chapitre.5
夢小説設定
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小狼達が駆け付けた先で、サクラの足につけられていた足枷の鎖を引き、捉えるカイル先生の姿があった。
そのサクラの腕には氷で包まれた羽根。
どうやらカイル先生の欲していたのはサクラの羽根だったようだ。
追い付いた小狼達にカイル先生はナイフをサクラに突きつける。
「近寄るな。」
『サクラ!』
久方ぶりに目にしたサクラの姿に##NAME1##は安堵する。よかった…。自分と同じような目に合ってないか心配だったのだ。
##NAME1##とは違い、この城に連れて来られ監禁されていただけだった。
「この羽根さえ手に入れればこんな小さな町、いや、国も全部意のままだ。
なんせ300年前、金の髪の姫はこの羽根の力で城下町の子ども達を救ったらしいからな」
「金の髪の姫は子ども達をさらって城で殺したんじゃ…!」
「殺す為だけなら、こんな部屋、必要ないだろう」
実際、今いる場所にもブランコや木馬など子供達が遊べる遊具が置いてあるのだ。
「そういえば、ここに来る途中たくさんベッドがある部屋もあったねぇ」
『きっと城に集めた子ども達の為だと思います。』
ファイや##NAME1##が話している内容を聞いていた自警団のリーダーは信じられない表情を見せる。伝説では羽根を手にした後に、王と后は死んだと。
だが、さくらは『違う』と否定した。
まるで誰かと“会話”しているようだ。
「じゃあ、いなくなった時と同じ姿で戻って来なかったっていうのは…、」
『誰かいるの…?まさか…』
サクラだけが見たというエメロード姫…?
「サクラちゃん誰と話してるんだろー?」
サクラの声だけか聞こえる。そんな様子をファイ達は不思議に思うだけだった。
「幻との会話に付き合ってるヒマはない!その羽根を渡せ!」
痺れを切らしたカイル先生がナイフを振り上げる。
「やめろ―――!!」
―ダン!
「小狼君!!」
サクラがナイフで刺される寸前で小狼がサクラを抱え、庇ったのだ。
その時、大きな音が鳴り城全体が揺れた。
「何の音かな?」
「地震か?」
『違う――。この音は…っ、』
水の激流の音が##NAME1##の耳に届く。
ドンー!!
城の壁が崩壊し、そこから大量の水が流れ込んできたのだ。
一か所が壊れると、連鎖するようにいろんな箇所から崩壊が起こり次々と川の水が入り込んでくる。このままではこの地下は間もなく水没するだろう。
「うわぁ!」
「水が!」
「川を止めていた装置が壊れたんでしょう。」
と小狼。
「あー古かったもんねぇ。あんまり長い間、止めてられないんだー」
呑気なやり取りをしていた小狼達に自警団のリーダーが叫ぶ。
「危ない!」
ガン!と##NAME1##達と小狼とサクラの間を割くように天井の壁が落下する。
『サクラ!小狼!大丈夫!?』
「大丈夫です!子供達を上へ!必ず城から出ます!先に行っててください!」
瓦礫の向こうから叫ぶ小狼。
グロサムさんが心配する中、ファイと黒鋼は指示に従う。##NAME1##も後ろ髪引かれる思いではあったが黒鋼が行くぞ、と促すので子供達を連れて来た道を戻り始めた。
『私が先導します。子供達をお願いします。』
「オッケー。さ、行きましょー」
「まだ仲間が危ないのに!?」
「『やる』って言ったら、やる感じの人だから――、小狼君」
まだ子供の部類に入りそうな小狼とサクラだけを残していくことにまだ抵抗はあったがこれ以上ここに居ても危険な為、グロサムさんと自警団のリーダーは仕方なく黒鋼達に付いて城から脱出を試みる。
城の通路もさっきとは違い崩壊が進んでいたので一時的だが##NAME1##が錬丹術で水や崩壊した壁を修復しながら通り抜けていく。
そして彼らは子供達を連れて無事に城の外へと脱出し、川の先で小狼とサクラが出て来るのを待っていた。
川の勢いも刻一刻と激しさを増していく。
「これ以上、流れが速まると渡れなくなるぞ!」
「本当にあの2人来るのか!?」
「「……」」
焦るグロサム達の問いかけに黒鋼達は何も答えず、ただじっと城の方を見ているだけだった。
――コポコポ…っ
「……来た」
ザバッ――。
川の中から出てくる手を黒鋼がガシッと掴み陸へ引き上げる。
「ひゅー♪“やった”ねー、小狼君」
出て来たのはサクラを抱えた小狼。
2人の後からカイル先生が出て来る様子はなく、その瞬間に背後にあった古城が崩壊する。
地下から崩れ落ちたのだろう。
もう二度とあの城に立ち入ることは出来なくなってしまった。
「先生は!?」
「わ…かり、ません…っ。」
『気配も全く感じられません…。』
「城と運命を共にした…かなぁ。」
意味深っぽくファイが呟く。
すると気を失っていたサクラが目を覚ます。
抱きしめていた氷が解け、中に入っていた羽根がサクラの中へ消えていく。その時、サクラは空中をじっと見つめていた。
まるで“誰か”がそこにいるかのように。
“気をつけて…。誰かがずっと、貴方達を視ている――。”
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