chapitre.2
夢小説設定
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なおも戦いは続くが以前として巧断がない黒鋼さんが不利なような気がする。
「おれの巧断は一級の中でも特別カタイんだぁ!」
「けど、弱点はある」
悦に浸る男とその巧断を見下ろしながら、黒鋼は拳を鳴らす。
「あー…刀がありゃ手っ取り早く…―!?」
突如、その背後を守るように、獣が現れた。
巨大な青い龍の形をした、黒鋼の巧断。
青龍は自分の主人と対峙している敵を、睨め付けるように見下ろしていた。
「お前、夢の中に出てきた…っ」
刹那、龍と黒鋼の視線が合う。
ザァアアアアァ……
一言も交わすことなく自身の主人の姿を認めた巧断は、その姿を変えていく。
「使えってか?」
水音と共に、一振りの大剣が現れた。
「なんだ。お前も暴れてぇのかよ」
手にした瞬間、伝わる闘気。
身の丈ほどの大剣を軽々手にする黒鋼。
顔に浮かぶ笑みはさらに凶暴なものに変わる。
一歩間違えればこちらが悪人とも言われかねない顔だ。
「そ……それがお前の巧断か!」
どうせ見掛け倒しだろ!と始終見ていた男は声を震わせながら叫ぶ。
「こっちは次は必殺技だぞ…!!
蟹喰砲台(カニクイホウダイ)!!」
男の巧断に無数に棘が生える。
巧断は、そのまま勢いよく突進してくる。
「どんだけ体が硬かろうが刃物突き出してようがな、」
ゆらり。
黒鋼は得物を構える。
「エビやカニには継ぎ目があるんだよ」
捉えた獲物から目を離さず、黒鋼はその刃を振るう。
「破魔・竜王刃!」
大剣が、的確に巧断の関節を捉えた。
巧断はその身をバラバラに崩しながら、幻のように消えていく。
「ぐあああああああ!!!」
巧断へのダメージはそのまま主人に行くようだ。使い手の男が身体を抑えて蹲った。
「だいじょうぶっすか!?」
「しっかり!」
「お、おれの巧断がぁああああ!」
リーダーが負けたことがよほどショックなのか
チームのメンバーがリーダー!と騒ぎながら男を囲んだ。
「も、もうチームつくってんじゃねぇか……!
おまえ“シャオラン”のチームなんだろ……!?」
男は痛みに震えながら、黒鋼を指差す。
「誰の傘下にも入らねぇよ。俺ぁ生涯、ただ一人にしか仕えねぇ」
大剣を肩に担ぎ、男を睨みつけながら日本国の忍は宣言をする。
「知世姫にしかな。」
『…。』
セイは彼の強さに震えた。
そしてその強さの根源を垣間見た気がした。
この人は強い――。
いままで会った人の中で誰よりも強い。
この人をここまで強くさせるのは一体なにか。
知りたい、とそう思った。
この旅で、この人を見ていればいつか彼のように強くなれるだろうか…。
こちらへ戻ってくる黒鋼をセイはただじっと見つめていた。
* * *
「ただいま帰りました」
「ただいまー!」
「お帰りなさい」
下宿先に帰宅した一行。
下宿屋の扉を開けると、嵐が出迎えてくれた。
結局、あの後羽根の波動を感知することが出来ず、日も暮れてきた為、探索は明日に仕切り直すことになった。
羽根は見つからなかったが、手掛かりが見つかったのは幸いだ。
「おう、みんな揃っとんな!どうやった?」
丁度良いタイミングで帰宅した空汰も加え、今日の報告会が開かれる。
その前にひと騒ぎあったのだが…。
「―そうか、気配はしたけど消えてしもたか。
で、ピンチの時に小狼の中から炎の獣みたいなんが現れたと、」
うんうん。神妙な顔で頷く空汰。
その頭には大きな“タンコブ”が一つ。
例のように始まった空汰の愛妻劇に対し、嵐が下した制裁の跡である。
空汰の足元ではモコナが「タンコブすごーい!嵐つよーい!」とはしゃいでいる。
嵐はきっと怒らせたら怖いタイプの人なのだろう。
それはさておきだ。
「やっぱりアレって小狼君の巧断なのかなー」
「おう、それもかなりの大物やぞ。黒鋼にも憑いとるんもな」
「何故分かる?」
あのな、と前置きをして空汰は語る。
そもそも空汰が歴史に興味を持つようになったきっかけになったのが巧断なのだという。
「わいは、巧断はこの国の神みたいなもんやないかと思とる」
『神様…?』
阪神共和国に昔から伝わる神話では、この国には八百万の神がいるのだという。
「800万も神様がいるんだー」
「神様いっぱーい!」
「いや、もっとや。色んな物の数、様々な現象の数と同じくらい神様がおる言うんやから。」
八百万っちゅうんは、いっぱいっちゅう意味やからな。ファイとモコナに誇らしげに語る空汰。そんな夫の様子を妻である嵐は微笑ましそうに見守っていた。
空汰の話に小狼は前のめりになりながら聞き入っていた。
「その神話の神が今巧断と呼ばれているものだと」
「すごいねぇ、神様と共存しているだー」
神との共存。
それが可能な世界が、阪神共和国なのだろう。錬丹術師であるセイには縁遠い話だと思う。
錬丹術や錬金術はいわば科学のようなものだから。
「この国の神は、この国の人たちを一人ずつ守ってるんですね」
「小狼もそう思うか!」
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