chapitre.5
夢小説設定
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ある二冊の帳簿を小狼は手に取って見せる。
「これは町長から預かった子供達がいなくなった時の記録です。そしてカイル先生、あなたのこの診察記録…姿を消した子供はその数日前に必ずあなたの診察を受けています。」
「町の人達は全員私の診察を受けています!そんな偶然…っ」
カイル先生の言い分を小狼はさえぎる。
「最初にいなくなった子供は健康診断ということであなたが診療所に招いていますね。」
そしてその後は、友達がいなくなった子供達を落ち着かせる為にという理由で子供達を診察して回った…ということだ。
「あなたは催眠治療もなさるんですね。…あなたが診察した##NAME1##さんが言ってました。…覚えのない奇妙な力が身体に入ってくる感覚がした、と。」
『私の国でも似たような治療法は存在する。…生きていた私に催眠術をかけ、外へおびき出し、あなたの顔を見た私を今度こそ殺そうとした。…そうでしょう?あいにく私、そういう力があまり効かない体質なの。』
残念だったわね。と清々しい笑顔をカイル先生に向ける。
ぐっと押し黙るカイル先生。
「あなたは子供達に暗示をかけていた。足跡が残らない雪の日に、子供達が自分で姿を消すように…。」
「子供達はどこへいったんですか。」
とカイル先生。
『あの城、でしょう。』
「あなたが流れを止めた川を渡って。」
その台詞と同時、激しかった川の流れがピタリ。と止まった。
その様子に自警団の人もグロサムさんも騒めく。
それは昨晩##NAME1##とサクラが見た様子とまったく同じで。
「どうやったんだ!?何故川の水が止まったんだ!?」
グロサムさんでさえこのようなことは初めてだった。小狼は一冊の本を手に取る。それはこのジェイド国の歴史書だ。
違うのは借りた先が町長ではなく、グロサムさんからだということ。
「この本。町長さんから借りた物はページが破かれていました。なくても違和感のないよう数ページにわたって。ですがグロサムさんが所有していた歴史書は全ページ揃っていました。」
「町の者ともうまくいってるわけじゃない。だから私の本を借りにはこないと思ったのだろう。」
カイル先生はなにも答えない。
顔を俯かせ、表情が伺えなかった。
「破かれたページには地下や地下水道についての記述がありました。地下水道があるのなら城へ水を引き込むため、川の水をどこかで制御しているはずです。」
するとタイミングを見計らったかのように黒鋼とファイが小狼と##NAME1##の元へ戻ってくる。
「どうー?川の水止まったー?」
事前に小狼が二人にお願いしていたのだ。
目印を付けた地図を渡して。
ほんとは##NAME1##も行こうとしたが、それよりもカイル先生を一発殴らないと気が済まないらしく、川の水の制御装置と天秤にかけたらカイル先生を殴ることの方が勝ってしまったのでこうして小狼についてきたのだ。
そもそもこの場に来ることも三人にかなり反対されていた##NAME1##。
「だめだ。宿で大人しくしてろ。」
『いやだ。絶対私も行くっ。』
「でも##NAME1##ちゃん、まだ熱あるでしょう?無理したら今度こそ危ないよー。」
『一発っ、あのやぶ医者を一発殴ったら大人しくしてるから!お願い小狼!』
「てめぇそれでも皇女かっ。一発殴るとか、一体どういう育ち方したらそんな言葉覚えんだよ。」
「##NAME1##さん…、」
結局、三人の方が折れてしまい##NAME1##の同行を許してしまったのだ。
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