chapitre.5
夢小説設定
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翌朝。
部屋の窓から外を眺めていた小狼。
その上からファイも覗き見る。
「積もったねぇ雪。」
「昨夜随分冷え込んだしな。」
そんなファイのさらに上から黒鋼も同じように窓を覗く。
はたから見ればなんとも面白い構図だ。
小狼達が部屋から出てきたタイミングで女部屋のドアも開く。
中から##NAME1##と彼女に手を引かれたサクラが出てくる。
「##NAME1##ちゃん、サクラちゃんおはよー」
「おはようございます。」
「おう。」
『おはよう。』
「…おはようございます。」
「…どうしました?」
サクラの僅かな表情の変化も見逃さない小狼は、サクラの異変にすぐに気づいた。
『実は昨日サクラが…』
##NAME1##はサクラを振り返る。
自信なさげにする彼女。##NAME1##の手をすこし強くきゅ…と握りしめた。
「昨夜……見たんです、」
「ん?」
「雪の中を…」
「子供が――!!」
――!?
母親の嘆きが町中に響き渡った。
その手には黒猫のぬいぐるみを抱えていて。
見覚えのあるそれはこの町に来た時最初に見かけたあの女の子の物だ。
「子供がどこにもいないんです!!」
自警団の男性に縋るように泣きついていた。
町の騒ぎに小狼達も急いで表に出る。
「ちゃんと鍵も掛かってたのに!!」
「壊されたのか!?」
「中から開いてるんです!!絶対に鍵は開けちゃいけないと教えてあるからあの子のはずがないわ!」
やっぱり金の髪の姫が子供たちを拐ったのでは、と嘆く母親たち。
「じゃあ、あれはやっぱり夢じゃなかったの?」
「―あれってなんだ!?」
「――っ!」
サクラが溢した言葉を聞いた自警団の男性が勢いのまま怒鳴りつけた。
彼女に危害が及ばないよう小狼が間に立ちはだかる。
サクラは恐る恐る昨夜のことを話した。
「昨夜、雪の中を金色の髪をした白いドレスの女の人が黒い鳥を連れて歩いて行くのを見たんです」
サクラは見たままの事を話した。だがそれは余計に町民を不安にさせた。
北の城の金の髪の姫が子供を拐ったと、これは呪いだと。
「いい加減にしないか!」
小狼一行を含めたその場に居る者全員を睨みながらグロサムは現れた。
「また子供がいなくなったんですか!?」
騒ぎを聞いたカイル先生がグロサムさんに駆け寄った。
「昨夜、この余所者達は家から出なかっただろうな」
「いつ急患が来ても良いように、私の部屋は入り口のすぐ隣です。誰かが出て行けば分かります」
しばしの睨み合いのなか、ともかく子供たちを探そうと町長は町民を解散させた。みんなぞろぞろ去っていく。
グロサムも町長と一緒に帰っていった。
「さあ、戻りましょう。朝食の準備が出来てます」
「ありがとうございます」
「大丈夫ー?##NAME1##ちゃんと黒んぷのナイフとフォークの使い方独創的だからぁー」
「うるせっ!おまえこそ箸、使えねぇだろ」
『そうだそうだ!』
黒い鳥が気味悪い鳴き声を上げながら、一行は朝食をいただく為カイル先生の家へ戻った。
―――…。
「…金の髪の姫を見たんですか?」
「ごめんなさい。わたしがあの時外に出ていれば…」
『それは危険よサクラ。だから朝になったら小狼達に言おうって私が言ったんです。』
「それに、夢だと思ったんでしょう。雪の中を歩いているドレスの女なんて現実じゃないと思うのは当然です」
『……。』
カイル先生は、なにか些細な事でもいいから教えろ、といった割にはサクラが見た金の髪のお姫様の話にあまり食いついてこないんだな、と##NAME1##は思った。
「町の人たちはそうは思ってないみたいでしたけど―」
「“スピリット”の人たちにとってあの伝説は真実ですから」
町の人達の態度を指摘するファイの隣で“独創的”なスプーンの使い方をする黒鋼。
ちょっと見ただけなのに、すぐ目を合わせてくる彼に##NAME1##は慌てて頭を下げた。
平静を装いながら、ファイ・小狼とカイル先生の話を聞き入る。
「史実ということですか?」
「この国“ジェイド国”の歴史書に残っているんですよ」
――三百年前にエメロードという姫が実在して突然王と后が死亡し、その後、次々と城下町の子供達が姿が消えた―――
「子供たちはその後どうなったと書かれているんですか?」
と小狼。
「いなくなった時と同じ姿では誰一人帰ってこなかった、と」
「そりゃあ生きて帰ってこなかった、ともとれるな」
『…その逆も考えられます。』
「どういうことだ。」
黒鋼が向かいに座る##NAME1##を見る。
『私の国のある地方では忌み言葉、というものがあります。いい言葉をあえて嫌な言葉に言い換えて使います。…まぁあくまで推測ですので。実際は黒鋼さんの言う通りかもしれないし、そうじゃないかもしれないし…』
「ですが城が既に廃墟といってもその時とあまりにも似ているので、町の人たちが伝説の再現だと思ってしまうのも無理はないんですが…。」
『なんてったって三百年前の事ですもんね。知ってる人なんていませんでしょうし…』
「町で金の髪の姫を見たのは他には……」
「いません。サクラさんとおっしゃいましたね。貴方が初めてです。その事でグロサムさんが何か言ってくるかもしれません」
「サクラちゃんは初めての目撃者かもしれないものねー」
「その“ジェイド国”の歴史書は読めるでしょか?」
小狼のその一言によって歴史書を所有している町長さんの家へ向かうことになった。
グロサムさんも所持しているようだが初対面がああだったのだ。よっぽどのことがなければいけるはずもない。
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