ACT.09
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『あ、あの…っ』
「?」
その声にバッシュも顔を上げて、此方を振り向いた。
少しだけ大きかったアルフィナの声に、バッシュを驚かせてしまった。
『その…、…えっと…、』
「どうした?」
しどろもどろになる私に、優しく声を掛けてくれるバッシュ。
だが、その気遣いがアルフィナに余計な緊張とプレッシャーを与えてしまうのである。
たった一言…
“ありがとう”
そう伝えたいのに…。喉に空気の塊が詰まってるようで声が出せない。
『あ、あの…っ』
頑張れ私!!たった一言だっ、言ってしまえ!
心の中でもう一人の“私”が私にそう叫んでくる。言えば楽になるぞ!、と。
…震える声──…、
言葉にかえて…──
『─…私、…ずっと、小父様にお礼が…言いたかったんです…』
「私に…?」
予想通りの反応。目を見開くバッシュ。
心に衝撃を受けたような。信じれない…、そんな表情だ。
『ずっとそれを言いたくて…、でも言えなくて…』
「……。」
バッシュはアルフィナの言葉を黙って聞いてくれた。…否、言葉出ない。と言った方が正しいのかもしれない。
『私が不良から足を洗って、陽の当たる世界に出てこられたのも、…全部バッシュ小父様のおかげなんです、』
少し気恥ずかしそうに。はにかむ笑顔がバッシュの心に深く刻まれる。息をするのも忘れてしまいそうで。微かに漏れた「私の…?」という声にアルフィナは、はっきりと「はい。」、と答えたのだった。
『ホントは…こんな事言うガラじゃないんですけど…。』
「いや…、私はなにも…、」
した覚えはない。…そう続くはずだった言葉も途中までしか言えなかった。明らかに自分は動揺している。
脱獄をすると決めた時、
裏切り者と世間で罵られている自分を疑いこそすれど、信じると言われることなど、もう一生無いと思いこんでいた。
ましてや感謝など。
そう言えば最初に私を信じると…信じたいと言ったのは彼女だったかもしれない。ウォースラでもなく…、他でもないアルフィナが…。
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