ACT.10
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長旅の果て、たどり着いたレイスウォール王墓…──
『…、す、すごい…、』
「…ここが、オーダリア・バレンディア両大陸を平定し、覇王と呼ばれたレイスウォール王の眠る地…」
アルフィナの隣でアーシェは感慨深く呟いた。
息をするにも戸惑いを覚え、震える。蒸し返す暑さの砂漠の中で、一際ひんやりとした空気が漂うそこはまさに覇王の墓に相応しい。
“レイスウォール王墓──”
壮大な建物は一見、お墓というよりは神殿のようだった。
「アルケイディア帝国に侵略を受けたダルマスカ王国…」
「その再興の旗頭には、王家の血統が必要になります。」
バッシュ、ウォースラの言葉にアーシェは「えぇ…」、と静かに頷き返した。
「アーシェ殿下がご存命だったのは幸運でした」
「しかし今となっては、身分の証となるものはない」
ダルマスカに伝えられていた王家の証“黄昏の破片”が奪われた今、王国再興の足掛かりとなりうる証があるとするなら…
それは、ただ一つ…──、
「ここレイスウォール王墓にあると伝えられる宝玉…、──“暁の断片”のみ……」
アーシェは王墓の入り口を正面にして、気を引き締める。
「我らはダルマスカの将として殿下をお支えする」
バッシュは誇らしげに言った。それにアルフィナも笑顔になり、ウォースラも当然だ、と言わんばかりに頷いた。
「君の…その名も必要となるだろうな、」
ふとバッシュはアルフィナを見た。するとアルフィナは不思議そうな顔をする。
『私の…?』
「ヴェスパニア家は長年王家を支えてきた由緒ある伝統の一族だ。まだ未成年ではあるが、少なからず必要とされるだろう。」
本人よりヴェスパニア家に詳しいウォースラに私は苦笑いした。
『元老院の方々は反対するでしょうけど…』
アルフィナは少し寂しげに呟いた。
しかしその呟きは誰の耳にも届くことはなく。
必要なのはヴェスパニアの名。私じゃない。そう言われた気がして、少し切なくなった。
「…本音を言えば…、空賊かなにかは知らぬがこの神聖な地にあのような“墓荒し”の同行は認めたくないものだ。」
苦い顔をするウォースラにバッシュが宥めた。ウォースラの視線の先にはバルフレアとフランがいる。どうもウォースラはバルフレアが気に入らないようだ。その側にはヴァンとパンネロもいて、まるでヴァン達も“墓荒し”に含まれているような言い方だった。
「よせウォースラ。彼らの協力は必要だ。なにより、ヴァン達はアルの仲間だ」
「……。」
ウォースラは押し黙る。違う、と言えないから、なお悔しいのだろう。
「ウォースラ、私たちには祖国を解放するという使命があります。彼らの戦いを見たでしょう?使命のため、多少のことは目をつむりましょう。」
「はっ…。殿下がそうおっしゃられるのでしたら」
アーシェの言葉にウォースラは頭を下げるしかなかった。
一行は王墓の入り口を目指して、柱が連なる道を歩いた。
その時──、
『──‐…!』
はっ、とアルフィナは太陽を見上げた。今、太陽の中で何か動いたような…
『フランっ』
「ええ、来るわ」
その言葉と同時に大きな鳥─怪鳥ガルーダ─が一行に襲いかかってきた。
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