chapitre.2
夢小説設定
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「今度こそお前らぶっ潰して、この界隈は俺達がもらう!」
なぞのグループが二つ現れ、今にもケンカが始まりそうな雰囲気に。
つなぎを着たチームとビルの屋上から見下ろす、ゴーグルとバンダナを身に着けたチームだ。
屋上から見下ろすチームのリーダーと思しき人物が叫んだグループに向かって親指を立て、下に向ける。
「かぁっこいいー」
『何者でしょうか?』
傍観するセイ達のそばで誰かが、またナワバリ争いだー!と叫んだのだ。
それだけでなんとなく状況は読めた。
つまり今からここで戦おうというのだ。
「このヤロー!特級の巧断つけてるからっていい気になってんじゃねぇぞ!」
巧断――!?
聞き覚えのある言葉に思わず立ち尽くす。
すると両チームが各々巧断を出して光線のようなものを打ち始めた。その巧断の姿は様々。
『あれが、巧断…、』
「どおりで白まんじゅうが、」
「歩いてても驚かれないわけだー。」
『でもいきなりこんな街中で戦うなんて非常識にもほどがありますっ。』
いったそばからゴーグルを身に着けチームのリーダーが大技を出し、大量の水が流れ、相手チームごと波のように流してしまう。
その余波は一般市民にも降りかかり、避難しようとしていた少年が足を滑らせ転んでいた。その傍にはもう一人少年もいて。
不運にもその二人の頭上にビルの看板が落下してくる。
危ない!と思ったがセイよりもさきに動いたのは小狼だった。
身を挺して二人の少年をかばうように守る。
だがそんな小狼から激しい炎が出てきて小狼ごと落下する看板から守ってくれた。
その様子をビルの上から見ていたリーダーの一人。
小狼を守った炎はやがて獣の姿へと変化し小狼の前に立つ。
「炎を操る巧断か…。俺は水で、そっちは炎。おもしれぇ。俺は浅黄笙悟。おまえは?」
「…小狼。」
「おまえ気に入った。」
「―笙悟!警察だ!」
チームの仲間が叫ぶ。
浅黄笙悟と名乗る男は名残惜しそうに散れ!と仲間に合図し、一目散に逃げていく。
「次会った時が楽しみだぜ!」
あっという間の出来事だった。
水浸しの地面と壊された建物の破片だけを残して…。
『どうするのよこれ…。』
セイは唖然とするしかない。
しかし、大丈夫ですか!?という小狼の声にはっと我にかえる。
「怪我ないですかっ?君もだいじょう…っ」
しゅるん…。
『え?消えた?』
「あー、あの子も巧断なんだー」
「なんでもありだな、巧断ってのは。」
あ、巧断の言葉で思い出した。
モコナだ。
「うちの巧断みたいなのはどこいったのかなぁ」
「モコナ!」
「大方、その辺で踏みつぶされてんじゃねぇのか。」
『あ、違うみたい。ほらあそこっ。』
「あぁ?」
その視線の先には…
「モコナ、モテモテっ。」
女子に取り囲まれていた。
たしかにあれはモテると思うな。なんて思いながら群がる女子たちからモコナを返してもらう。
あなたの巧断?なんて聞かれたが、まぁそんなとこです…、を濁しそそくさと退散する。
そんなモコナはそれまでどこにいたかというと…、
「黒鋼の上にいた。そしたら落とされたー」
『そうなの?』
「そう!さっきモコナこんな風になってたのにー!」
めきょ。
「誰も気づいてくれなかったー。」
「さくらの羽根が近くにあるのか!?」
「でも今はもう感じない…。」
『モコナ、誰が持ってたかわかった?』
「わからなかった…。」
「そう…か…、」
しょぼんとするモコナに小狼は大丈夫だと、励ます。
「近くの誰かが持ってるって分かっただけでもよかったです。」
『一歩前進?』
「はいっ。モコナ、また何かわかったら教えてくれ。」
「おう!モコナがんばる!」
モコナが小さい手でポンとおなか?をたたいてみせたのだった。
「あ、あの!僕、斎藤正義といいます!さっきは本当にありがとうございました!お、お礼を何かさせてください。」
「いや、おれはなにもしていないしっ」
「でもでもっ」
永遠に続きそうなやり取りを意外にも終わらせたのが、モコナだ。
「お昼ご飯食べたい!おいしいとこで!」
「え?」
「はい!」
小狼が正義君を助けたお礼は、美味しいお昼ご飯の場所を教える (モコナ希望)ということで、まるく収まった。
が、そのまえに…、
「セイちゃんなにしてるのー?置いてかれるよー。」
『あ、ちょっと待ってください!』
小狼とは逆方向に向かうセイにファイが気づき、小狼・黒鋼も足を止める。
『ここ、このままには出来ませんから。直しておかないとっ。』
「直すってどうやって?」
「セイ何するのー?」
モコナがセイの頭の上に乗る。
セイは自分の足元に五芒星の陣を持っていたチョークで描くと、その5つの頂点に小さいクナイを刺し、遠く、壊された街中へさらに五芒星を描くように5つのクナイを投げた。
そして先ほど足元に描いた五芒星の陣へ手をつく。すると激しい錬成反応の光が地面を走り、壊れた建物の破片がみるみるうちに元通りに直されていく。
「わぁすごい!直ったよー、セイすごーい!」
すごいすごい!と頭の上でモコナが大はしゃぎ。
『これでよし!お昼食べに行きましょうか!』
「すごいねー今の。昨日言ってた錬金術とやらかな?」
『いえ、私が使うのは錬丹術です。』
「何が違う。」
と黒鋼。
『簡単に言えば使うエネルギーですね。』
正義君が案内してくるお店までの道中、簡潔に錬丹術の原理を三人に説明した。
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