chapitre.5
夢小説設定
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朝食後、教えてもらった町長さん宅を徒歩で向かう。
「お前は昨夜何も感じなかったのか。」
気配に鋭い彼女なら、なにか感じたのではと思ったのだろう。
黒鋼がセイに尋ねたがセイは首を横に振る。
『サクラが外に金の髪のお姫様がいると言った時私も外を見たけれどなにもいませんでした。…ただ、黒い鳥が何羽か飛んでいるのは見ました。』
「金の髪の姫の正体は分からず…か」
「小狼君がこの国の歴史書が読みたいのは純粋な興味ー?」
「それもありますが確かめたいことがあって」
町長の家に着いて呼び鈴を鳴らすと怯えた様子のメイドが顔を出す。
窓から小狼達がこちらに向かってくるのが見えたのだろう。
「申し訳ありませんー、町長さんはご在宅ですかー」
「あ、あの…」
戸惑うメイド。
すると奥から町長が出てきて、小狼達を部屋に通してくれた。
「これで二十一人目だ」
町長が深刻な顔でため息を吐く。
「手掛かりになるようなものは何も?」
とファイ。
「残されていなかったよ、今回もね」
凶作が続き子供達が消える。
そして三百年前の伝説…と町長は頭を抱える。
最初に子供がいなくなったのは二ヶ月前、木の実を拾いに行って戻らなかったらしい。
そこから一人だったり三人だったり夜外に出てはいけないと言い聞かせているのに、暴れた様子もなくただ子供が消える。
町長は歴史書を渡して何度読んでも手掛かりは無かったと言う。
「読み終わったらすぐに町を出なさい、取り返しのつかないことになる前に」
心配してくれる町長に対し小狼はまっすぐな瞳で返す。
「ありがとうございます、でもやらなければならないことがあるんです。」
* * *
まぁなんというか。
『器用ね。』
馬に一人で乗りながら本を片手に木の枝をひょい、地面の石をひょい。
サクラを乗せたファイがひゅーとまた口笛っぽいものを鳴らす。
「すごいねぇ、前も見ずに。」
「この先です」
小狼の指差す先に廃墟となった城が見えた。
城と言っても三百年も前の古城。
ほとんどが崩れ落ち、危険な状態だ。
「あれが北の城かあ」
「しかしどうやって城まで行くんだよ」
「黒鋼渡れない?」
彼の服の中で動き回っていたモコナが尋ねる。
「無理だろう、特に子供を連れてじゃあな」
城の前には川がありドドド…ッとものすごい水量と勢いで流れている。
小狼が歴史書にある地図を確認する。
「この川は三百年前にもあったようですね」
「昔はどうやって城に入ってたんだろー」
『あそこ。橋があったんだと思う。痕跡があるわ。』
「それ以外に城に行ける方法は見当たらないねぇ」
「じゃあやっぱり子供達を城へ連れ去るのは無理ってことか」
城へ行くにはこの川を渡る意外方法がなさそうだった。
城の周りを確認したが手掛かりは得られなかったので一旦町へ戻ることに。
「強い力も感じなかった」
「さくらちゃんの羽根も不明かぁ」
『向こうに誰かいる。』
「あー、グロサムさんだー」
「んな所で何してんだ?」
「あっち何もないのにねぇ、お城くらいー?」
木々の間から馬に乗るグロサムさんの姿。
こちらは気づいたが向こうはセイ達に気づかず、そのまま屋敷へ帰っていってしまった。
一体何をしていたんだろう…。
町に戻ったがやはりいなくなった子供はまだ見つかっていないようだ。
するとカイルが町民の家から出てくる。
「往診ですか?」
と小狼。
「ええ、今朝いなくなった子と仲が良かった子供達が随分ショックを受けているので…」
泣きじゃくる小さな女の子と、その背を支える母親と別れ、カイル先生はこちらへ走ってくる。町長さんから借りられた歴史書を見て、悲しげな顔が更に歪んで祈るように言葉を絞りだした。
「貴方が見たという姫のことでもいいんです、何か分かったらどんな些細なことでも教えてください。子供達が一日でも早く戻ってくるように」
『(昨日からそればかり…)』
やけに自分達に頼ってくるな、とセイは思った。
セイ達は泊まっているカイルの家へ戻り、今日は休むことにした。
小狼達がいる男部屋では歴史書に頭をひねらせている中、女部屋ではサクラが部屋の窓を開け、毛布を頭からかぶっていた。
『サクラ…なにしてるの。さむ…っ』
「あ、ごめんなさい。」
部屋に戻ってきたセイは窓を全開にしているサクラに呆れた。当然部屋の温度は氷点下突入だ。というか砂漠の国出身なのに雪寒くないのだろうか。
『心配…だよね、いなくなった子供達のこと』
「うん。子供達、寒さで震えているかもしれない。姫を見たのはわたしだけだし、また何か起こるかもしれないから…頑張って起きてないと。」
『サクラ…』
きっと自分に何か出来ることはないかと考えた結果がこれなのだろう。
自分にできることならなんでもいいから、何かしたいと願う気持ちはセイにはよくわかる。
なら、とセイもベッドの毛布を手に隣に座って毛布を頭から被り窓に張り付いた。
「セイちゃん…」
『私も付き合うね。一緒に起きてようっ』
「…ありがとう。」
『金の髪のお姫様はサクラにしか見えなかった。…きっとサクラに何か伝えようとしているのかもしれないね。』
「うん。」
雪が降りやまぬ夜。
毛布をかぶって待つこと数時間。
「―あ!金の髪の姫!」
ついに現れた。
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