ACT.10
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「以前にも、“ああいう状態”の彼女を見た事があるわ。」
幼い頃、王宮の中庭で1人話すアルフィナがいた。そこには彼女以外誰もおらず、まるで空気に語りかけるように話す。
「あの時、彼女の父・スコールが“声なき声”を聞いているのだと…」
優しい目でスコールは娘を見ていた。
「そういえばビュエルバに向かう途中でそんな事言ってたな、アル」
“声なき声が聞こえるの──”
…と。
シュトラールの機内で言っていた言葉が蘇る。
『呼んでる…』
私を…
まるで何かにとりつかれたように話すアルフィナ。そんな彼女にバルフレアは痺れを切らし、肩に触れるとアルフィナは、ハッと我に返った。
「しっかりしろ」
『…あ、あれ?今、私…』
何してた?とバルフレアを見ると、変な顔をしていた。
「大丈夫?」
『あ、はい…』
ぼんやりするのか、声掛けてきたアーシェにぎこちなく返す。
『奥に…誰かいる、みたいなの』
「誰か?」
『言葉では言いにくい、何か…。人でも魔物でもない。』
結局、奥に“暁の断片”の他に何かある…としかわからなかったが、「行けばわかるだろう」、というヴァンのお気楽なセリフに一同はため息をつくのだった。
進む途中、いくつもの仕掛けがあったが、フランの知恵とバルフレアの機転により難なく進めた。
奥の扉をくぐると、また広い空間に出たが、空間が揺れる感覚に襲われ、アルフィナ達は歩みを止めた。
揺らぐ空間に時折自分達の姿が映って見えた。
『なんか、胸の奥がぞわぞわする…。なにこれ…』
胸元の服をぎゅっと握りしめた。空気はひんやり澄んでいるのに、どこか気持ち悪い。
「地下なのに、霧が出てる─?」
「霧ではないわ。ミストよ」
ゆらゆらと金色に揺れるのを見ながらパンネロが呟き、フランが返す。
「ミストって目に見えるんですか?」
「ここではそれだけ濃いという事──魔の気配に満ちているのよ」
「危険って──ことですよね」
『おまけに気持ち悪い』
「アルフィナには辛いわね」
顔をしかめるアルフィナにフランはふっ、と笑った。パンネロが大丈夫?と聞いてくる。
人一倍肌が敏感なのだろう。以前、バルハイム地下道でもアルフィナは気分を悪くしていた。その時も、今ほどではないがミストが濃かったのをフランは覚えている。彼女の敏感肌はフランの持つ第六感といい勝負かもしれない。
「役にも立つわ。濃密なミストは魔力の回復を早めてくれる」
「覚えておきます」
そう言ってパンネロは離れた場所にいたヴァンに目を向けた。
「ヴァンは無茶ばかりだから。私がしっかりしないと」
嬉しそうに、自分に言い聞かせるようにパンネロは呟いた。
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