chapitre.4
夢小説設定
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「で、どこなんだここは。」
一同の心情を黒鋼さんが代表して呟いた。
まさにここはどこ、状態だ。
何故なら、見渡す限り一面。
緑、
霧、
そして湖、
のみの世界。人の気配はおろか、生き物の気配も全く感じられない。
そんな世界にたどり着いた一行は目前の湖を前どうしたものかとに立ち尽くす。
「おっきい湖だねぇ。」
『人の気配がないですね。』
「モコナどう?羽根の気配するー?」
「強い力は感じる。」
「どこから感じる?」
小狼の手のひらに乗るモコナは目の前の湖をその小さい手で指さした。
「この中。」
『え。』
「潜って探せってのかよっ」
黒鋼の返しにモコナはうん、と当たり前かのように頷いた。
そこへ、待ったをかける一人の少女。
「私が行きま…、すぅ…ー。」
「おっと。」
勇ましく挙手しようとしたサクラだったが突然の睡魔に襲われそのままふら~…、と眠りについてしまう。力が抜けたように倒れ行く身体をちょうど隣にいた黒鋼が支えた。
「サクラ寝てるー」
「春香ちゃんの所で頑張ってずっと起きてたからねぇ」
眠るサクラを見下ろしながらファイが言った。
「――で、どうすんだよ。」
火を起こし、サクラを寝かせファイが上着をかけてあげる。
その様子を見ながら黒鋼が今後の事を尋ねた。
「潜って羽根を探します。」
「じゃあオレはこの辺りを探索してみるよー。黒たんももちろん行くよねー。」
「なんで俺がてめぇなんかと…っ」
『私は小狼を手伝います。』
「わかったよー。」
「セイさん、でも…、」
申し訳なさそうに小狼がセイの方を見る。
『サクラを一人にさせられないし、潜るのも交代でやれば負担も少なく済むでしょう?』
「でも、セイさん不老不死の法は探さなくて…、」
小狼の言いたいことはわかる。
各々やるべきことがある。それなのに自分のことに気を使わせてしまうのが申し訳ないという気持ちが十分伝わってくる。
『うん。でもこの世界、人の気配がまったく感じられないのよね…。生活感?ていうのかな。たぶん探すだけ無駄骨な気がする。だったら次の世界に期待して今回は小狼を手伝うわ。』
「…ありがとうございます。」
納得してくれたのか、すこしだけ小狼が笑ってくれた。
「それじゃあ行ってくるねー」
『はい、気を付けて。』
ファイさんと黒鋼さんとなぜかモコナも探索チームについて行き、生い茂る森の中に入っていった。
* * *
パチパチと火と薪のはじける音が静かに響く。
「……ん…、」
セイが唯一持ち歩いている錬丹術の本を片手に薪を一本放り込んだとき、サクラが目を覚ました。
『あ、起きた?』
「……あ、おはようございます、セイさん」
セイが微笑みかけてそう言うと、サクラも返事を返す。
「私、急に眠っちゃったんだ…。」
『うん。気分はどう?』
「大丈夫です。…あの、小狼君達は?」
『小狼は湖に潜ってる。黒鋼さんとファイさんとモコナは、このあたりの探索に行ってるよ。』
「そうですか…、」
まだすこしぼーっとするのだろう。
動きがゆっくりなサクラを見て、セイはもう一本薪を放り込んだ。
「……あの、セイさん」
『セイでいいよ。』
「え…、」
勇気を振り絞り声をかけた彼女。
そういえばこんな風に二人だけで話すのは初めてな気がする。
そのよそよそしい雰囲気にセイは笑いかける。
きょとんとする彼女。その仕草さえ愛らしい。同性の自分でさえそう思う。
ぜひ自分もああなりたいものだ。無理だけど。
『私も勝手にサクラって呼んでるし、ね?それにせっかくの女の子同士、仲良くしよう。』
「…うんっ。ありがとうセイちゃんっ」
『セイちゃん、か…、まいっか。』
別にセイだけでよかったのにな、なんて思いながら目覚めたサクラと他愛ない話に花を咲かせている時、湖面が揺れた。
小狼だ。
「小狼くん…っ」
『お疲れ様。どうだったー?』
成果を訊ねるが小狼はゆるゆるとかぶりを振った。
そんな小狼の手をサクラが両手で掴む。
「……冷たい。あれからずっと湖に潜ってたの?」
「休みながらですよ。セイさんとも交代もしてますし、」
『とかいってほとんど小狼が潜りっぱなしだけどねー』
「セイさん…っ」
ははー。
サクラに心配かけたくないのか正直にバラすと彼は困った顔をする。
無茶ばかりするのだからちょっとはサクラにお灸という名の心配をされればいい、うん。
我ながらなかなかの意地悪っぷりだ。
「わたしの記憶だから、わたしが行きます。」
「夜になって水温が下がっています。」
「だったら、やっぱりわたしが……」
「おれがそうしたいんです。それに今、あなたはまだ記憶の羽根が足りなくて体調が万全じゃない。湖に潜ってる間に、もしまた眠くなったら……」
「だったらせめて火にあたって休んで。ね?」
「…はい。」
やっぱりセイの思った通りだ。
小狼はサクラに逆らえない。というかサクラの思いやりを無下に出来ないのだろう。心配そうに小狼の外套の裾を掴むサクラを見て、小狼は静かに頷いた。
それを見ていたセイは手に持つ本をパタンと閉じ、立ち上がる。
『私、薪が足りなくなってきたから、集めてくるね。戻るまで小狼、休憩がてら、ここお願いできる?』
「あ、はい。わかりました。」
『サクラ、小狼がちゃんと休憩してるか見張っててね。』
「はいっ。」
突然の使命感にサクラも気合が入る。
その隣で彼は申し訳なさそうにしていたが。
そんな二人を確認し、セイは一人森の中へ入っていった。
『こんなもんかなぁー。』
小狼とサクラがいる場所から離れて数分。
セイは片腕に抱えるほどの薪を集めている時だった。
カッ――!!
『まぶしっ!なに!?』
湖が突然、光り出したのだ。
まるで湖の中で太陽が光り出したかのように。
セイは急いで二人がいる場所へ駆け戻る。
戻った先ではファイと黒鋼とモコナが帰還していた。
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