒鋼は頭をぐりぐり撫でまわす。
『わ…っ!』
「んな顔すんな。たまたまこの国で使えねぇだけだろ。術が使えなくてもお前は十分戦えるだろうが。」
誰かを守れるくらい、と黒鋼が呟いた。
しかし##NAME1##の耳にはしっかりと届いていて。
不器用でぶっきらぼうな人だけど、芯は優しい人なのだなと##NAME1##は思った。
旅する時間を重ねていくごとに彼の事が少しずつ分かってきたような気がして。
それがただ純粋に嬉しい。この人の事を知っていくのが。
すこし心が和らいだ気がした。
そのあともずっと会話は続き…というか##NAME1##が一方的に質問攻めにしたのだが。
しばらくして『ただいまー』と、明るいファイの声が聞こえてくる。
ファイと小狼が帰宅した。
「あのねぇ、仕事決めてきたよー」
「あぁ?」
『仕事?』
戻って来て早々に笑顔で市役所という場所であった話をするファイ。
「小狼君と黒わんは、鬼児を倒して、んでお金持って来て――」
「ガキ、説明しろ」
「はい。」
ですよね、と言わんばかりの小狼の顔。
ファイの説明が全く理解できない事に、##NAME1##は首を傾げ黒鋼は小狼に詳しい説明を求める。
大人しく小狼の説明を聞く黒鋼の姿がちょっとかわいいと思ったのは内緒。
「鬼児っていうのは…」
「えーん、黒わんころがほったらかしにしたー」
「嘘泣きはやめろ!」
ほっとかれたファイはしくしくと嘘泣きしていた。
小狼から『鬼児』という事を詳しく聞く。
鬼児は、この桜都国に現れる敵であり、倒すべきものでもある。
主に夜に現れるが、稀に陽が高い内にも出現する。強さは月の満ち欠けの影響を受ける。月が満ちる程強く、新月に近いほど弱まる。
よほどの事が無い限り、鬼児は一般市民には襲わないそうだ。
そして、その鬼児を狩る専門家がいる。
それは『鬼児狩り』と呼ばれる狩人(ハンター)
鬼児を倒して収入を得るが、強い鬼児を倒せば倒す程、得られるお金も高額になっていくのだ。
その鬼児狩りは必ず二人一組で行う事が条件。
話を聞き終えた黒鋼はニヤッと笑う。
「なるほど。鬼児狩りか、退屈しのぎにはなりそうだな」
「黒鋼ノリノリーvv」
「ほらねー」
「はい」
黒鋼の性格を理解してこの職業を選んできてくれたようだ。
「けど、お前はいいのか。」
「え?」
やる気満々の黒鋼は、表情を変えずに小狼に話しかける。いいのか、と尋ねられた小狼はキョトンとなる。黒鋼の言葉がなにを指していたのか理解出来なかったからだ。
「鬼児ってのがどれぐらい強いか分からねぇが、それを倒す仕事があって金が支払われてるって事は、素人じゃ手が出せねぇって事だろう」
黒鋼はジッと小狼を見てから、グイッと額を掴んで右目を見る。
「お前、右目が見えてねぇな」
「「!」」
黒鋼が言った内容にファイと##NAME1##は驚いた。
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