chapitre.1
夢小説設定
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古い中華風な建物が印象的な街並み。
山と川に囲まれた自然豊かなここは、シン国の都から北に位置するラン家が治める領地。
農作物が育ちにくい厳しい土地ではあるが、人々は手を取り合い助け合って暮らしていた。
その街の中でひときわ大きい御屋敷のその奥、美しい庭に囲まれた東屋で床に伏す女性を静かに見つめる一人の少女。
その格好は今にも旅に出ようかというような出で立ちで。少女は目を開けない女性に対して辛そうな顔をしてぐっと拳を握りしめた。
もう…会えないかもしれない…。
今生の別れになるかもしれない…。
そんな思いが脳にチラつく。
だからその顔を目に焼き付けておきたかった。…たとえ、もうその目に自分を写してはくれなくても。
優しいあなたを…。
目を閉じ、ふぅと息をひとつ吐く。そして少女は立ち上がり、
脇に抱えていた黒い分厚いマントをバサッと羽織る。
その瞳は先程とは違い、覚悟を秘めたものだった。
少女は今、旅立つ
異世界へと
己の願いを叶える為に…。
『行ってきます、お母様…。』
その言葉と共に空間が歪み、その歪みが少女を包む様に覆い隠し、消えると少女もそこから姿を消した──。
* * *
「来たわね…、最後の一人が。」
景色がガラリと変わった。
ザーザーと強く降る雨の中。
首をこれでもかというくらい上げなければ先が見えない高い建物がひしめく街並みをどんよりとした雨雲が覆い尽くす。
その中の一軒家の庭先で、黒い服を美しく着こなす妖艶な女性が艶のある声で呟くと同時に、目の前にいる幼い少女を抱えた少年の背後…背の高い男性二人の間に先程の歪みが現れ、その中から黒い分厚いマントを羽織った茶色の髪をした少女が現れる。
『……。』
ゆっくりと閉じられた目が開く。
聞いていた通り、そこは自分がいた場所とは明らかに異なる場所だった。
さらには見慣れぬ服装をした人達。
一人一人見たあと、少女は黒い服を着た女性に視線を向ける。
「あなたは?」
と女性が問う。
少女は軽く腰を曲げ、頭を下げる。
両手を目線の高さまで上げて手を合わす。
『…お初にお目にかかります。私はシン国皇帝第十一皇女、ラン家のセイと申します。あなたが次元の魔女と呼ばれる方でしょうか?』
「えぇ、そうよ。」
『対価を払えば願いを叶えてくれると聞きました。』
「…そうね。あなたの願いは?」
『──“不老不死の法″を教えてください。』
「「─!?」」
少女こと、セイの願いの内容にその場にいた者たちは咄嗟に彼女の方を見た。
しかし次元の魔女だけは、まるで知っていたかのように驚いた様子も見せず、そう…。と呟くだけ。
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