ACT.10
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『あー…、びっくりした…、』
振り切って一安心に息をついた。
扉を抜けた先、暗闇が広がる空間に出る。
「助かった──」
ヴァンがそう言いかけた時、今度は前方にさっきと同じ2つの赤い光が現れた。
『げ…』
「こっちもかよ…」
アルフィナの嫌そうな顔とバルフレアのうんざりしたセリフが同時だった。暗かった空間に通路の松明が順番に灯り、アルフィナ達の前に一本道の通路が現れる。
「時間がないわ。壁が迫ってくる!集中攻撃で倒すわよ!」
フランが弓を構えて言った。私はダガーを構える。
ライブラを発動させたバッシュが風の魔法が弱点だと見抜き、フランとパンネロがエアロを唱え、活躍した。…羨ましい。
そう思いながら攻撃をかわし敵にダメージを与えていく。
『…っせい!』
振り下ろしたダガーが敵の無数にある腕を一本切り落とす。それでもまだ腕はたくさん残っていた。避けるのがやっとだ。
敵の攻撃を後転して避け、距離を取る。隣でパンネロが再びエアロを唱えているのが見える。───すると、それを見ていたアルフィナは唐突に理解した。
覚えるだけ覚えていた魔法書の内容が、突如溶けるかのように頭に染み込んでいく感じ。
…今なら出来る──。
アルフィナはそう確信した。
『…わかった!フランわかったよ私!』
「──!」
離れた距離にいたフランが少し驚いたような表情をしたが、すぐふっ、と笑みを見せた。
「みんな下がって」
「フラン!?」
弓を納めたフランにパンネロが驚く。ウォースラも命令するな、と言いたげな顔をしたが、フランが目線でアルフィナを指したので、その言葉は出なかった。
徐々に追い詰められていく。後ろは扉という名の壁。扉をくぐって戻れば眼の前の壁の魔物と同じのがもう一体待ち構えているので戻ることは出来ない。
1人敵に立ちはだかるアルフィナにみんなは焦りを覚えた。
『────……。』
無心に、無心に…
手のひらに魔力が集まっていくのが分かる。
これはただの“魔法”じゃない。黒魔法より難易度の高い…
“ミストナック──”
大量のミストの放出に身体がフワリ…と宙を浮く。そして、顔の前で交差していた両腕を目一杯広げてみせる。
目と鼻の先にまで迫った敵が無数の腕をアルフィナ目掛けて振り上げた。
その瞬間──…、
“発動・ミストナック”
『──消滅せよ…
“いてつく波動”!』
彼女の正面で作られた大きな光の玉が見事敵に命中する。眩しい光と、激しい旋風に思わず目を細めた。
パラパラ…、と静かになった頃、細めた目を開くと目の前まで迫っていた敵が姿を消した。…、…否、アルフィナの足元で瓦礫と化していたのだ…。
そのわずかに残った瓦礫さえもやがてサー…と砂にかわり、風に乗って消えていったのだった。
言葉が出ない。みんな驚きを隠せない。
が、本人一番驚いている。
唖然とするアルフィナ。
ゆっくり振り返って、やっと口にした言葉は…
『や、やりすぎた…、?』
…だった。
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