chapitre.2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わいもずっとそう考えとった。巧断、つまり神はこの国に住んでるわいらをごっつう好きでいてくれるんやなぁってな。一人の例外もなく巧断は憑く。この国のやつ全員一人残らず神様が守ってくれとる。まー阪神共和国の国民は血湧き肉躍るモードになるやつが多い。…けどな、なかなかええ国やと思とる。」
だから、この国でサクラの羽根探すのは、争いや悪人のみの世界で探すよりは幾分マシなのではないか。と空汰は語った。
「……はい」
小狼がサクラの頬を手の背で撫でながら頷く。
姫は、未だ目を覚ます気配はない。
「羽根の波動を感知してたのに、分からなくなったと行っていましたね」
「うん…。」
嵐の質問にモコナが頷く。
見つけられなかったのが余程ショックなのであろう。小さな身体をしょんぼりと小さくして俯いていた。
「その場にあったり、誰かがただ持っているだけなら。…一度感じたものを辿れないということはないでしょう」
元巫女の嵐は考える。
現れたり消えたりするものに羽根は取り込まれているのではないかと。
この国で、現れたり消えたりするものといえば。
「巧断、ですか!?」
「確かに巧断なら出たり消えたりするから…」
「巧断が消えりゃ、波動も消えるな」
今日会った誰かの巧断の中に、さくら姫の羽根があったということになる。
『でも、一体誰の巧断の中に…。』
ナワバリ争いの中で現れた巧断。
争っていた青年達が出していた巧断にばかり目が行ってしまっていた。
しかし、あの時あの場にどれほどの人、どれほどの巧断が居たのだろう。果てしない程の巧断がいたはずだ。
「けど、かなり強い巧断やっちゅうのは確かやな。」
『それはなぜですか?』
空汰はサクラの羽根を持つのは強い巧断なのだという。セイの疑問に、嵐が言葉を引き継いで教えてくれた。
「サクラさんの記憶の羽根はとても強い心の結晶のようなものです。巧断は心で操るもの。
その心が強ければ強いほど、巧断もまた強くなります。」
有栖川夫妻の見解に納得がいき、矛盾は無いように思える。
「とりあえず、強い巧断が憑いてる相手を探すのがサクラちゃんの羽根への近道かなぁ」
ファイの提案に異論はなく、各々頷いて了承した。
セイはモコナも頑張るー!と宣言する頭を撫でた。
今後の方針について定まったところで、空汰はよし!と膝を叩いて立ち上がる。
「そうと決まればとりあえず腹拵えと行こか!黒鋼とファイ、セイは手伝い頼むでー」
「はーい」
「なんで俺が…!」
「働かもんは食うたらあかんのや」
『だ、そうですよ黒鋼さんっ』
「押すなっての!」
「モコナも食べるから働くー!」
空汰の号令にファイはモコナを頭に乗せながら立ち上がり、セイは文句を並べる広い背中を押して部屋の外へ促す。
自分も手伝うと立ち上がる小狼を空汰は手で制した。
「今日はええ、さくらちゃんとずっと離れとって心配やったろ」
空汰の言葉が図星だったのか、驚きながらも少年はその場にもう一度腰を下ろし、その厚意に甘えることにした。
「顔見てたらええ。できたら呼ぶさかい」
「……ありがとう、ございます」
手伝わないのを申し訳なさそうに、しかし少女の側に居れることは嬉しそうで。
困ったように微笑みながら小狼は頭を下げた。
廊下を出てキッチンへ向かう途中、セイは意を決して黒鋼さん、と呼んだ。
「あぁ?」
『…て、手当て!しましょうっ。』
「いらねぇよこんなもん。すぐ治る。」
「まぁまぁ。そないなこと言わんと。せっかく女の子が手当てしてくれる言うてんねからっ」
「そーだよ、黒りん。」
厚意には素直に受けとかないとねー、と言いながらファイはセイの方をちらりと見、ウィンク。
ファイの応援に感謝する。
みなにまで言われてしまったらさすがの黒鋼も、もう断れない。
しぶしぶセイについていき、黒鋼とファイが使っていた部屋で手当てを始めた。
と言っても、錬丹術である程度の傷を塞いでしまうのであとは塞がった傷口を綺麗にしたり、大きい所にはすこし包帯を巻くだけなのだが。
嵐から借りた救急箱とやらを開ける前にセイはある布切れを一枚出した。
「なんだそりゃ。」
『錬成陣を書いた物です。はい黒鋼さん。』
「なんだ。」
胡坐をかいて座る黒鋼の前でセイが錬成陣が描かれた布の上で両手を出す。
どうしていいのかわからない顔をする黒鋼。
『手、出してください。』
「―!?」
『ほら、早く。』
つまりセイの出す両手の上に自分の手を乗せろ、と。
そういうことだ。
なおもためら黒鋼にしびれを切らしたセイが無理矢理彼の手を掴む。
「お、おいっ、」
『すぐ終わりますからじっとしててください。』
セイの言う通り、黒鋼が恥ずかしがる間もなく錬成陣が光るとあっという間に傷が塞がっていく。
光が消えるとセイはそっと黒鋼の手を離した。
『ね?すぐだったでしょう?』
「どうなってんだ。」
離された両手をぐっと握ったり開いたり。
そのあとはついたままの血の汚れを拭いたりした。いまだに彼は不思議そうな顔をしている。
.