chapitre.5
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
怒涛のように現れ、嵐のように去っていった二人のことをカイル先生が教えてくれた。
「すみません、紹介もできなくて。今のが町長とグロサムさん。グロサムさんはこの町の殆どの土地の所有者です」
「大変な時にお邪魔してしまったみたいですねぇ」
「隣町で聞きました。―この“スピリット”の伝説の事とか」
「私も、あれは良くある只のお伽噺だと思うんですが、まさか本当に子供達がいなくなってしまうとは…、」
『……。』
悔しさと哀しさの入り混じった顔をするカイル先生をセイはただ黙ってじっと見ていた。
「手を尽くして探しているんですが一人も見つからなくて…もう二十人になります」
「そんなに…」
いなくなった子供の数にサクラは胸を痛める。
「俺達を見て警戒するワケだ」
「さっきグロサムさん達に言ったように、些細なことでもいいんです。子供達を探す糸口があれば教えて下さい」
『――。』
* * *
「とりあえず宿は確保できたねー。セイちゃんさっきからずっと静かだけどどうしたのー?」
『え?』
「ずっとあの医者のこと見てただろうが。」
と黒鋼。
そう言われてそんなにじっと見てたのだろうかと気づかされる。
『あの人…、なんか嫌な匂いがする…。』
「セイちゃん…、」
「セイさん、」
「セイ…」
「犬みてぇ。」 ボソッ。
『えぇ!?』
みんなもそう思ったのか目をそっと反らした。
なぜ反らす!?
小狼達の心情を代表して黒鋼さんがセイにそういったのだ。
『な、なんてこというんですか!?』
顔を真っ赤にして黒鋼にグーパンチが連打される。だが本気ではないのでひょいひょいとかわされるのだが。
「てめぇが匂うとかいうからだろうが。」
『だからって犬みたいとか私生まれて初めてですよそんなこと言われたの!』
「はいはいケンカはそこまでねー」
『ファイさんっ』
どうどう、となだめられる。
だがまだ怒りが収まらないのか、セイの顔はまだ高揚したままだ。
「それにしてもナイスフォローだったよー」
思い出すのは先ほどのピンチを切り抜けた小狼の機転っぷりだ。
さすが旅慣れしているだけの事はある。
「父さんと旅してる時にもあったので」
『で、ファイさん。なんで私小狼の姉なの。』
「咄嗟だったんだよー。それに二人ってよく似てるし。」
そうか?お互いの顔を見る小狼とセイ。
見た目だけじゃなくて中身もなんだけどね、とファイは一人心の中で思う。
「そういえば小狼君とセイちゃん、目と髪の色が一緒ね。」
とサクラ。
『言われてみれば、だね。』
「でしょー?」
「ぜんぜん気にしてませんでした。」
納得したー?というファイに二人はこくこくと頷く。
「でもなかなか深刻な事情だねぇ」
「実際、伝説の通りに金の髪の姫が関係しているのかはわかりませんが――」
「とにかく今日はもう遅いし、」
言ったそばからふら~っと倒れかけたサクラを小狼が慌てて支え、部屋のドアをファイが開ける。
『寝た方がいいね。』
提供された部屋。この部屋はサクラとセイが使う。
左右の壁際にベッドがそれぞれあり、扉の向かい、ベッドの間には窓がついている。
「じゃあおやすみー」
『おやすみ』
「おやすみなさい」
――…。
小さなランプを頼りにセイは本のページをめくる。
「ん…、」
むく…とサクラが目を覚ます。
『サクラ?』
「…セイちゃん…私また急に眠っちゃったの…?」
恥ずかしそうに毛布を手繰り寄せ顔を隠す。
サクラのベッドでモコナが黒鋼がー…と寝言を言っていた。
ふふっとセイは笑う。
『そうみたいだね。まだ夜中だからもう少し寝てて大丈夫だよ。』
「う、うん…。セイちゃんは寝ないの?」
セイは手に持っている本をすこし持ち上げて見せる。
『もう少しこれ読んだら。』
「そう…。――っ!」
はっとサクラがなにかに気づいた。
かぶりつくように窓の外を見る。
彼女の異変にセイも同じように窓の外を見たが何も見えない。
しかしサクラにはそこにいる“なにか”を驚いた表情で見ていた。
なにか見えるのだ、サクラには。
「金の髪のお姫様―!」
『――!!』
金色の長い髪をなびかせて
黒い鳥と共に
きれいなドレスを身に纏う美しい女性
伝説の金の髪のお姫様がそこにいた――。
.