ACT.10
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頭の中で何度も木霊する。
苦しい…
苦しい…、
と。重く伸し掛かるような声は身体に気だるさを覚える。
奥に“何か”いるのだろうか。ゆっくりとした動作で私は立ち上がる。バッシュやパンネロは心配そうに見ていたが、き気が緩んだだけだと。すぐ慣れる、と言って先を進んだ。
『うわっ』
「イカついな、これ」
そう言って見上げたのは壁に彫られた像。蜘蛛のような足と、いくつもの武器を持った無数の腕。その悪趣味さにアルフィナとヴァンは、つい気を惹かれた。
なんだ、とバルフレアもアルフィナの隣で像を見上げた。
『カッコいいねこれ!』
「「どこがだよっ」」
左右からツッコまれた。
でもカッコいいのに…。口を尖らせ、小さい反論したが生憎誰も聞いてはくれてなかった。知らない間に1人ポツンと残されてるし…。私は慌てて追いかけた。
『あれ、家の前とかに置いといたら魔除けの効果ありそうじゃない!?』
「ないない」とヴァン。
「魔除けどころか、逆に魔を寄せ付ける気がするぜ。俺は」
『えー…、』
順にヴァン、バルフレアに否定される。確かにあの像の顔は“普通の人”にとっては魔を寄せ付けそうな表情に見えるが…、…アルフィナはそうじゃないらしい。
『カッコいいのに…』
「まだ言ってんのか。」
もう一度立ち止まって像を振り返る。バルフレアは呆れながらもアルフィナの手をさり気なく引いた。
アルフィナはつられて歩き出す。
「アルってどこかズレてるよな」
センスが、と付け足された一言。ムッと来た。
『ヴァンにだけは言われたくないんだけど』
「俺もアルには言われたくないぞ」
一悶着ありそうな雰囲気だったが、間にいたバルフレアが「わかった、わかった」、と2人をなだめる。
やっと頭から像が離れたのか、みんなのあとを追うように一緒に歩き出した。
全員が像に背を向けた時、待っていたかのように像の2つの目が赤い光を放った。
──‐ゴゴゴゴ…
!?
パラパラと落ちる砂。オイルを挿し忘れた機械のように像が動き出す。
『動いた!?』
じりじりと迫ってくる像。一本道を歩いていた一行の唯一の逃げ道は、その先にある扉だけ。
ヴァンが叫ぶ。
「追い詰められるとまずいぞ!逃げるか、戦うかどっちにする?」
『逃げる!』
早っ!と全員の心が一致した。
だが、反対の者も当然おらず一行は即、逃げるを選んだ。
扉に向かって全力疾走する。
『逃げるが勝ち!』
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