chapitre.4
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『小狼!サクラ!』
「セイちゃんよかった、無事だったんだね。」
「セイー!」
ぴょーんとモコナがセイに向かって飛びつく。それを慌てて受け止めながら小狼とサクラの安否を確認する。
「大丈夫だよ、眠ってるだけだから。小狼君はー、湖かな?」
『よかった…。ファイさんと黒鋼さんも無事でよかったです。』
「うん、でも結局誰とも会わなかったんだー」
進めど進めど森ばかり。いつものようにファイと黒鋼はふざけながら(ファイの一方的だが)進んでいたがセイと同じように湖が光ったので引き返してきたそうだ。
その時、湖面が再び揺れる。おそらく小狼が戻って来たのだろう。
「小狼!」
モコナが緊迫した声で小狼に叫ぶ。
「サクラが!サクラがぁーー!!」
「――ッ!」
ただならぬ気配を感じたのか小狼も顔色を変えて一目散に駆け出した。
が――。
「良く寝てるのっ」
ズザーーッ
派手にずっこける小狼。
「驚いた驚いた!?これもモコナ百八の秘密技のひとつ、超演技力!!」
彼の頭の上ではしゃぐモコナと理解できずにぽかんとする小狼。文字通り目が点、だ。
「ほんとにびっくりしたみたいだねぇ」
ファイが小狼に笑いかける。
その声を聴くと不思議と力を抜けていくのを感じた。
「けどねぇ、きっとこれからもこんなこといっぱいあると思うよ。サクラちゃんが突然寝ちゃうなんてしょっちゅうだろうし、もっと凄いピンチがあるかもしれない。…でも探すんでしょう、サクラちゃんの羽根を。だったらね、もっと気楽に行こうよー」
目を優しく細める。
確かに小狼はいつも気を張って常にサクラの羽根の事を考えている。
ずっとそんな状態では疲れてしまうだろうとファイはきっと心配しているのだ。
「辛いことはねいつも考えてなくていいんだよ。忘れようとしたって忘れられないんだから。君が笑ったり楽しんだりしたからって誰も小狼君を責めないよ、喜ぶ人はいてもね。」
突然そんなことを言い出したファイ。そんな彼もどこか寂し気で。黒鋼とセイはじっとファイを見つめていた。
「モコナ小狼が笑ってるとうれしい!」
『私も嬉しいよっ。』
「勿論オレも…あ、黒ぴんもだよねー」
「俺にふるな」
みんなの言葉に小狼はすこしだけ肩の力が抜けていく気がした。
するとサクラが目を覚まし、そしてはっとなにか思い出しかのように立ち上がる。
「小狼くん!小狼くんが湖に!!」
『おぉ。』
一直線に湖へ向かうサクラを小狼が慌てて引き止めた。
「ここにいます!」
「!、…良かった」
危うく湖へダイブしそうだったサクラを間一髪で止め、小狼とこちらへ戻ってくる。
そんな二人にファイは優しく語り掛ける。
「あのねサクラちゃん、これからどんな旅になるか分かんないけどさぁ」
きっと今日みたいなこと以上に大変なことが立ちはだかる日もいつかはくるから。
それでもみんなでそれらを乗り越えられたらいいな、と心から願う。
そして彼らの幸せも…。
「記憶が揃ってなくて不安だと思うけど、楽しい旅になるといいよね。せっかくこうやって出会えたんだしさ。」
その言葉にすこし不安げに、でも彼女らしい笑顔を見せ、サクラはぺこりと頭を下げる。
「はい。まだ良く分からないことばかりで足手まといになってしまうけど、でもできることは一生懸命やります。よろしくお願いします。」
変わらない。記憶がなくてもサクラはサクラなのだと、小狼は思う。
いつも心が暖かい…。それは春の陽だまりのような温もり。
そんなサクラをセイが優しく見つめていると不意にファイがセイの方を向く。
「セイちゃんも、」
『はい?』
「元居た国の事とか、家の事とかいろいろ大変だろうけどさ、慌てずにいこうよ。焦ったってよくないから。」
『ファイさん…、』
焦ってる。
確かにその通りだと自分でも気づいてはいた。
早く不老不死の法を見つけて持ち帰らなくては、と。
高麗国の秘術とやらに何かヒントがあるのではと思って春香に聞いたりもしたが自分が求めているものは得られなった。
まだ旅は始まったばかりなのに気がせいてしまう。
期待して、でも何も得られず深く落胆する自分。その繰り返し。
余計に焦りが前に出てしまうのだ。
ファイは、…おそらく黒鋼もセイが焦っていることに気づいてたのだろう。
「オレたちに出来ることがあれば遠慮なく頼ってくれて構わないからさー」
『でもご迷惑はかけられません。』
「おれは迷惑なんて思いません。」
「私もだよセイちゃんっ。」
『小狼…、サクラ…、』
「オレもだよ、もちろんモコナも黒様もね。」
小狼がまっすくな瞳でをセイを見る。
サクラもコクコクと頷きファイが笑いかける。
黒鋼はなにも話さなかったが、かわりにセイ頭を撫でくりまわした。
焦るな、と言ってくれているようで。
いてて、思いながら乱れた髪を撫でる。
『はい…。』
不思議だなぁ…。
この人たちといると…、
こんなにも簡単に、
『(元気が出てくる…。)』
少しだけ心が落ち着いてくのがわかる。
それと同時に、仲間達の言葉にセイは胸が熱くなった。
不老不死の法を探す目的なんて無しに彼らとこの旅を心から楽しめたらどんなにいいだろう。
いや、今は…。
今だけはどうかもう少しだけ。
みんなとの旅を大切にしたいとセイは心から願うのだった。
「そういえば湖の中大丈夫だったー?」
すごく光ってたけどー、と言うファイに小狼はあっと湖の中での事を思い出す。
「あ!町があったんです!」
『町ー?』
頭に?が浮かぶ。
小狼が湖の中に小さな町があり、大きな光る魚がその町にとっての太陽だったと、手に入れた光る鱗を見せながら説明する。
その時の彼はいままで見たこともないくらい生き生きとしていて。
「強い力、このウロコから出てる力と同じ。」
モコナが鱗を見つめながら言った。
「ということは姫の羽根は…」
「これ以外に強い力感じない」
「無いってことかー」
「うん」
「無駄足かよ」
黒鋼があくびをひとつこぼす。
だが当の本人そのようには思ってなさそうだ。
その雰囲気をサクラも感じ取ったようで。
「小狼くん楽しそう。」
「まだ知らなかった不思議なものをこの目で見られましたから。」
サクラの言葉に笑顔で答え、一行は新たな羽根と不老不死の法を求めて次の世界へ移動した――。
霧の国編 Fin。To Be Continued.
2022/03/29
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