chapitre.2
夢小説設定
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「ある!羽根がすぐそばにあるー!」
「どこに!?誰が持ってる!?」
さっき、ということは。
この場にサクラの記憶のカケラを持った人物がいるということ。まさかの予想だにしない急展開だ。
「分かんないー!でも、さっきすごく強い波動感じたのー!」
『一体どこに?』
「やっぱり巧断が取り込んでいるのかなぁ」
とファイ。
「しかし、強くなったり弱くなったりするってなぁどういうことだ?」
「巧断は憑いている人を守るものだと空汰さんは言っていました。だから、一番強い力を発するのはその相手を守るため」
「つまり、やっぱり戦ってみないと分からないってことだね」
となればもっとも最有力候補なのは浅黄笙悟その人。対戦相手として小狼をご指名なのだから、ちょうどいいといえば、ちょうどいい。
彼は気持ちのいい人だと、小狼との会話を見ていればわかる。正義君の言っていたこともいまなら少しはわかる気がした。…物を壊すあたりはやっぱり許せないが。
「お前とやり合ってみたかったんだよ、巧断で。」
「…分かりました。」
一歩、少年が前に出る。
ちりちりと足元の草木が炙られた。
熱。赤。火。
少年に付き従うように一角の獣が現れた。
琥珀の瞳は真っ直ぐに浅黄笙悟を捉える。
「その申し出、受けます」
いざ、尋常に勝負。
羽根の在り処を求めて小狼の戦いが今始まる――。
水と炎が、正面からぶつかり合った。
―ドオッ!
体の芯が震えるほどの衝撃が辺りに満ちる。
その余波で地面が抉れ、破片が宙に飛ぶ。
頭上に落ちてくる岩を、小狼は飛んで難なく蹴り砕いた。
『小狼…、』
「ひゅー、かっこいー小狼君」
一段降りていった少年を、大人は感心したように口笛を吹いた。
「素直が取り柄のバカじゃあねぇようだ。」
小狼を見下ろす黒鋼の目は、そのまま隣へ向いた。
「お前がただのふざけたヤロウじゃねぇってのも見抜いてたみたいだしな。」
「うん、遺跡発掘が趣味の男の子ってだけじゃないね。」
鋭さを増した紅に睨まれるも、ファイは柔和な笑みでさらりとかわす。
「まだ子どもだけど、色々あったのかもね。彼にも」
そんな二人の会話を耳だけで聞きながら、セイは目の前の戦いをただみつめる。
前を見据える琥珀の瞳の少年。そこに一点の曇りもありはしない。感じるのは心の強さだけだ。
小狼がゆるりと前に拳を突き出す。
突き出された拳から、激しい焔が勢いよく笙悟に襲いかかった。
ガガガッ!
それに、エイの巧断が応戦する。激しい攻防の音が聞こえてきた。
しかし小狼の焔の方が一歩押す。
ドンッ!
「笙悟君!!」
ついに押し負けた笙悟が勢いよく後方へと吹っ飛ばされた。
プリメーラが悲鳴を上がる。
水の巧断は素早くその身で主人を受け止めた。
体制を立て直し、地に足をつけた笙悟。
ずいぶん吹っ飛ばされたにも関わらず、その顔はやはり楽しげだ。
「みんな逃げろよ!」
笙悟の号令とともに、彼の後方にいた仲間がさらに後ろへと逃げていく。
エイが大きく口を開けた。そこへ集まるように、水が溜まっていく。
「SET……」
―くる。
大技の予感に鳥肌が立つ。
「GO!!」
ドオオォンッ!
響く轟音。
一瞬で目の前が海のよう。
そう思ってしまうほど大量の水が眼下に広がる。あまりの衝撃に地面が揺れ、思わずたたらを踏んだ。
「小狼君!!大変だ!小狼君が流された!」
『小狼ー!』
探さないと!と慌てる正義に、モコナはちょいと下を指した。
「小狼いるよー?」
「えっ!?」
正義が慌てるのも無理はない。それだけの水がいきなり放出されたのだ。普通の人間であれば、あのままどこか遠くへと流されてしまうだろう。
シュウウウウウ……
ある一角が、円状に蒸発していく。
炎の守りが解けた先には、少しも濡れた様子がない少年がいた。
あの大技を目の当たりにしたのにもかかわらず、その目は未だ輝きを失わない。
すると…、
バキバキ…
ふと、木の悲鳴がか細く聞こえた気がして城を見上げた。
ガラガラガラッ!
まさかこのタイミングで。
天守閣の上空から木材が降り注ぐ。
プリメーラの攻撃で崩壊しかけの天守閣。先ほどの大技の連発の衝撃で耐えきてなくなったのだろう。崩れかけた屋根瓦が限界を迎えるのは当たり前だった。
「きゃぁあああっ!」
『っ三人がまだ上に!』
瓦礫の先にいるのは、あの三人。
落ちていく。重い瓦と鋭く尖った木材が、三人に降り注ぐ。
防御の陣で三人を守り切れるかっ。
ずっと手にしていたクナイをここぞとばかりに三人の元へ放ち、自分の足元にも同じように五芒星の陣を描いてクナイを打つ。
するとバチィと電気がほとばしるように崩壊する瓦礫から見えない障壁が三人を守った。
「すごーい。セイちゃんあんなことも出来るんだねー」
『でも遠すぎて、いつ崩れるかわかりません。』
「巧断もだがお前のその技もつくづくなんでもアリなんだな。」
感心する二人。
すると、正義君の叫び声が聞こえてきた。
「強くなるんだーーー!」
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