chapitre.6
夢小説設定
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夢を見た――。
小さかった頃の夢だ。
ある二人に会った。
町のはずれにある川沿いで休んでいた。
変わった服装をしていた。シン国の者ではない。外国の衣装だった。
その二人は旅をしていると言った。
追手から逃げている、と。
何故追われているのか、と私は問うた。
狙われているからだと二人は言った。
その二人は、双子だった。
吸血鬼の。その時吸血鬼というのが一体どういう存在なのか私は知らなかった。
その双子の名前は――……。
「人を犬みてぇに呼ぶなー!!」
――!!
黒鋼さんの叫ぶ声が聞こえて、はっとなる。
そこで自分が眠っていたことに気づく。
そこは桜が美しく咲き誇る国・桜都国。
目が覚めて今自分がいる場所が把握できてない##NAME1##は周りをきょろきょろする。隣ではサクラがうとうとしていたが、同じく黒鋼の大声に眠気が吹き飛んだようだ。
ガルル…と怒りながら叫んだ黒鋼さんが##NAME1##とサクラが座る席に戻ってくる。
どうやらここはなにの役所のようだ。
受付ではファイと小狼が役所の女性と話しながら手続きをしてくれていた。
こちらに戻ってくる黒鋼が起きた##NAME1##に気づく。
「起きたのか。」
『はい。私一体…、それにここは…。』
「ここは桜都国だとよ。お前、着いた途端、気を失ったんだ。覚えてねぇのか。」
『えっと…、そうみたいですね。お手数をおかけしました。』
ペコリと頭を下げる。そんな彼女に黒鋼は別にいい。と言った。
「身体は。」
『ん?』
「熱出ただろう。なんともねぇのか。」
これが彼なりの精一杯の気遣い、なのだろう。
##NAME1##はそれがすごくくすぐったく思う。
そして嬉しくも…。
こんな風に誰かに心配されるなんて久しぶりのような気がした。
『はい。大丈夫です。辛くなったらちゃんと言います。』
その言葉に黒鋼は満足したのかふっと顔を緩めた。
「ならいい。」
住民登録とやらが済み、今までの衣装を換金することができ、そのお金で物件を購入。一行は紹介された一軒家へと入った。中はお店が開けそうな内装だった。
「ジェイド国と高麗国の服、買ってくれて良かったね」
ファイは小狼が以前言っていた通り、今までの国で着ていた服を残しておいて良かった、と笑っていた。
彼から学ぶことは多い。
そして非常に役に立つことばかり。
最年少ながら頭が下がる。きっと彼がいなかったらもっと大変なことになっていたかもしれないと毎回思う##NAME1##だった。
「他国の衣装が貴重な国もあるので」
「それも、お父さんと旅してた時の知恵ー?」
「はい」
ソファではすでにゆ~らゆ~ら、と船をこいでいるさくらが座っていた。
すでに眠りにつく数秒前である。
「くつろいでていいのかよ。見張られてるかもしれねぇんだろ、誰かに」
と黒鋼。
「んー、でもずーっと緊張しているのは無理だしねぇ。リラックス出来る時にしとかないとー」
ゆるーい雰囲気をかもすファイ。
いかにも旅行気分な旅の仲間に指摘する。
「お前はだらけっぱなしじゃねぇか!」
自分のコートを抱きしめ、床に寝そべってだらしない彼。身体で態度を表すファイに黒鋼がツッコむ。
「さて、寝る所も確保したし、後は…」
「本当に少しだけど、サクラの羽根の力感じる。羽根、この国にある」
睡魔との戦いについに負け、ソファに横たわるサクラの枕もとでモコナが言った。
その時だった。
ガシャ――ン!!
――っ!!
突然、窓を割って侵入してきた化け物。全身黒い大きな生き物。それはいままで見たことのない姿をしていた。
すぐに黒鋼はサクラを抱えその場からさっと避難した。他の三人も飛び退いて戦闘体制に。
「わー、お家を借りたら、いきなりお客さんだー」
「招いてねぇがな」
『なにあれ!?気配が全然しなかった!どういうこと!?』
化け物は鎌のような腕で小狼に襲いかかる。攻撃をかわしていた小狼は一瞬だけ反応が遅れ、右腕に怪我を負ってしまう。
だがすぐに壁を使って大きくジャンプし、踵落としを食らわし化け物を倒す。
「可愛い女の子が出迎えてくれたり、綺麗な家紹介してくれたり、親切な国だと思ってたけど結構アブナイ系なのかなー」
倒れた化け物を見る。
するとその化け物は突然その場から消滅した。
文字通り“消えた”のだ。
跡形もなく消え、残されたのは壊された窓ガラスと家の壁。
「消えた!」
「やっぱり、危なそうな国だねぇ」
流石のファイも笑顔を消え、目を細めて“お客さん”がいた場所を見つめていた。
『なんだったの…、一体…。』
* * *
翌日。
小狼とファイは、昨晩の化け物の話と職業を決めに市役所へ向かった。
##NAME1##と黒鋼は家で留守番中だ。
サクラはまだ起きない。
特に会話もなく、黒鋼はサクラが眠るソファにもたれて目を瞑っている。##NAME1##は窓ガラス越しに外の景色をながめていた。…というよりも、神経を尖らせていた。
その気配が黒鋼にもびしびし感じる。いい加減うっとおしくなってきたので、痺れを切らした彼がおい、と声をかける。
「いつまでそうしてる。」
『え?』
「いつまで神経尖らせるつもりだ。そのうちバテんぞ。」
『あ…。』
そんなに意識を研ぎ澄ませていたとは気が付かなかった。ふぅ、と肩の力を抜き、##NAME1##は黒鋼の隣にちょこんと座った。
彼は何も言わず、じっとこちらを見ていた。
「気になるのか。誰かに“視られてる”ていうのが。」
『……。いえ、違います。』
「あぁ?じゃあなんだよ。」
てっきり誰かに監視されているから神経を研ぎ澄ませていたのかと黒鋼は思ったが、##NAME1##は違うことで意識を集中させていたのだ。
自分の手のひらを握ったり、開いたり、また握ったり。
顔を上げて黒鋼を見る。
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