ACT.10
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頷いて返したアーシェにバルフレアは苦笑いした。
「話がうますぎると思ったよ」
階段を昇りきった先には入り口となる扉は見つからず、かわりに台座のような装置とその下の地面に描かれた魔法陣らしきものが仄かに鼓動するように光を放っていた。
『入り口がないね』
「いいえアルフィナ、──“これ”が入り口よ」
フランが台座の側に立った。フランが台座に触れる素振りを見せたのでみんながその周りに集まる。
触れた途端、一際強い光を放った台座にアルフィナ達は目を瞑った。すると目が見えないのを良いことに、重力に引っ張られるような感覚がして、胃にぐっ、と圧迫感が押し寄せた。
地面を離れた足が次に地面に触れた時にはすでに目に映る景色は180度異なっていた。
身体を撫でつける蒸し暑い風はなく、ひんやりとした空気と微かに漂うミストが混ざり合ったそよ風が肌をかすめた。
「なぁ、今のってどういう仕掛けなんだ?」
ヴァンがバルフレアに疑問をぶつけた。
それを聞きながらアーシェ、バッシュ、ウォースラは先に歩を進める。
振り返ったバルフレアは当たり障りなく適当に答える。
「古代の遺跡によくある装置さ。触れると何処かに運ばれる。原理はわからんが便利だ。空賊にはそれだけで充分だろ」
あまり理解出来なかったがバルフレアが強調させた“空賊”の所で、ヴァンは無理矢理自分を納得させた。
ようはあまり細かいところは気にない、ということである。
遅れたバルフレア達もアーシェ達の後を追う。
…しかし、アルフィナだけは今だに装置の側に突っ立ったまま。
振り返ったヴァンが不思議そうに「アル?」と声をかけた。その声にアルフィナは無言のまま一歩踏み出そうと足を動かした。──その時…、
──‐‐…フラッ…
「──‐!」
ドサッ…と崩れ落ちたアルフィナ。響いた音に一斉に振り返った。
「アル!?」
『…っ、』
駆け寄ったパンネロがそっと肩に触れる。…ただ躓いたようには見えなかった。まるで力が抜けたような。
『だ…、大丈夫。』
「ホントに?」
上体を起こす。
心配そうなパンネロに私は笑ってみせた。
するとバッシュが側に来てアルフィナと目線を合わせるようにしゃがんだ。
「どうした?ただ転んだようには見えなかったが…」
『…声が…、聞こえて…。』
そう言ったアルフィナの顔色は少し青かった。「声?」、とバッシュはオウム返しに聞いた。
『辛そうな…声…。…苦しい…、助けて…って…』
バッシュはウォースラを振り返ったが彼は首を振った。自分には聞こえない、というかのように。
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